#103「忍術無残」
意識が戻ると、傷はいつの間にかすっかり治って――
「ねえ! いってえ!」
腹が冷凍イカで刺されたみたいに内側から痛い。ていうか実際その通りにされたんだった。場所は刺されたのと同じ場所で、特に移動はしてない模様。
「血を止めしだけゆえ、傷はそのままぞ」
「治してよ!」
「おまえ最近調子に乗りすぎぞ。反省せよ」
最近も何も、かばねに食われて死んでから生き返ったのが昨日の夜で、会社の帰りに詰恋と会って、研究所に行ったら博士が消滅して、さらにその帰りにイカで刺される。調子に乗るどころか、何なんだこの激動の2日間は。
「くっそう、標的が人間じゃないなんて聞いてないでゴザル」
声のする方を見たら、俺のすぐ横であぷりがグルグルに縛られたまま転がってる。どうやら俺が失神してる間に、ロロロが好き放題やらかしたみたいだ。
「ていうか、俺は人間じゃなかったんだ」
そりゃ1回死んでるし目も赤いし、人間と言い張るには無理があるよなあ。
「さて、メギドも気がつきしゆえ尋問始めしぞ」
ロロロの手には、ビルの壁から引っこ抜いた冷凍サンマ。さすがにフルートは手元に用意がないらしい。
「それをこの子のケツにぶっ挿すんだな? エロ同人みたいに!」
「ええっ!?」
驚きのあまり、叫び声をあげるあぷり。いいねえ、そんな子がアンアン言うとこを聞きたいよねえ。
「挿さぬわ、このド変態め。調子乗りしはそういうとこぞ」
もちろん女の子に危害を加えるのは俺も大反対だけど、エロが絡むと理性を失っちゃうんだよなあ。
「ロロロも手荒なマネはしたくなかれど、どうしても依頼人を教えねば――」
「その時こそはケツにサンマを!」
「……おまえ本気で殺してやらむか?」
思わぬところでロロロとあぷりの利害が一致した。今でさえ腹が痛くてしょうがないのに、ホントに殺されちゃたまったもんじゃないから、しばらく黙ってよう。
「かくなる上は! 忍法縄抜けを」
縛られたままでモゾモゾ動くあぷりを、ロロロが上から踏みつける。
「踏むのズルいでゴザル! これじゃ抜けられないでゴザル!」
「そのまま抜けさせしはずなきぞ。バカか」
「はーなーせーでーゴーザールー!」
急にジタバタしだしたあぷり。やっと年相応な子供っぽいとこが見られて、嬉しいやらエロいやら。
さーて、次回の「小悪魔ナースが俺の嫁なら世界が敵でも臓器摘出」、略して「ナス」は?
メギドです! みんなは幼女に刺されたことってあるかな? それも冷凍イカで。これ超痛いよ、マジで! みんなも刺されないように気をつけようね!
次回、「降伏忍者」。ぜってえ読んでくれよな!




