#23「年齢詐称」
ロロロが長谷皮に示したのは、誰がどう見たって自動車の運転免許証。しかもオートマ限定。
「賽河原六六六……」
「28歳。おまえより年上ぞ」
免許証をガン見する長谷皮に、えっへんと薄い胸を張るロロロ。そりゃ何百歳とか10万何歳とか言い出すよりはマシだけど、その見た目で28歳って言い張るのはいくら何でも無理があるんじゃ――
「はわわ、大変失礼いたしましたあ」
「信じた!」
素直なのかバカなのか、免許証に書かれた生年月日をあっさり信じた長谷皮。脳に行くべき栄養を全部胸に持ってかれてるんじゃねえのか。
「でもでもお、体操服なんて着てるからさ、てっきり子供だって思うじゃないですかあ」
「これは趣味ぞ」
「趣味って!」
かなり強引な言いわけだけど、長谷皮は年齢の件と同じくあっさり信じた。人間としては好感が持てる素直さだけど、警官としては大丈夫なんだろうか。
「ロロロはれっきとした大人で、こいつの妻ぞ。何もやましきことなぞあらぬ」
「なるほどお、そうだったんですねえ。きっと通報した方も勘違いしたんでしょう」
長谷皮はこっちが拍子抜けするくらいあっさりとロロロの言い分を信じて、「それじゃあお騒がせしましたあ」って退散する。エレベーターが下りる音が外から聞こえてから、俺は安堵の息をフー。
「危なかった……」
「情けないヤツぞ。普段何でもできるなどと言いしくせに、肝心なとこで全く役に立たぬ」
「うう」
ロロロの言う通り、長谷皮に対して俺は何もできないでただ寒さの夏みたいにオロオロ歩いてるだけだった。これじゃいかんよ。
「それにしても、よく免許なんて取れたね。いつの間に教習なんて受けてたの」
「バカかおまえは。そんな簡単に取れしワケなかろう。偽造せしぞ、偽造。図書館の貸出カード作るのに必要ゆえに作りしぞ」
どうやらロロロが指輪の時みたいに、口から精製したみたいだ。よくよく考えたらロロロが車の運転なんてできるはずないよね、足がアクセルに届かないし。
さーて、次回の「悪魔幼女が俺の嫁なら世界が敵でも怖くない」、略して「マメラテ」は?
メギドです! 車あると出かけるのにも便利だよね。まあ東京だと駐車場代も高いから、マイカーなんてなかなか持てないけど。俺そもそも免許ないし。
次回、「天使再襲」。ぜってえ読んでくれよな!




