#17「逆襲天使」
「ほほう、これなかなかの蔵書ぞ。バチカンの修道院には遠く及ばざりしが、これだけの書物を民間に開放せしは称賛ものぞ」
生まれて初めて入った公共図書館で、ズラーリ並んだ書架の列を見ながらロロロはすっかりテンション上がりまくった状態。体操服姿ではしゃいでるのを見ると、いかにも見た目年齢通りのリアクションでほっこりする。
それからロロロが本を読んでる間、俺は高いとこの本を取るのを手伝ったり重い本を運ぶのを手伝ったり児童書のコーナーに集まってる幼女をチラ見したりして有意義に過ごした。
ようやく図書館を出る時分にはすっかり日も暮れて、夕飯の買い物して帰ろうかって頃合い。そこに叫び声が響く。
「フハハハハお待ちしていましてよポンコツ悪魔と他1名! 先程は卑劣なセクハラ攻撃のせいで不覚をとりましたけれど、今度は本気を出して差し上げましてよ! 今すぐエンジンをかけますから、終わったらどこからでもかかって――」
ずっと待ち構えてたらしいセリエルがチェーンソーのヒモを引っぱってる間に、俺は背後に忍び寄って、耳に息をフーッてやる。
「あひゃあ!?」
ビクンビクンってなってるセリエルの顔面を、猛ダッシュしてきたロロロがワンパンで吹っ飛ばす。自販機に叩きつけられて缶ジュースにまみれた光景は既視感が半端ない。
「邪魔者片付きしぞ、いざ買い物行かん。ロロロはハンバーグ弁当食べたきぞ」
バタンのキューで倒れてるセリエルの横を、みんなスルーして通り過ぎてる。ひょっとしたら、結界はあんまり関係ないんじゃねえのか。
さーて、次回の「悪魔幼女が俺の嫁なら世界が敵でも怖くない」、略して「ヨガイモ」は?
セリエルでしてよ! 普通ああいう時って、チェーンソーが動くまで待つのがエチケットではございませんこと? これだから悪魔はキライなんです、いつかぶっ殺す!
次回、「混沌作戦」。ぜってえお読みあそばせ!




