#45「官憲暴走」
いきなり轟いた銃声に、ロロロとチェリーも思わずフリーズ。もちろん俺も。
おそるおそる振り向けば、長谷皮が銃口を上空に向けてスタンディング。どうやら威嚇発砲をしたっぽい。
「ケンカはやめなさあい」
ドスの利いた声でうめく長谷皮。目が据わっててかなりヤバげな状態。
「いや、あのさ長谷皮さん。銃とか使うのは趣旨が違ってきちゃうからさあ」
説得しようとした俺の耳元をかすめる銃声。後ろでコンビニか何かのウィンドウらしき、ガラスの類が元気よく砕け散る音が聞こえる。
「次は当てますよう」
いや当てちゃダメじゃん。なんて思うけどとても言える状況じゃナッシング。周りのギャラリーたちもロロロやチェリーとは本質的に違うヤバさを感じ取ったのか、ザワザワと動揺が広がる。
長谷皮はそっちに向かって躊躇なく発砲。パチンコ屋の看板が吹っ飛んで、悲鳴をあげて逃げまどうギャラリー。
「逮捕です逮捕ですう。公権力に逆らう不逞の輩は、残らず逮捕して射殺しまあす!」
「それ逮捕する意味ねえだろ!」
「なら直接射殺でございまあす!」
ダメだこいつは。大暴走キャノンボール状態で銃を撃ちまくる長谷皮は無敵。むしろ今一番逮捕されるべきなのは彼女なんだけど、それをできる警官が彼女だけっていう困りングな事態。
「メギド、とりあえず逃げしぞ」
「わかった」
ロロロとチェリーはとっくに戦闘を止めて、早くも逃げの体勢に入ってる。そもそも長谷皮がキレる原因になった俺たちがこの場からいなくなれば、たぶん彼女も落ち着くだろう。
「ほら、おまえも逃げるぞ」
まだ気絶してたセリエルの肩甲骨を指でなぞると、ビクンビクンしながら復活した。
「はひゃあ! な、何事ですの?」
説明してるアディショナルタイムはない。俺とロロロでセリエルの両手を引っぱって、全速力で駅前から退散した。
さーて、次回の「悪魔幼女が俺の嫁なら世界が敵でも怖くない」、略して「ナナカイ」は?
頑河ナンだ。何やら駅前が騒がしかったようだが、私は自転車通学だから詳しいことは知らない。通学の途中はいつも、カレーのことで頭がいっぱいだしな。
次回、「特攻続行」。ぜってえ読めばいいと思う。




