#101「暗殺指令」
「賽河原メギド、お命頂戴でゴザル」
俺とロロロにいきなり冷凍サンマを投げつけてきやがった刺客は、蛍光オレンジの装束に身を包んでるくせに顔だけ出した7、8歳くらいの女の子。俺のストライクゾーンとしてはかなり低めだけど、バットを伸ばせばギリ届かなくもない。
「バットって言っても、下ネタじゃないよ?」
「誰と話せしかおまえは」
ロロロのツッコミはさておき、女の子は新たなサンマを構えつつ、こっちに向かって名乗りをあげる。
「拙者は揚々流忍術の使い手、あぷりでゴザル。貴殿の殺害を命じられ、参上つかまつったでゴザル」
こっちが聞いてもないのに、色々しゃべってくれた。どうやら忍者らしいんだけど、服装といい態度といい、忍んでる要素がミジンもねえ。
けど、今の発言からだけでもわかったことがある。
「殺害を命じられたってことは、命じたヤツがいるんだな」
これは推測だけど、かばねに俺を食えって言ったのと同一人物なんじゃなかろうか。
「依頼人の秘密をそんな簡単に明かすワケないでゴザル。バカでゴザルか」
「だったら力ずくでも聞きだしてやろうか」
もちろん幼女に暴力をふるったりはしないけど、耳をはむはむしたり、服の上からこちょこちょしたりするのはセーフだよね?
「あ、なんか興奮してきた」
「どうせしか、さっきから」
ロロロが呆れた様子で尋ねてくる。悪いけどこればっかりは、自分で制御できないんだよ。
「力ずくとか超ウケるでゴザル。おまえらはここでぶっ殺される運命でゴザル」
「はっ。ロロロはさっきのムシャ子とせし戦闘が中途半端ゆえ、まだ暴れ足りじぞ。ナメたこと言いせば、尻にフルート突き刺していい音の屁を出させしぞ」
「やべえ、それも興奮してきた!」
「……」
ドン引きのロロロが、戦闘を中断して俺に告げる。
「おまえ、もう先に帰りてよきゆえ、シコって寝よ」
欲望のレベルが上がりすぎて、自分でもその方がいいかもしれないって思ったけど、あぷりが手に持ったサンマを投げつけて阻止してくる。
「このまま帰すワケがないでゴザル。さっさと死ぬがいいでゴザル」
そう言って、服の中からさらに冷凍のアジを取り出す。そんなに凍った魚ばっかり服に入れて、おなかとか冷えないのかな。
さーて、次回の「松尾芭蕉が俺の嫁なら世界が敵でも水の音」、略して「芭蕉水」は?
ソドミです! サンマは塩焼きもいいけど、フライやつみれ汁にしてもおいしいよね。でもあたしはそれよりお兄ちゃんの(以下自粛)
次回、「冷凍死闘」。ぜってえ読んでちょうだいね!




