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酒場のエリサ  作者: smile
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帰り道


ラージュに帰る!!

久しぶりに晴れ晴れした気持ちだ。

エリサは真っ赤に染まる夕焼けを眺めながら大きく深呼吸をした。


「どうしたんだ?エリサ」嬉しそうに微笑むエリサにルイスが尋ねる。


「うん、この夕陽。このベルニ村に立ち寄ったとき山に沈む真っ赤な夕陽を見たんだ。まさか帰りはルイスと一緒に観れると思わなくて……すごい嬉しいんだ」


頬を赤らめながら笑うエリサ。夕陽に照らされ更に赤く見える。


「ああ、俺もだ…」ルイスも嬉しそうに微笑む「なぁエリサ、俺に料理を教えてくれないか?」


「え?」突然の話に驚くエリサ


「俺は今まで剣ばかり握ってきた。ラージュに行っても俺にできることと言ったら用心棒くらいしか思いつかない。でも、あまり危険な仕事はしたくないんだ、できる限り君の側に居たいから」


「…」エリサは「うん」と恥ずかしそうに返事をした。すでに顔が赤いのは夕陽のせいなのか本当に赤いのかわからないほどだ。



前回同様ベルニ村で一泊し、そのお後も同じようにコンクスの街へ立ち寄った。この前は全員が教会に大はしゃぎしていたものだったがエリサに気を使っているのだろうか?帰りは誰も礼拝に行こうとしない。

結局宿屋でのんびりと過ごしてから買い物をするだけで、ほぼ素通りしてしまった。


そしてここから先は険しい山越えとなる。


ロジャックの町までは街道が整備されているので難なく到着したがここに来てすっかり忘れていた。ロジャックではちょうどお祭りの時期であった。ここでは建国祭の前後を合わせて、約一ヶ月もの長い期間お祭りが続くらしい。

暑さを避けるようにロジャックへ来る貴族が多いらしく前回来たときとは比べものにならないほど人が多い。


しかも日中はバリエと同じくらい暑いものの朝夕は涼しく久しぶりに寝心地が良い。貴族達がこぞってやって来るのも頷ける。


夜になると街中に行燈が点けられ、その(ともしび)は湖畔の波間に映り幻想的に煌めく。そこに花火が上がり大きな音とともに夏の夜空を彩ってくれていた。


しかしここは目的地ではない。ゆっくりしたいという気持ちを抑えながら険しい山道へと進んで行く。途中何度も雨に降られて足止めをされ、幾度かの野営をしやっとルヒアナの町までたどり着いた。

ここはかなり標高も高いため日中でも幾分涼しい。

それにここまで来るとラージュはもう目の前だ。


これからラージュはルヒアナの町との交易を強化していくらしく前回のようにバルサさんは領主アーロン様の屋敷に数日滞在することになった。


前回もそうだったが執事のベニートさんがあれやこれやと世話を焼いてくれる。そうなると私たちの仕事も無くなるので今度こそエレナちゃんと観光に行ける。と思ったらバルサさんとルークさん以外は暇らしく全員で行くことになった。まぁルイスもいるしラウラさんもいるし賑やかなのは嬉しい。


結局三日間もルヒアナに滞在して、やっとラージュに向けて出発することになった。


こんなに楽しい旅ならもう少し続けたい気持ちだ…

でも私は酒場を再開するんだ!


エリサはこれから進む西の方を眺めながら大きく深呼吸をした。



「さぁ準備は良いですね!!」バルサがいつものように確認を取る。


皆が笑顔で返すと馬車はゆっくりとラージュに向かって進み始めた。









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