#129「悪魔再臨」
「どうしましたセリエル。無能なのは最初から知ってましたが、敵と味方の区別もつかないほどバカだとは思いませんでした」
チェーンソーで切りつけられたっていうのに、ムシャ子は痛そうなそぶりも見せないで平然と言い捨てる。
切りつけた側のセリエルは、面と向かってバカにされてるのにヘラヘラ笑ってる。
いやヘラヘラってよりも、むしろ高笑いだ。
「ふふ、ふははははは! 雑魚を装いしもいい加減飽きしぞ!」
「おいセリエル、何か急にキャラが変わって――」
セリエルは高笑いをしながらチェーンソーを軽々と投げ捨てて、そのまま天井近くまでフワリと舞い上がる。
「まさかあなた――」
「そのまさかぞ」
空中でセリエルの姿が日曜朝にやってるアニメの変身シーンみたいにピカーンって光ったかと思うと、上に浮かんでるのはセリエルよりもずっと露出の多い、褐色肌の女の子に変わってる。
「邪悪なる悪魔、賽河原ロロロ。見参ぞ」
「前の設定が残ってるんですか?」
これまで余裕をぶっこいてたムシャ子の表情に、初めて動揺する様子が見えた。
「運営に設定消されし前に逃げ出せり。自力ではおまえを倒せぬゆえ、ロロロのパラメータ上げるよう誘導せしぞ」
「この世界にいなかったのは、そういう理由でしたか」
ロロロと名乗った自称悪魔とムシャ子だけで会話が進行してるところに、ちなつが割って入った。
「ちょっと待てや、オメエがセリエルに化けてたなら、本物のセリエルはどこにいんだよ?」
「そこぞ」
ロロロが指を鳴らすと、いきなり「消火栓」って書かれた非常ベルの付いてる扉がバーンと開いて、中からグルグルに縛られたセリエルが転がり出てきた。
「うぐ、うぐぐぐ!」
猿ぐつわを噛まされてるせいで、何を言ってるのかわからない。博子があわててムシャ子に指示を出す。
「何をしてる、さっさとほどいてやらんか」
「かしこまりましたドクター」
急に周りがバタバタしてきた中で、ロロロは上からムシャ子を見下ろしてニヤリと笑む。
「さあ、ここから楽しきショータイムぞ」
さーて、次回の「悪魔幼女が俺の嫁なら世界が敵でも怖くない」、略して「ロマンティックと下痢が止まらない」は?
ドンペリ父さんです。ドンペリドンペリ。皆さんは暗躍していますか。ドンペリはドス黒い機密の味。密談のお供や消火活動にどうぞ。
次回、「再度求婚」。ぜってえ読むでドンペリ。




