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酒場のエリサ  作者: smile
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大掃除

朝食を済ませるとバルサさんはすぐに領主の屋敷へと向かった。


お腹も膨れ、本当なら一休みといきたいところだが残りの全員は屋敷の大掃除をしなくてはいけない。


当たり前というか、問答無用のようにエリサとエレナは厨房の掃除担当だ、さらに応接間も任されることになった。

まさか旅の途中でこんな大掃除をする羽目になるとは思っていなかったが、設備の整った厨房は魅力的なのでそれ程嫌ではない、むしろ言われなくても厨房は掃除をしていただろう。

それよりも早く掃除を終わらせないと市場へ買い物に行く時間がなくなってしまう、そしてせっかく来たロジャックの町だ、観光とまではいかないにしても少しくらいは街を見て回りたい。そのためにも早く終わらせる必要があった。


エリサ達は厨房の掃除は慣れているため難なく終わらせることが出来たのだが、問題は応接間だった。予想通りというか当たり前というか、ここにも気持ちの悪いお面や、獣の剥製が飾られてある。


「うっ…エレナちゃん、これって捨ててもいいよね!?」エリサが気味の悪いお面を指差して、嫌そうな顔をしている。


「はは、さすがに捨てるのはまずいかと…」エレナが、もっともなことを答える。


「うぅ…なんだか呪われそうで触るのも嫌なんだけど…」エリサがとても嫌そうにお面の角をつまむようにして箱に入れる。


「こっちの剥製もなんだか私達を見ているようで怖いです…」エレナは動物の剥製を恐る恐る持ち上げ箱に入れている


「うう…早く終わらせたいのに…」昼間で明るいとはいえこの凶々しい装飾は気色悪い。さらに一つならまだしも所狭しと数多く飾られてあるものだから余計に恐怖を駆り立てる。

エリサは気持ちを少しでも紛らわそうとエレナに絶え間なく声をかけていた。



「そうですねぇ早く終わらせましょう……でも、まだ皆さん掃除をしていますし、私達だけ終わっても兵士さんがいないと街には出れませんよね…」


「うんその前にお昼も作らないと! そういえばこの町ってどんな食べ物があるのかなぁ?」エリサの頭の中は料理とルイスのことでいっぱいだ、間が空いた時に出てくる会話のほとんどは料理のことばかり。


「はは、相変わらず料理のことばかり考えているんですね」


「?? そう…かな…」エリサはあまり自覚していないらしく言われてもピンとこないようだ。

「でも来る時に大きな湖があったでしょう!? 久しぶりに新鮮な魚が食べられそうだね。 ん〜〜楽しみだぁ!」

ここ数日は肉料理が続いていたため、午後から市場に行くのが楽しみで仕方が無い、さらに今日は別荘のちゃんとした厨房もある、エリサは早く料理がしたくてたまらない様子だ。


「エリサさんは川魚も調理できるんですか? 私は良く知らなくて…」


「うん、基本的には同じだから大丈夫だよ、淡白な白身魚として考えれば同じように調理できるから」


「うわぁ楽しみです、なんだか新しい食材や料理ってワクワクしますね」エレナは新しいおもちゃを買ってもらう子供のように楽しそうにしている。


エレナはエリサと料理をするようになってからというもの、毎回エリサが作り出す料理に興味津々だ、普段食べていた料理でさえもエリサが作ると別物のように美味しい。そのため何を作るにしても片時もエリサから目を離さないように気をつけている、仮にも料理人の端くれであるエレナは、なんでもいいのでエリサから学べるものがあるのであれば一つでも多く学ぼうと必死にもなっているのだ。

それがエリサにもわかっているから余計に可愛く思えてしまう。


必死に学ぼうとするエレナ、それを感じ一つでも多く教えたいと思うエリサ、二人の関係は深まる友情と共に師弟としての関係も少しずづつ深まっている。


…………


凶々しい雰囲気だった応接間もなんとかサッパリと小綺麗にすることが出来た。飾ってあった装飾はほとんど取り外してしまい、部屋の真ん中に大きなソファとテーブルが置いてある。掃除をする前より広く感じるほどになった。


「うんこれなら問題ないでしょう」エリサは満足気に綺麗になった部屋を眺める。


「はい、ほとんど取り外してしまいましたからね」エレナの脇には装飾をガラクタのように詰め込まれた大きな箱が3つ置いてある。


「さて、私達はお昼を作りましょうか!」エリサは振り向きエレナの方を向いて誘うように微笑んだ。


「はい!!」エレナは遊びに誘われたかのように嬉しそうな笑顔でエリサのあとをついて行った。


今日のお昼はオムレツらしい楽しみだ!







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