#54「猫神降臨」
その後も俺の同僚やチェリーのクラスメート、ロロロと顔見知りになった図書館員まで当たってみたけど成果はナッシング。
「そりゃすごく親しいワケでもない微妙な距離の知り合いから、宗教めいた相談をされたらみんな警戒するよなあ」
彼ら彼女らの気持ちもわかるし、何より俺たちが信徒になってないんだから断った人たちのことをどうこう言えるはずもない。
「もうよい。時間を取らせてすまなかったのう」
「いや、よくはないでしょ」
すっかり諦めモードに入ったかるかを励まそうとしても、「よいのじゃ」の一点張り。
「ロロロの封印されておった間もずっと、吾は信徒を増やそうとしておったのじゃ。それでも無理じゃった。そう簡単に増えるものではない」
「かるか……」
気丈に微笑むかるかに、ロロロも困惑してる様子。
「案ずるな。神力が失せてもすぐに吾が消え去るワケではない。たとえ赤子の姿になろうとも、気長に信徒を探してやるのじゃ」
「……」
どうにもならない敗北感を抱えたまま、俺たちは解散するしかなかった。
†
数日後。
「よう、ロロロとその旦那」
妙にご機嫌なかるかが会いに来た。
「いかにせしぞ、クソムカつくツラなどして」
ロロロがクソムカつくと評したかるかの顔は、先日とは一変してツヤツヤしてる。
「手洗いを借りた家の男がたまたま童女に目覚めてのう。うまいこと信徒になったのじゃ」
「そんなご都合主義ぞ……」
ロロロは呆れるけど、そもそも同じ町内に悪魔と天使とねこ神様が集合すること自体がご都合主義なんだから今さら感が半端ない。
「このまま徐々に力をつけていけば、70年後くらいには元のボンキュボンに戻れるじゃろう」
「スパン長えな!」
さすがに何百年も生きてる連中は、時間の感覚もどうかしてるぜ。
「まあ、結果オーライだけどよかったじゃない。ロロロも家帰ってからずっと心配してたし」
「な、何言いしかメギド!? ナメた口ききしと、眼球に竹串刺せしぞ!」
なんて言いつつもロロロは嬉しそうなんだけど、彼女の名誉に懸けて黙っておくことにした。本気で竹串刺されそうだし。
さーて、次回の「悪魔幼女が俺の嫁なら世界が敵でも怖くない」、略して「アマゾナ」は?
メギドです! それにしてもかるかの信徒になった男って、俺のストライクゾーンよりも低いかるかでロリに目覚めるとはなかなかの逸材だね。機会があったらいっぺん会ってみたいもんだよ。
次回、「残念演説」。ぜってえ読んでくれよな!




