5-24 孤立無援
XXX:名無しのストーカー
いやまあ、確かに形だけは非力だけどさ。
XXX:名無しのストーカー
おん?なんか含みのある言い方やんね。何かわけあり?
XXX:名無しのストーカー
訳アリっていうか、イツキの知り合いっていうか、
XXX:名無しのストーカー
おう身内!
XXX:名無しのストーカー
身内でもないんだよな。どっちかというと道端の石というか…被害者?
XXX:名無しのストーカー
何か不穏な雰囲気wktk。
XXX:名無しのストーカー
特定は勘弁しろよ。やったら逃げるからな。
XXX:名無しのストーカー
おk。わかったから極秘情報プリーズ
XXX:名無しのストーカー
おkおk、でそんな貴方は何が言いたいのん?
XXX:名無しのストーカー
ホントに大丈夫かよ…。まあ、この際だからいうけど、まあ、言葉の通りだよ。
XXX:名無しのストーカー
うん?
XXX:名無しのストーカー
よくもまあ、あの鬼を攫おうと思ったなって。
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このまま放っておくとどうなるか、
それは電流が流され、僕は苦痛を味わう。
更に通電された筋肉は破壊され、それは僕の身体能力の低下を引き起こす。
つまり、数的な不利に加えて身体的な不利も抱え込むことになる。
その状態で抵抗することは難しい。
しかし、回復する時間は無いだろう。
繰り返し通電され、筋肉を壊され、精神も消耗され、
そして待っているのは虚無の果て。
何も感じないが故に感じる死神の手が、僕の下半身を引っ掴んだ。
僕は体を動かした。
上は男二人に押さえつけられている。なので上には無理。
下は机に支えられている。
だから動くのは横方向。つまりは前へと進むため、僕は足を動かした。
その体は僕の乗る机に阻まれる。しかし、固定もされていない机は僕の動きを阻害しない。
音と共に、机が動く。向かう先は僕の目の前、
「きゃあああああっ!」
電源に指をかけた女のいる方向だった。
だけど僕は気にしない。気にする余裕は残ってない。
ここはウサギ小屋と称される日本家屋の一室だ。全力で机ごと前進し、机と壁で女をサンドイッチにする。
「げふっ」
それは女の腹を強打。口から空気を押し出した。
そして、僕が前に進んだことで、僕を抑えていた男たちはたたらを踏んだ。
僕を上から押さえつけるには、体の距離が離れすぎてしまったのだ。
僕はそれを逃さない。緩くなった拘束に対し、全力でもって抗った。
男たちはそれに最適の行動がとれなかった。僕の体を押さえつけようとし、そしてできずに僕の体の横を滑っていく。
上体を起こす僕の横を、男たちが机に突っ伏していく。
その隙は逃がさない。倒れる男の、その片方の頭に向けて、僕は縛られた両手を振り下ろす。
落下の加速に加えて、僕の背後からの一撃。
「ヴォッフ!」
予想外の一撃に、男はくぐもった声を上げた。
それだけでは済まさない。頭を掴み、全身で引く。
男の上体は引き起こされ、そしてさらに引っ張られる。
男はそのまま後ろへと引っ張られ、僕の力に抗えずにそのまま後方へと投げ出された。
落下の音が響く。それを確認しながら、僕は残った一人の方を向く。
そいつは体勢を立て直し、僕をねめつけていた。
「てめぇ、舐めやがって!」
何か言っているが、認識しない。どうせ罵倒しかしてこない。
僕は男に近づいた、無防備に。
無言で睨み付ける僕に男は警戒しているが、僕の体格差は油断させるには好都合だった。。
「おらぁ!」
拳を振り上げて襲い掛かってくる。掛け声をかけ、大ぶりの、何処を殴るのかがわかりきった一撃。
避けるのは簡単だった。顔面を狙ったそれがぶつかる直前。片足の力を抜く、
バランスを崩した僕の体は抜けた足の方へと体を沈め、横に逸れた。そしてそのすぐ横を男の拳が飛んでいく。
つまりは僕に当たらなかった。そして、僕の目の前には、拳を振り切って無防備な男の顔。
逃すつもりは毛頭なかった。縛られた両手を全力で振り上げる。
狙いは男の首元、顎だ。男がそれを理解したかはわからないが、しかし、それに対処することは不可能だった。
衝撃と同時に、男は後ろにのけぞって倒れた。うまく入った。これでしばらく動けない。
女は腹を撃たれて呼吸が難しい、さっき殴った男も動けない。
「ううっ」
これで残るは立ち上がりかけている男のみ。これでやっと“潰せる”。
僕は立ち上がりかけている男の膝めがけて、全体重を乗せて跳躍した。
男はまだ気づいてない。その膝めがけ、僕の体重約60㎏の全てが今、横から伸し掛かる。
膝は前後方向に動く関節だ。そこに横方向から荷重がかかればどうなるか。
答えは簡単だった。軽い音が膝から響く。同時に、その膝は僕の蹴った反対方向へと『く』の字に折れ、曲げられていく。
「ぎゃ――――」
その激痛に叫び声を上げようとする男。
僕はそれを許さなかった。叫び声をあげる口。そこめがけて、僕はこの手を突っ込んだ。
「ふがっ」
叫び声がくぐもった声に変わった。これで終わりにはしない。あと二人、残ってる。こいつは手早く片付けないといけなかった。
僕は男の顎を両手でつかんだ。口の中はぬるりとしているが、しかしその骨格は握るのにちょうどいい大きさをしていた。もう片方の手は外から掴む
そして片足を男の胸元にかける。これで準備は完了。
ちょっとだけ呼吸を整えて、僕は全身の筋肉を使ってその顎を引っ張った。
顎の筋肉でしか支えられていないそこは耐えられるはずもなかった。一瞬の抵抗のあと、スポンという小気味いい音が聞こえそうなほど景気よく顎が外れる。
「あ、ああああーあおあああ」
男が声にならない声を上げた。
だから騒ぐな。僕は男の顔を思い切り踏み蹴った。
ようやくそれで男は意識を手放した。フリかもしれないが、膝を破壊しているのでこの男は動けない。騒がないならほっといていい。
僕は座っていた椅子を持ち上げると、未だ挟まれている女めがけて投げつけた。
この女は碌な訓練も受けていないらしい。顔面に椅子を投げられても抵抗できず、すぐにまた痛みで体を悶えさせる。
この女は今はこれでいい。重要なのは残った男。
男はようやく意識を取り戻したようで、上半身を起こしたところだった。
丁度良かった。僕は跳躍。狙いは敵の脛部分。
男はそれに気づかなかった。だから容赦なくその脛に飛び降りる。
僕の全体重を、その一点にかけて思い切り踏みつけた。
小気味いい聞きなれた音と共に、肉の潰れる音がする。
男の脛が折れたのだ。おまけに、僕の体重でそこにつく肉も潰され、破壊された。
これでこいつは動けない。
やっぱり叫びそうになったので、こいつも顎を外して気絶させた。
さて、残るのはあと一人。
僕は女を開放した。挟まれた机をどかし、壁から引き離した。
「げほっげほっ」
床に四つん這いになり、こちらを確認もせずに激しくせき込む女。
都合が良かったので、僕はその足首を同じように全力で踏みつけた。
「ぎゃああああ!」
女が女らしくない声で叫び声をあげた。
アキレス腱が損傷。その痛みはどれほどか。
今の僕は知ったこっちゃない。騒がれたらまずいので、女の顔を殴りつけて黙らせる。
何度も何度も、殴るうちに声はだんだんと消えていき、最終的には悲鳴一つ上げなくなっていた。
僕は殴るのをやめる。
「やめて、こんな悲しい事をしないで。貴方はこんなことをする人じゃないはず」
女が何かつぶやいているが、騒いでいないなら無視していい。
僕は女の腕を手に取った。手首をつかみ、その肘に足を乗せる。体重をかけて肘を固定だ。
「まって、痛い、何をするの。ねえ、やめて」
僕は掴んだ女の手首を、僕の筋肉の全てを使って引っ張った。
女の腕の筋肉一本、僕の体の全身筋肉。
分かり切った結果は音が知らせてくれた。ミシミシという、繊維が骨から剥離する感触がした後、小気味いい音が肘から鳴く。女の絶叫が上がりかける。
僕は全力で何度も殴り、再び女を殴らせた。
とりあえず、これで一安心。
「ふーっ」
とりあえず、深呼吸。
不安は残るが、今後何が起こるかわからない。今しかできる時間はない。僕は僕の腕に力をかけた。
じわりじわり、ロープに縛られた僕の腕はそのロープの拘束に反する動きを取り、その腕を締め上げていく。
痛いが、我慢。さらに負荷をかける。
骨が想定外の負荷に悲鳴を上げる。これ以上はダメだと、痛みとして僕に信号を送り続ける。
だけど僕は止めなかった。何故なら、それが目的だから。
コキリという小気味いい音が僕の手首から鳴り響いた。
同時に、縛っていたロープの拘束が緩む。手首の関節が外れ、出来たスペースによってロープの張力がなくなったからだ。
こうなればこっちのモノ。開いた隙間から手を抜いて、僕は自由を手に入れた。
その代償は地味に高かった。無理やり外した手首からは、今も激痛が僕の脳めがけて抗議の声を上げている。
あまりのうるささに僕の脳が脳内麻薬をまき散らす。それは僕の意識を遠のかせ、そしてものすごい気持ち悪さをもたらした。
だけど、それも時間経過で回復する。
普通なら、それに叫び声をあげても無理からぬことだろう。
ただ、僕はそうは思わない。苦痛もあるが、それが僕に心地よさを与えてくれた。
痛みを感じるだけ、それはまだましだからだ。
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XXX:名無しのストーカー
鬼とはまた、何ともすごい二つ名やんな。
XXX:名無しのストーカー
アレですか、小悪魔的な、子鬼ちゃん?日本鬼子ちゃん?
XXX:名無しのストーカー
いやまあ、どう思うか知らんけどさ。そのまんまのイメージで受け取ってほしいかな。乱暴者とか復讐鬼とか、そんな感じの怖い方のイメージな。
XXX:名無しのストーカー
ベッセルきゅんからは想像がつかんな。
XXX:名無しのストーカー
そうか?ゲームの中だとこないだ見境なくべこべこに叩き潰してたろ。
XXX:名無しのストーカー
そう言う意味とも違うんだろ。ていうか、話聞けばわかるだろ。黙れお前ら。
XXX:名無しのストーカー
おk
XXX:名無しのストーカー
おk
XXX:名無しのストーカー
まあ、要は中学のときなんだけど、それはもう筆舌に尽くしがたいくらい暴れたからね。物理的に。そんな危険物攫うなんて度胸があるなと。
XXX:名無しのストーカー
おう、やんちゃぁ。ちなみに、その原因は。
XXX:名無しのストーカー
よくあるいじめ。あいつ、ちょっと口にも出せないくらいひどい目に遭っててさ。それでも耐えてたんだけど、ある日耐えきれずに大暴れ。
XXX:名無しのストーカー
ふーん。それだけ聞くとまあ普通じゃんね。
XXX:名無しのストーカー
ただ、それだけだと誘拐犯の方を心配する理由にもならんよな。生半可に抵抗したって跳ね返されるのがオチじゃないか?ガキのいじめですら抵抗しようとするやつは少ないだろ。
あいつら本職でガチもんだろ?容赦ないだろ。する必要がない。
XXX:名無しのストーカー
まあ普通のいじめならイツキ君も耐えてたよ。俺が耐えられたか知らんけど。
ある日というか、アレのせいで明確にあいつの頭の中で何かが壊れたんだろうな。あそこまでされないと反撃できないというか、よくそこまでされてやる気になったなというか。
XXX:名無しのストーカー
おう、アレな、アレは流石にやべーよな。
XXX:名無しのストーカー
知っているのか雷電!
XXX:名無しのストーカー
あたぼうよ。ほら、アレよ。アレ。
XXX:名無しのストーカー
お前らこの期に及んでふざけんな
XXX:名無しのストーカー
スマソ
XXX:名無しのストーカー
で、アレって何?
XXX:名無しのストーカー
階段から突き落とされて腰部損傷、神経断裂。死ななかっただけマシって状況。
イツキ君、ガキのいじめで一度半身不随になってるんだ。