#65「自妹襲来」
実家にいるはずの妹が、なぜ東京に来て俺の部屋のチャイムを鳴らしてるのか。これは何かの陰謀だろうか。どんな陰謀だ。
なんてことを考えてる間に、ドアが開いて外の人物は玄関へ入ってきた。カギをかけてなかった俺も悪いけど、勝手にドアを開けるのってどうなんだ。
「久しぶり、お兄ちゃん」
「お、おう、久しぶり」
玄関に立ってるのは間違いなく俺の妹、賽河原ソドミである。
「お兄ちゃんったら全然連絡してくれないから、あたしすっかり心配しちゃったよ。東京で変な女にダマされて、下半身をコンクリ詰めにされたまま放置されてるんじゃないかって」
「放置するなよ。そこまでやったら東京湾に沈めるところまでやれよ」
いや別に沈められたいワケじゃないけど。ていうか、コンクリ詰めにされるようなこと何もしてないし。
「それで、何しに来たんだよ」
「今晩泊めてほしいんだけど」
そんなこといきなり言われても困りング。せめて事前に連絡してくれれば、ロロロを隠すとか俺が隠れるとか対処のしようもあったのに。俺が隠れてもしょうがねえよ。
「何その歓迎してない感だだ漏れの対応。もしかして、部屋に見られたくないエッチな本とかゲームでもあるの~?」
もちろんそれもあるけど、もっとヤバい褐色ロリ悪魔が部屋でサラダ食ってるなんて言えるはずがない。あげく勝手に結婚までしてるなんて両親に知られたら、緊急家族サミットが開催しかねない。
「別にあたしは気にしないから大丈夫だよ。お兄ちゃんだってオトコなんだから、エッチなものがあるくらい予想できるもん」
「あ、おい!」
俺の横をすり抜けて、勝手に部屋に上がりこむソドミ。そして部屋にはロロロが――
「む。おまえ誰ぞ」
サラダをもっしゃもっしゃ食べてるロロロと対面して、部屋の入口で固まるソドミ。
「こ、これはさすがに予想できなかったわ」
でしょうねー。
さーて、次回の「悪魔幼女が俺の嫁なら世界が敵でも怖くない」、略して「クビポキ」は?
頑河ナンだ。私は一人っ子だから、兄弟姉妹がいる者の気持ちはよくわからないな。カレーの実験台になる者が身内にいたら便利だとは思うが。
次回、「炸裂妄想」。ぜってえ読めばいいと思う。




