#46「特攻続行」
駅前から逃げ出して、走ることしばし。辿り着いた公園でやっと一息ついた。
「ぜえ、はあ、ここまで、逃げれば、大丈夫、ぜえ、だろ」
夜の公園は人けもなく、遊んでる幼女もいない。ヘロヘロになりながらベンチに座ると、先に着いてたチェリーが自販機のお茶をくれた。
「あ、どうも」
「4本で600円」
ちゃっかりチェリーの分まで請求されたけど、中学生におごられるワケにもいかないからおとなしく1000円札を渡す。大人だから、お釣りをくれなくても気にしない。気にしないんだったら。
冷たいお茶を飲んで息も整ってきたところで、ロロロに尋ねてみる。
「どうする、まだ続けるのか?」
「ぬう、何だかそういうテンションでなくなりしぞ」
「アタイもだ。あの警察のせいで、すっかり気が抜けちまった」
そりゃキレた警官に銃を乱射されたら、ケンカどころじゃなくなるだろう。ある意味、長谷皮の行動は正しかったのかもしれない。警官としては完全に間違ってるけど。
ロロロとチェリーは互いに見つめ合い、どちらからともなく差し出された手をグッと握った。タイマン張った後に友情が芽生える説が、まさかこんなところで実証されるとは。
「一件落着のようですわね」
お茶を飲みながらつぶやくセリエルに、ロロロは告げる。
「いや、まだぞ。おまえの尻にドリルで穴あける作業が残りしぞ」
「まだ覚えてたのかそれ……」
元はと言えば今回の発端はロロロとセリエルのケンカなんだから、そこに戻ってくるのは必然なのかもしれない。
「という次第なれば、チェリーも手伝え」
「ダチの頼みとあっちゃあ、断るワケにはいかねえなあ」
「ええっ、何ですのこの構図は!?」
いきなり1対2の状況になったセリエル(1がセリエル)、慌てて俺に助けを求める。
「そこの人間、今すぐアタクシに加勢なさい! この状況はあまりにもアンフェアでしてよ!」
「いや、俺がロロロの敵になるはずないじゃん。フェアである必要もないし」
「あんまりですわあああああ!?」
俺にできるのなんて、せいぜい「ドリルはやめとけ」ってロロロに助言するくらいだ。
さーて、次回の「悪魔幼女が俺の嫁なら世界が敵でも怖くない」、略して「ガマキモ」は?
長谷皮ですう。ついカッとなってあんなことしちゃいましたけど、別に悪気はなかったんですよう。上司の人たちも怒らないでほしいですよねえ。
次回、「猫耳強化」。ぜってえ読んでくださいねえ。




