第2話 ミグルVSユウヤ
話し合いの結果学校の入学試験を受ける事になった。
その理由は俺の能力にある。俺の能力"時支配"は時関係の能力を全て使えるという能力を持つが、実際はその能力について深く知識を得ていないと使用できない。
3年前に俺が近未来視しか使用できなかったのもそれが原因である。
「能力学校には図書館や資料室などがあって能力についてじっくり学べるよ」とユウヤに囁かれた時から考えが変わったのだ。
因みに俺の今の能力はこれ
時支配[固有能力]
時関係の能力を全て使える。
現在使える能力
近未来視[通常能力]
1秒後の未来が視える。
タイムループ[特殊能力]
10秒間時間を戻す。ただし、1日に一度しか使えない。
スロー[通常能力]
周りの時間の流れを少し遅くする。
時流崩壊[特殊能力]
時の流れを崩壊させ、消滅させる。範囲は半径1メートル。1日に5回しか使えない。
3年前よりは増えてはいるがまだ少なく頼りない。その上、"時流崩壊"は人間に使うと間違えなく死ぬので模擬戦で使えない。
つまり、能力のバリエーションを増やしたい俺にとっては悪い話ではなかったのだ。
因みに教会の院長フェノメからも許可をもらっている。いつかは教会から独立しなければならないので外の世界のことを知る良い経験になるだろうと。
そして、学費の一部も負担してくれるそうだ。とてもありがたい。フェノメさんマジ天使。
いつか、恩を返したい。
「それで、入学試験はいつあるんだ?」
「確か、3週間後だったはず。」
メイテスがそう言うと、俺はあることに少し不安になった。
「筆記試験とかはないよな?」
「実技試験だけだよ。第3能力学校は実力主義だから」
ホッと胸をなでおろす。まあ、実技試験なら大丈夫だろ。一応、今Cランクだし。
冒険者ランクはFからSまで存在する。つまり、Cランクは冒険者のなかでは中級者に位置するが、俺たちは登録してからの日も浅い。
実力的にはもっと上に位置していて、能力学校にも無事合格する実力だろう。
「とりあえず、一度模擬戦やってみるか。」
実技試験のみだったらおそらく入学者同士か教師との模擬戦だと思うし。
「賛成!」
「模擬戦はあまり好きではないです。」
「場所はどこにする?」
「冒険者演習場にしよう。」
冒険者演習場とは冒険者が訓練を行う場所であり冒険者なら自由に使うことができる。
こうして模擬戦の準備が着々と進んでいった。
次の日
俺とユウヤは冒険者演習場にて向かい合っていた。
俺は右手に鋼の片手剣、ユウヤはミスリルの両手剣を装備していた。
俺たちが鎧を装備しないのは揃えるのにお金がかかるのと、共に戦闘スタイルが速度重視であるからである。
公正なくじ引きの結果はじめは俺とユウヤが次にクテアとメイテスが模擬戦を行うことになった。
騒ぎを聞きつけたたくさんの冒険者たちが見物に来ていた。あんたら暇なのか?
「ルールは降参、または気絶したら負け。また相手を殺した場合も負けです。それでは試合はじめ!」
ユウヤが突っ込んでくる。まあ、近接戦闘の能力だしな・・・。
因みに今のユウヤの能力はこれ
剣帝[特殊能力]
剣の才能補正(大)
身体能力補正(大)
剣の使用時身体能力補正(中)
見切り補正(中)
3年前とは少し変わっている。
能力は成長する。これは通常、特殊、固有能力全てにあてはまる。これが一番の謎である。
どうして、どのように成長するのか未だわかっておらず、同じ能力でも成長する速度や方向性の違いで効果は少し違うということがでてくる。
「ハアッ!」
ユウヤが上段から剣を振り下ろす。しかし、それは俺が先に"視て"いた。
俺は"スロー"を使い、ギリギリでユウヤの剣を右側によけ、そのまま胴体へ打ち込んだ。
しかし、ユウヤはこれを後ろに下がってかわす。
これは"近未来視"でも視えていた。俺の身体能力は補正されてないが、ユウヤのそれは"剣帝"によって大幅にアップされている。なんてチート能力なんだ・・・。
やはり"時流崩壊"が使えないのは辛いな。
俺は読みの速さでユウヤは身体能力と剣技で攻めるが、互いに決めてにかけていたため開始から10分も経っていた。
均衡が崩れたのはその直後だった。
ユウヤと斬り合っている途中、バランスを崩し、隙を見せながら下がる。そして、ユウヤが追ってくる。
決まったと誰もが思った瞬間
ユウヤが急に落とし穴に落ちて、俺が首筋に剣をあてた。
「続けるか?」
「いや、降参で。」
こうしてユウヤとの模擬戦は終わった。
何故、ユウヤが落とし穴に落ちるような結果に至ったのか気になりますね。
面白いと思った人は是非読んでください。