第8話 傾国の王女
「「「「おおっ!」」」」
俺たちは遂に西の町サノンに到着した。
予定通りにサノンの町に到着できたのはよかった。
入学試験まであと三日だ。
俺たちは入学試験の申し込み後各自、自由行動をとることにした。
とある友人2人は観光旅行、またとある親友は魔物狩り、そして俺は第三能力学校の図書館と意見が分かれたためだ。
俺が能力学校の図書館に行く理由はただ一つ、能力の向上だ。
俺の能力"時支配"は時関係の能力を全て使えるという能力を持つが、実際はその能力について深く知識を得ていないと使用できない。
深く知識を手に入れる一番手っ取り早い場所は図書館、これしかないだろうと思い来たのだ。
俺がまず手に入れたい能力は二つ。
一つ目は"空間転移"の能力。この能力は空間系の能力であるが時間を司る次元にも関係している為、時支配の範囲内のはずである。
二つ目は"時間停止"の能力。この能力は時間系の能力でも最強と言われている。だから手に入れたいのである。
能力学校の図書館は許可を取れば一般人でも自由に使えるそうなので、まだ入学していない俺でも利用できそうだ。
図書館に向かって歩いていると、ガラの悪いチンピラ連中が一人の少女に絡んでいた。
少女は金髪碧眼で気品がありながら気も強そうな感じだ。
「お嬢ちゃん、俺たちと遊ぼうぜ。」
「俺たちについて来たら気持ちいい事教えてやるよ。」
「勿論、損はさせねーぜ。」
チンピラ連中が言う。
それに対して少女は露骨に不快感を示す。
「いいえ、結構です。」
ああ、キッパリ断られちゃったね、残念。
まあ、断られて当然か。って、チンピラ連中が怒りで震えている。
大丈夫かな?
「調子にのってんじゃねーぞ、クソアマー!」
案の定チンピラのリーダーがキレた。これはマズイ。
急いで止めにかかる。
しかし、その必要はなかった。
メキッミシッ、ボキッ!
「フギャッ!」
なんとチンピラのリーダーの腕が一瞬にして砕かれたのだ。
周りのチンピラ達も俺も少しの間呆然とする。
だが、チンピラ連中が急にソワソワしだし、遂に
「「「「す、すいませんでしたー。」」」」
と言って額を地面に擦り始めた。なんて変わり身の速さだ。
って言うか強いね、お嬢さん。
いや、この人を俺は知っている。
「レーティシア、どうしてここに?」
「っっ!ミグルじゃない。」
彼女はロート王国の王族レーティシア フォン ロートだ。
前にある出来事で知り合ったのだ。
「どうしてここにって?」
「おまえ王族だろ?能力学校にはいかなかったのか?」
「何言ってんの?行くに決まってるじゃない。第三能力学校に。」
「っっ!」
王族は歴史の古く、何よりも王都にある第一能力学校に行くと思っていた。
「べ、別にあんたがここに来るからってここに決めたわけじゃないんだからね。」
「ん?」
何を言っているのだろう。
まあ、彼女なりに考えがあって入学したのだろう。
彼女は強力な能力を持つ王族の中でも珍しい固有能力の持ち主だ。
彼女は彼女自身の能力の強さと身体能力の高さで王国屈指の実力者である。
彼女の二つ名【傾国の王女】は他国にまで広まっている。
「あんたはところで何してんの?」
「能力学校の図書館に向かっている。」
「なるほど、能力強化ね。」
「まあ、そうだね。」
「し、仕方ないわねー。あんたに付き合っであげる。」
「別にいいよ。入試対策は大丈夫か?」
「大丈夫よ。それに私がいた方が手続きとか何かと便利でしょ。」
俺の事情に付き合わなくてもいいのに。
その事を伝えたが、何故か結局強引に押し切られて一緒に図書館に行く事となった。
ツンデレヒロイン登場です。
そして祝ヒロイン第一号?となります。
これからもよろしくお願いします。