第9話 受付
俺たちは図書館の前まで来た。
図書館の入り口にいる警備の人に入れるかどうかを聞いた。
「ええっと、学校の受付の方で受付を済ませてからでないとご利用できません。盗難とかあっても困りますので。」
確かにそうだ。
素性の怪しい奴を入れるわけにもいかない。
俺は図書館の隣にある学校に向かう。
能力学校の図書館には様々な重要な文献から娯楽の本までたくさんの本が置かれている。
学校の中にないのは本の数が凄く、スペースが足りないためだ。
「私が王族だって事言えば、そんな面倒な事パスできるけど。」
レーティシアが自慢げな顔で言う。
「ダメだ。王族だからって無理を言ったら、妬まれるし逆に怪しまれる可能性がある。しかも、それが騒ぎにでもなったら大変だ。」
俺はその提案を速攻で断った。
「何よ。折角あんたのために言ってあげたのに、、、。」
なんかしょげてる。
なんて声をかければいいのか分からなかったのでそのまま学校の方へ歩き出す。
「えっ・・・ちょっと待ちなさいよー!」
後ろからそんなレーティシアの声が聞こえた。
能力学校の敷地はかなり広い。
能力学校では通常授業で使う教室以外にも様々な施設があるからだ。
体を鍛えるトレーニングルーム、学生が利用する寮、広い食堂などである。
受付は学校の中でも正門横にあった。
まあ、不審者を通すわけにはいかないからこんなとこにあるのか。
「すいません。」
受付のガラス戸をノックする。
すると奥から筋肉質な厳ついおっさんが出て来た。なんか目つきこわいな。
「なんだ?」
「図書館の利用許可を取りに来たんですけど・・・ここに来れば取れると聞いたので。」
反応を伺うように聞く。
すると、おっさんは透明な水晶を持ってくる。
「これなんですか?」
どこかで見た事があるが、何か分からなかったので聞いた。
「これか?これは仕分け水晶だ。犯罪歴があるかどうかを確認できるものでな、サノンの町の検問にも使われてるぞ。」
そうだ、サノンの町の検問で見たんだった。
「この水晶はいろんな主要な都市で使われているわ。」
成る程、俺の村は主要な都市じゃなかったからなかったんだなぁ。
「ありがとう、レーティシア。」
「べ、別に感謝されるようなことはしてないわ。」
俺は感謝しているんだが・・・。
ていうか犯罪歴を確認できる水晶なんかあったんだな。初耳だ。
俺はその水晶に触れる。白く光った。
「水晶が白く光ると犯罪歴がない。大丈夫だ。申請書にサインしてください。」
犯罪歴があると何色に光るのだろうか?
そう思いながら俺は申請書にサインする。
「ほう、平民か。」
「どうしたんですか?」
「いや、外部の人間の利用者はほとんどが貴族で驚いたんだ。」
そうなのか、何故だろう?
「確かに、平民の人は少ないかもね。貴族の人に気が引けてるのかもしれないわ。」
成る程そういう考え方もあるな。
「ところでお嬢さんはどこかの貴族なのかい?」
おじさんがレーティシアに聞く。
「聞いて驚きなさい。私は王族よ。」
「フォッ?!」
王族の家紋の入った大剣を見せる。
因みにこのおっさんの反応が今日一番面白かったことは言うまでもない。
こんにちはトニーひろしです。
入学試験もうすぐです。
これからもよろしくお願いします。