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09 針と糸
「さてと、じゃあ改めて説明しようか」
僕は自分の頭を両手で一生懸命支えている少女を見ながら口を開いた。
自分が死んでいるように見えないと言っていたので、どうみても死んでいることがわかるように説得してあげたのだが、無事納得してもらえたようで何よりである。
まさに今、桜花によって首と胴体を針と糸で縫われている少女の目には未だ涙の跡が残っている。
しかし、桜花よ、お前裁縫スキルないな、縫い目超雑だぞ。知ってたけど。
青ざめた表情で、されるがままに首を縫われている少女を眺めながら僕は説明を始めた。
彼女がすでに死んでいるということ。
ここは死後の世界で、未練があり生まれ変わることが出来ないものたちが集まる場所だという事。
僕らは未練を解消する事でまた新たに生まれ変わることができるという事。
そんな事を僕は彼女に伝えた。




