燃えるラージュ
いつラージュに帰れるかわからない
もう帰る場所が無事なのかさえもわからない
セヴィとエリックは元気だろうか
この反乱で街が今までの状態であるとは思えない
争いは早く終わって欲しい
もう争いごとは嫌だ
どちらが勝っても良い
ただルイスが生きてさえいれば
王子とわかってしまってからもずうっと考えていた…
ルイスが好きだ
でももう二度と会えることはないだろう
住む世界が違う
王子と親しく話をしていたというだけでも名誉あることなのかもしれない
しかもこのような状況になった以上もう会うことはない
でも元気に生きていて欲しい
私はここディベスにいる
これから新しい私を始めよう……ここディベスで。
太陽が真上に登り陽射しは夏を思わせるような強さだ。昼食を済ませたエリサはカルラの家の庭先でハーブの手入れをしながら考えていた。
とはいえ、どんな街かも判らない上に、自分の持ち物と言ったら洗い晒したシャツとズボンだけだ…とりあえず、お世話になったハーブ達の世話をさせてもらい、この後アンネさんに街を案内してもらう事になっている。
「働かざるもの食うべからず!!」食事のときカルラが真っ先に言った言葉も頭をよぎる。
この先の不安は多い……。
……………………………………………
クラウスが反乱を起こしルイスの屋敷を襲撃しようとしてから丸1日が経過した。
夜明けとともに攻撃を仕掛けてきたクラウスはルイスの作戦と国王軍の火力との差で攻め切ることはできないでいた。
東の砦からの兵士が到着した後は完全に膠着状態となり、その後は小さな小競り合いを繰り返し、夕暮れになるとクラウスは屋敷へ撤退、今はお互いに様子を見合い静かになっている。
今日も天気は良く少し暑い陽射しが街を照らしている。ただその街のあちらこちらでは、未だに煙が上がっていて港の約半分は焼け崩れてしまっていた。
しかも状況は最悪な方へルイス達を進めていた。
まず物資に限りが見えてきた。
さらに不利な状況は続き、先ほどディベスから戻って来た使者の答えもそのひとつだった。「ディベスの領主ヘルマン様は、この争いクラウス様とは長年の付き合いがあるゆえ兵を出す前にクラウス様と話をしたいとのこと、また出兵をするにしても準備にも時間がかかるゆえ到着は早くて4日後とのことであります」
この返答を聞いたルイスはさほど驚きはしなかった、予想していた最悪の返答だっただけだ。
ディベスの領主ヘルマンには完全に様子見に入られてしまったという状態である。おそらく事前にクラウスが話を付けていた可能性が高い、ルヒアナに出した使者は未だ戻って来ていない。
ルイスはこのまま戦いが長引くのは不利だと判断し一気に攻める作戦を考えていた。しかし有効な手立てが思いつかず、その顔には徐々に焦りが見え始めていた。ルイスが悩んでいるその机の上にはエリサの店から持ち出したわずかな荷物が置いてあった。
そこにバルサが状況報告に入ってくる。
「ルイス、負傷者はかなり増え、軽傷者を入れてもまともに動ける人数は130人くらいかと…」
「ああ…」そっけない返事をするルイス。
「ただ、夜中にも何度か攻撃がありましたので睡眠もまともに取れていない状態です、そのほとんどが疲れ切った状態で…このままですと兵達の士気は持っても2日が限界かと…」
「ああ…」ルイスは、またそっけない返事をして座っていた椅子の背もたれに寄りかかり天井を見上げた。
「なぁ次にクラウスが大掛かりな攻撃をしてくるのは、いつだと思う?」そのままの姿勢で気だるそうに話すルイス。
「次?ですか?…ん〜、このまま持久戦に持ち込めばほぼ勝てるとわかっていれば、しばらくは挑発程度の攻撃しかしてこないのでは、大きく動くとしたらこちらの戦意と弾薬がなくなってくる2日後くらいかと」
「そうだよな〜、それが普通だ。そうすれば俺たちは負ける!」
「はい…」
2人の間に重い空気が漂う。
「クラウスもそう思ってると思うか?」ルイスはまだ天井を見上げたまま話を続けた。
「はい、そこまでバカでは無いと思います」
「……では今現在、クラウスは俺たちがどう動くと思っているかわかるか?」今度は姿勢を直し真剣な表情で聞いた。
「おそらく我々の厳しい状況はわかっているはずです、ですので援軍を求め使者を出してそれを待っている、だから攻めたところで時間稼ぎと防御に徹すると考えているかと…」
「…そこまでは俺にもわかるかぞ」ルイスは残念そうな顔をした。
バルサは考えながら続けた。
「………あの男は意外とと用意周到に動く傾向が見られます、根回しをし、準備を整え、それから動くと…例えばクラウスが2日後に動くと決めていると仮定した場合、こちらには援軍がこないようにディベスとルヒアナに根回しをしているはず。そして我々が休めないように小さな攻撃を断続的に行い、また火を放つ可能性もあります。最後に避難している住民へ今回の争いは反乱ではなく防衛のためと噂を流し自分の正当性をアピールする頃かと…」
そうか…住民の事は考えていなかった、避難して丸一日だ、小さな子供や年寄りには厳しい頃だろうな。
「町の郊外にある村々に出した避難住民の保護協力はどうなっている?」
「はい、順調に協力してくれています、ただ人数が多いのでそう長くは持たないかと…」
どちらにしても早めに手を打った方が良さそうだ、しかしどうしたら…。ルイスは立ち上がり窓から外を眺めた。
煙の上がる街を眺めながら考え込むルイス。
「バルサ、クラウスを誘き出すことはできないか?」
「どういうことだ?」
「狭い街中へ誘き出して戦えば少しは勝機はあるかもしれない。もしくはクラウスの首さえ取れればこの反乱を終わらせることができるのかもしれない」ルイスの作戦はまたも無謀なものだった、ゆえにルイスの言葉には迷いを感じさせていた。
しかし他に案は出なかった、今のルイス達の状況は極めて悪い。これから嵐が来てクラウスの屋敷に雷でも落ちない限り敗北は時間の問題だった。
「………やってみよう」バルサは意を決して、自ら指揮をとり先頭に立つ決心をした。
…………………………………………
クラウスの屋敷の庭と周辺には集められた兵達のためにテントが張られ多くの兵が休んでいる。
「このまま楽勝だろ!あいつら守るばかりで攻撃を仕掛けてきたことは一度もねぇからな!」
「ああ、初日は焦ったがな…」
「でもあれだろ、情報が漏れてたらしいじゃねぇか、お陰で待ち構えていたところにまんまとやられちまった。ってだけだろ!」
「ああ、あと2日もすれば温室育ちの王子様の首を取れるぜ!」
「そろそろ12時だ、見張りの交代だろ?」
「ああ、次は俺の番だったな、行ってくるぜ!」
クラウスの兵士達は余裕の表情で休んでいる。皆が勝利を確信しつつあるようだ。
太陽が真上に上がる頃は少し汗ばむような陽射しの中、時計台の針が重なり12時の鐘が鳴る。
鐘の音が町中に響き渡ると同時に見張りが交代を始めた。
その時、鐘の音と共に数発の銃弾が放たれる。その銃声は鐘の音にかき消され突然銃弾がクラウスの屋敷へ撃ち込まれた。
「なんだ!?」ざわつくクラウスの兵達
「国王軍か?」
「まさか?」
続けて銃声が鳴り銃弾が飛んでくる。
大将と思しき兵が急いで見張り台に登り、狙撃手を探す。
かなり離れたところからの射撃だと思われる、弾道がバラバラだ。
鐘の音が鳴り止み、銃声が聞こえた少し後に銃弾が飛んでくるのがわかった。
「かなり離れているな…」
その弾は屋敷を囲む大きな木に当たったり、テントの幌を破ったり、そうかと思うと屋敷まで届きガラスが割れる音が辺りに響いた。
何処へ飛んでくるか判らない、ただ屋敷方面に撃っているだけのように思える、兵士は状況を理解すると急ぐ必要はないと判断し直ぐに落ち着き始める。
銃弾が多方面から弾が飛んでくるため数箇所から撃っているのがわかる、時折見張り台をかすめるように弾が飛んでくるが当たることは無さそうだった。
「正面前方屋根の上に3人、右港方面木の上に数名、左は…?正面に移動…正面が4、5、いや7人確認」
見張りに登った兵士は目を凝らし状況を確認している。
「何が目的だ?…何かの時間稼ぎか?…挑発か?………クラウス様に報告しろ!狙撃手、前方屋根上に7人、右の大木の上に複数名確認した!」
「は!」
その時、右方向メイン通りで待機している兵達が叫ぶ声が聞こえた。
「…?…攻撃されているのか…」
見張の兵は狐につままれたような感じがした、このタイミングで仕掛けてくるとは誰も思っていなかった。しかもどう考えても自殺行為にしか思えない、何か企んでいるのか?それともヤケになったか?。
兵士は状況を確認しながら見張り台の上から指示を出していく
「右大通りの部隊交戦中!第4歩兵隊、弓矢隊は増援せよ!」
「第1歩兵隊は正面の部隊へ増援!狙撃に備え大楯を持ち防御せよクラウス様の指示があるまで深追いはするな!」
「おいマール!クソガキは何をしてきている?」見張り台の下でクラウスが叫んでいる。
「国王軍からの攻撃です、只今、右大通りの部隊が交戦中、第4部隊を増援に向かわせました。狙撃は正面屋根上に7人、右は木の上に数名確認しております。」
「…」考えるクラウス。
その間にも銃弾は飛んでくるがとんでもない方向へ飛んでいく。
「奴ら…こちらが思っている以上に切羽詰まっているのか?くっくっく………」クラウスはルイス達の切迫した状況を想像し、勝ち誇ったかのように笑った。そして自分が有利な立場であることを確信したのである。
「慌てるな!くだらない挑発だ」クラウスは落ち着いていた、これはただの挑発だこの誘いに乗ってしまったら初日の二の舞になるのは目に見えて明らかだ。
その時クラウスの背後にあるテントに銃弾が飛んできて幌が破ける。
挑発とわかりつつも無節操に飛んでくる弾が腹立たしい。昨日その銃弾が馬に当たり落馬させられ、死にそうになった記憶が鮮明に蘇る。
「小僧、くだらん挑発ばかり…オイ、撃ってきている場所は特定しているな!?」見張り台の上にいるマールに聞く
「はい、同じ場所から動いておりません」
「撃ってきている周辺に火矢を放て!燻り出してやれ!」
「し、しかしそれでは街が…すでに街のほとんどが…」
「街が?そんなものあとでいくらでも立て直せばいいだろう。さっさとこのくだらん挑発を止めろ!」
「…はっ!……前線へ伝令!指定の場所一帯へ火矢を放て、敵狙撃兵を燻り出せ …」マールは一瞬ためらうがクラウスの命令には逆らえない。命令通りに作戦を遂行するだけである。
(クラウス様、これでは勝ったとしても街が焼け野原に……)
クラウスはその場で火矢の指示をおこなった。その数はもう威嚇と呼べるようなものではなかった。これを全部射ったとしたら街がどうなるかなど一目瞭然だ。
傭兵ではない一部の兵士達はここラージュで生活をしている、クラウスの行動に疑問を抱きながらも逆らうこともできず、自分が住む町を自らの手で焼き尽くそうとしていた。
「くっくっくっくっく………思い知れ!小僧が!」クラウスは勝利を確信してかテンションが高くなっている、誰も口出しはできない雰囲気だ。
予想通りクラウスの放った炎は瞬く間に辺りを火の海にした、作戦通り狙撃兵は退却し、バルサ達も慌てて後方へ退却するしかなかった。
「あいつら…ありえないだろ?」炎はかなりの勢いで燃え盛っている、しかも炎の向こうにはクラウスの部隊が待機しているため消火活動をするのは危険だった。
燃え盛る炎を前に何もできず燃えていく街を見ることしかできないバルサ達。作戦の失敗が脳裏に浮かんでいた。
一方ルイス達は東の森を抜け誘い出されたクラウスを後方から挟み撃ちにするつもりだった。が、クラウスのこの行動に唖然とした。
東の森の中から燃え盛る街の向こうでバルサ達が退却したのをなんとか確認した。
このままでは挟み撃ちどころか、見つかったらまずい、今この場で攻撃をされたら終わりだ…
瞬く間に街からは炎と煙が立ち上がり視界は最悪になった、誰がどう見ても、もう撤退するしかない状況だった、ルイスの頭は今回の作戦の失敗と悔しさで一杯だった。しかも、また街を火の海にしてしまった
「………このまま撤退する」ルイスは静かな口調で指示を出した。
全員が悔しそうだった、しかしどうすることもできず、戻り始めたその時クラウスの屋敷の兵が慌しく動き始めた。
「…?」
「総員弓構えー! 撃てー!」
ルイス達にめがけ弓が射られた。
「みつかった!?」背筋が凍るような感じと焦りがルイスを襲う。
「まずい…」鼓動はどんどん速くなり呼吸が乱れていく、最悪なシナリオが頭をよぎる。背後を突くために連れてきた兵士は30人程度、これで目の前の数百人を正面から相手するのはどう考えても無理だ。
「走れー!」ルイス達は来た道を、いや森の中の道なき道を脇目も振らずに走り出した。最悪な状況だ、今は走ること以外何も思いつかない。
このままアレフが守る広場まで走りきるしかない。
走り始めて間もなく正面にクラウスの兵が回り込んできた。ルイスはかなり走った気がしていたが、未だクラウスの屋敷が見えるところにいた。
この圧倒的な敗北感は徐々にルイスの正常な感覚を鈍らせてきている。
立ち止まった途端にやっと周囲を見ることができた。クラウスの兵が次々とこちらへ向かって進んできているのが見える。
完全に包囲されていた、進む道も退路もない。
「殿下を守れ!!」1人の兵士がそう叫ぶと前方へ切り掛かっていった。
「ま、まて」ルイスはそう口にしたものの何も考えれなかった、もう走ることもできず、剣も握らず目の前の戦いをぼんやりと見ている。
どうしてだ
ただこの街を守りたかっただけなのに、俺のせいで多くの兵が傷つき死んで…
街も燃えて…
エリサも…
「ルイス様!」後ろから自分を呼ぶ声がした。
「…………ラウラ…?」振り向くとすぐ後ろにラウラが立っていた。
「私の命はルイス様に預けています、最後までお側に」向かってくる兵達を次々と斬り倒しながらルイスの背後を守っている。
しかし、どうする?
最後の悪あがきをするか?いやせめて目の前にいる仲間の命だけでも助けたい。そうだ、俺が敵を引きつけられれば何人かは逃げることができるかもしれない。
ルイスは剣を握った。
こんなにも重たかったかな?…
剣がいつもより重く感じる、ゆっくりと歩き始め前方の仲間の援護に向かった。
「この身に変えても殿下をお守りしろー!」1人の兵士が叫ぶ。
皆が自分を守ろうと必死になっている、ルイスはそれが嬉しくもあり、悲しくもあった。己の身を挺してまで戦ってくれる仲間を死なせたくなかった。
何よりこの戦いは完全に敗北だ、このまま数に押されて全滅するのは、もう時間の問題だった。
悔しさと嬉しさと悲しさでルイスは涙で目を滲ませながら剣を振るった、せめて自分の目の前にいる仲間の命だけでも助けたい。
無理かもしれないけれど……
気のせいか?敵の勢いが弱くなった気がした、森への斜面を登ってくる兵士がいなくなっている。気がつくと涙で滲む景色の向こうに敵のいない道が開けていた
「このまま走れーー」咄嗟にルイスは叫んだ。
ルイスは自分が盾になってでも仲間を逃がそうと思い振り返った。
振り返るとルイスにめがけて40人近い兵士が迫ってきている………はずだった……
…しかし…そこにはルイスを追う兵士が1人もいない、ラウラが倒したわけでもなさそうだった。
少し先にラウラが遠くを見ながら立ち尽くしている。
「ラウラ!」駆け寄るルイス「大丈夫か?」
「え?あ、はい……なんとも…」何か呆然としているラウラ
「?どう…した…」不思議に思いラウラの視線の先に目を向ける。
なんだか港側が慌しくなっている。
バルサ達が来たのか?いやそうではなさそうだ。
屋敷が騒がしくなっている。
しかし炎と煙で状況が見えない、おびただしい数の声が響いてきた。それは明らかにバルサ達ではないとわかった。
クラウスの増援?それとも新たな海賊?
海賊の方がまだ都合がいいぞ、そんな不謹慎なことを思うほどルイスは追い詰められている。
その叫び声はものすごい勢いで近づいて来ている。煙の中に新手の兵の旗印がうっすらと見えた。それは明らかにディベスのものだった。
「ディベスなのか?」ルイス達は呆然としている。
ヘルマンの返答では早くても援軍が到着するのは4日後と報告を受けていた。だとするとどういうことだ?それが翌日に到着しているという事はクラウスの増援で来たということか…
そうか…これは援軍ではなくこの反乱にディベスも一枚噛んでいた、ということか…合流して一気に攻め立てるつもりか?………
身体の力が抜けるのがわかる
敗北を感じ
死を受け入れた
今回の反乱、クラウスの方が上手だったということか…
空を見上げ立ち昇る煙の先をぼんやりと見ていた。
「ルイス様!剣を!」 ラウラの声が聞こえたがもういいと思った。
ラウラがルイスに襲い掛かってきた兵を倒すと「ルイス様、様子がおかしいです向こうで戦闘が始まっています」
「…?…どういうことだ………」
「ディベスの兵にバルサの部隊も混ざっています」
「援軍…なのか?…まさか…」
理解できなかった
なぜ?
目を凝らし眼下に広がる状況を、どう見てもディベスの兵と自分の仲間であるバルサの部隊が共に戦っているのだ。
「本当に援軍なのか…」
この状況を見た仲間達の士気は一気に高まっていく、彼方此方で国王軍の雄叫びが響いている
ルイスはまだ状況が信じられないといった顔をしている。
「ルイス様、私達も合流いたしましょう」ラウラはいつも通り落ち着いているが、顔は和かに見えた。
「あ、ああ」ルイス達に襲い掛かって来ていた兵はいつの間にか居なくなっていた。
全員がこの勢いに乗せて斜面を駆け下りた、当初の作戦通り敵の背後を突いた。
クラウスの兵士達が散り散りに逃げていくのが見える、おそらく傭兵達だろう。
あっという間の出来事であった。
ついさっきまで完全に敗北を認め、死を覚悟していたのだ。
それがほんの一瞬で勝利に変わった、自分は何もしていないというのにだ…
不思議な感覚だった。
わからない事ばかりで頭の中は混乱している
そもそもなぜこんなにも急に援軍が到着したのだ?ルイスは勝利の喜びよりも疑問が多くて、この状況を素直に受け入れることができないでいる。
「クラウスを捕らえたぞーーーー!」遠くで叫ぶこえが聞こえる。
次の瞬間ディベスの兵と国王軍全ての兵が雄叫びを上げた
それは天高くどこまでも響き渡る勝利の声だった。