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酒場のエリサ  作者: smile
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再会


「ゔ〜〜!」バリエに着いた翌朝、エレナがはねっ返った癖っ毛を気にしながらイラついている。外はシトシトと雨が降っており気持ち悪いくらいジメジメした朝だ。


「ちょっといい?」エリサがお湯で絞ったタオルで跳ねた髪の毛を湿らして、少ししてから櫛で梳かしてやるとエレナの髪が綺麗にまとまる。


「わぁ、ありがとうございます。でもエリサさんが羨ましいです、こんな天気なのにサラサラな髪で!」


「そんなことないわよ、私だって放っておいたらボサボサになっちゃうわ。今までは毎日仕事で髪の手入れなんてしていなかったんだよ、でもそんな私を見かねてアンネさんがこの櫛を買ってくれたんだ」


「アンネさんってエリサさんに料理を教えてくれたっていう?」


「うん、料理だけじゃないよ、色んなことを教えてくれたし、いつも助けてくれる………私にとってはお母さんとお姉さんを一緒にしたような凄い人!」


「へぇ、今度私にも紹介して下さい」


「うん、すっごく優しいから期待しててね!…よしできた」アンネに買ってもらった櫛でエレナの髪を綺麗に梳かしてやるエリサ。

エリサはすでに髪をいつものように束ね上げ地味なベージュのシャツとズボンに帽子を被っている。

「さぁ朝ごはんの準備に行こう!」


「はい!!」



エリサ達はラージュが保有する小さな屋敷に泊まっている。元領主のクラウスがバリエに行く時に使っていた屋敷だ。ここには定期的な清掃をしていたらしく部屋もキッチンも綺麗でロジャックのときのように大掃除をしなくても良いので安心した。




早速キッチンに行くと調理を始めるエリサとエレナ。今朝のメニューは鷄と野菜たっぷりのトマトスープ、ハムの入ったスクランブルエッグとサラダを作る予定だ。



エリサ達はまず、スープから作り始める。小さく切った野菜と鶏肉を弱火でしんなりするまでゆっくりと炒める。しばらくすると野菜の甘い香りが部屋じゅうに広がり開けている窓から外にいる兵士にもその匂いが届いていく。


「ああぁ、今日も良い匂いがしてきたなぁ」

「ああ、朝飯が待ち遠しい」

門前で警備をしているフールとアルミンがヨダレを垂らしながらだらしない表情を見せる。



今日はスープにカイエンヌペッパーをほんの少しだけ入れてピリッとした刺激を加えてみた。暑くてジメジメした陽気なので素材だけの優しい味だとかえってボヤけた味に感じてしまうので少しの辛味がアクセントになる。スクランブルエッグはバターの香りを効かせてあるのでこれもまた食欲をそそる。


エリサ達が調理をしていると何やらザワザワと騒がしく話す声が聞こえてきた。


「あ、私見てきますね」エレナが不思議に思いキッチンを出ると兵士達が全員起きており何やら慌ただしくしている。

どうやらバルサさんの所にお客さんが来ているらしく、お茶の用意をお願いされた。


「こんな早くから大変だね、領主様って!」エリサが他人事のように話す。


「そうですね、でも皆さん慌てていましたので凄い人なんじゃないでしょうか?」


「うん、そうだね、急いで用意しようエレナちゃん!」







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