第4話 黒竜現る
「気をつけて行くんだよ。」
そう言ったのは教会の院長フェノメだ。
模擬戦から三日後俺たちは村を出た。
第三能力学校は王国の中では西に位置している町サノンにあるが、この村は王国の辺境であるためかなり離れている。
2週間弱くらいはかかるのではないだろうか。
因みにここ三日間は村のみんなとのお別れ会や長旅で必要不可欠である物を買ったりと忙しかった。
冒険者ということでアイテムボックスを持っていて助かった。
これがなかったら2週間弱の旅なんかできなかっただろう。まあ、冒険者になってなくてもギルドで購入すればいい話だけど・・・。
2週間弱はあくまで予定なので急ぎたいところだ。
「ブラックドラゴンには気をつけなさい。」
ブラックドラゴンとは魔物の中の危険ランクが最上級の魔物である。今の俺たちでは勝つことは難しいだろう。
しかし、今回の旅ではブラックドラゴンの生息地周辺を移動するためこのことを言われたのだ。
本当は嫌だったのだが、一番近道だったので多数決で決定した。
「なんでこの経路なんだ。」
「いやー、出会うか出会わないかの瀬戸際を楽しむんじゃないか。」
「出会っても倒せばいいしね、ミグルが。」
「人任せにするな。お前がやれ!」
「いやー、いくら特殊持ちでも無理だよ。最低で固有レベルじゃないと。」
「最低でもだろ!俺じゃ絶対無理だよ!」
俺の能力"時支配"は成長系の能力だ。しかし、まだ俺の能力はまだ少なく俺自身は固有能力者のレベルには達していないと考えていた。
実際、固有能力者の戦いを前に一度見たことがあるが、今の俺では勝てる気がしない。
「まあ、なんとかなるだろ。」
「適当すぎる。ところでなんでクテアはユウヤとメイテスの味方したんだ?戦いは嫌いなんだろ?」
「あまり好きではありませんが、ミグルさんなら大丈夫でしょう。ドラゴン肉も食べたいですし。」
ドラゴン肉はその濃厚な旨さと市場にあまり出回らない希少性で超高級品だ。
しかも食べた時、強い魔物ほど自らの生命力や能力成長を促すとされている。
って言うか戦う気なのね。
「ありがとう。行ってくるよ。」
こうして俺たちは村を出発した。
1週間後
俺たちは今回の旅でブラックドラゴンの生息地に一番近い所を移動していた。
ここ一週間魔物と戦いながら来たがたいして苦戦もせずに来ることができた。
しかし、ここでは俺たちの緊張感は上がっており、口数も少なくなっていた。
「流石にドラゴンの生息地周辺だな・・・魔物の数がすくない。」
「まあ、それだけ手間が少なくていいってことだね。」
まあ、確かにその通りであるのだが
グ、グルアァァァァーーーー!!
突然、巨大な叫び声が響いた。俺たちはすぐに辺りを警戒する。
しかし時すでに遅し。
俺たちの前に黒く禍々しい竜が降り立ったのだ。
俺たちは即座に鑑定メガネをはめる。これは出会った魔物の種族や能力を鑑定する道具で出発前に村で買った物だ。因みに人間の能力は鑑定出来ない。
種族 ブラックドラゴン
黒竜
身体能力補正(極大)
再生能力補正(極大)
五感能力補正(大)
反応速度補正(大)
黒炎
黒炎を扱える。
流石危険ランクが最上級の魔物だ。能力を2つ持ちながらそのどちらも強力。
さらにドラゴン系の魔物は強靱な肉体と高い生命力を併せ持っている。かなり厄介そうだ。
まあ、事前に聞いていた通りであるが・・・。
黒竜の能力はブラックドラゴンが持つしか持たない能力である。一個一個の能力補正が強力な上に補正幅が極大と大とかやばすぎる。
魔物の能力は種族内で変わらないが、能力成長によって能力の強さには違いが出てくる。
この魔物はブラックドラゴンの中でも強力な個体だろう。
黒炎は文字通り黒い炎だ。炎に呪いがかかって黒くなっていると言われている。その呪いを受けてしまうと体が短時間動かなくなるらしい。
さてさてこの化け物をどうやって倒そうかね。
トニーひろしです。
投稿が遅れてすみません。
しかし、忙しい原因もついになくなりました。
これからは2、3日間隔で投稿したいと思います。
ぜひ楽しんでください。