#53「布教継続」
「うーむ」
次に相談してみたナンは、セリエルみたいにぶちキレこそしなかったものの、リアクションはよろしくない。
「事情はだいたいわかったし、力にな、なれ、くしゅん。なれるならなりたいとは、くしゅん。思う、くしゅん。思うのだが、くしゅん」
急にクシャミを連発しだしたナン。見れば両目も充血してる。
「実は私はネコアレ、くしゅん。アレルギーがあって、近くにいるとこの、くしゅん。ように、くしゅん。クシャミが止ま、くしゅん。止まらなく、くしゅん。なって、くしゅん」
「あー、もうわかったから。ゴメンね無理言って」
「くしゅん。くしゅん」
ホントにクシャミが止まらなくなったナンを残して、この場からも早々に退散した。
†
「アタイは反対だ。警察なんか信用できねー」
「まあまあそんなこと言わないで。長谷皮さんだって一応知り合いなんだから」
ぶーぶー文句を言うチェリーをなだめつつ、交番に行くと長谷皮はいない。座ってた巡査に聞くと、奥の部屋に通された。
「うわああん、全然終わらないですう」
畳敷きの小部屋に正座して、長谷皮が泣きながら何か書いてる。
「あっ、賽河原さあん。助けてくださあい」
「何してるの」
「この前の駅前で発砲した件で、始末書を10万文字書かなきゃいけないんですう」
「10万文字って」
そんなに長い文章が書けたら、どこぞの小説大賞に投稿だってできる。
「で、今はどれくらい書いたの」
「ええと、500文字くらいですう」
「……」
小学生の読書感想文だってもうちょっと長く書くぜ。
「それじゃあ残りの9万9500文字をかるかが書いたら、きっと信徒になってくれるに違いないよ。さあレッツトライ」
「絶対無理じゃろ!」
まあそうだろうな。それに、かるかが始末書を書いても長谷皮が反省したことにならないし。
「ホラ見ろ。やっぱり警察は信用できねー」
「いや、これは信用どうこうの問題でもないんじゃねえの」
「誰でもいいから助けてくださあい」
泣き叫ぶ長谷皮の声が、立ち去る俺たちの背後で聞こえた。
さーて、次回の「悪魔幼女が俺の嫁なら世界が敵でも怖くない」、略して「ラノカキ」は?
魔法上等恥無恥無チェリーだゴラァ! 長谷皮が始末書のせいで出てこれねーからってんで、アタイに順番が回ってきちまったぜ。なんでアタイが警察のケツ拭かなきゃなんねーんだよ!
次回、「猫神降臨」。ぜってえ読みやがれコノヤロー!




