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短編集

ガルフ

作者: 試作ノ山

 3。

 2。

 1。

 ミッション開始。


 目の前に荒れ果てた市街地が広がる。

 それと同時に、背面と脚部のブースターを展開、点火。一気に加速し、最高速度でまっすぐに突き抜ける。

 右側のビルの陰から、マシンガンを持ったロボットが出てくる。

 同時に、右腕のビームブレードを相手の腹部に叩き込み、そのまま胴体を真っ二つにする。

 そのまま駆け抜ける、自機の背部で爆音が轟く。

 何が起きたか、相手は分からずに死んだであろう。

 だが、ビームブレードを操る彼――カイトにとっては、どうでも良かった。

 目的はただ一つ、最速、最短でこの市街地を駆け抜けることだった。

 そのため、彼の操作する機体、いやパワードスーツと言うほうが正解だろう。ガルフと名付けられたそれは、かなり極端なセッティングだった。

 最軽量のアーマーフレーム、背部と脚部に取り付けられた大型ジェットブースター。基本的な構成はこれだけであり、追加装甲や内蔵武器は一切無かった。

 唯一の武器は右腕にある高出力型のビームブレードのみである。


 その後、時折現れる敵ロボットをいなしつつ、前進を続ける。

 そして、途中で大きな広場に出た。

 市街地には似つかない場所であった。

 しかしここがカイトにとってのゴールでもあり、最後の正念場である。

 空から、今までに出てきたロボットとは比べ物にならないほど巨大なロボットが落下する。

 地響きが周囲に轟く。

 四脚型のそれは、両腕のガトリングガンを一気にガルフへ向けて撃ち込む。

 雪崩れ込む銃弾の雨によって、辺りのビル群には風穴が開き、砂塵が舞い上がる。

 一瞬の静寂。砂塵がゆっくり晴れていく。

 だが、そこにガルフの姿は無かった。

 転瞬、四脚型ロボットの頭が、ずるり、と地面に落ちた。

 背部に回りこんだガルフは、そのままロボットの頭部を切り落としていた。

 そして、そのままコクピット部へ最期の一撃を食らわせる。

 突き立てられたブレードによって、敵ロボットの活動は停止した。


 ミッション終了。


 その表示と共に、目の前から四脚型ロボットの残骸と、市街地の風景が消える。

 代わりにクリアタイムが表示される。

 タイムは1分29秒。

「ふう」

 そう呟くと、彼はコクピットから出た。

「おーい、シミュレーション終わったぞ。確か2分切りで2000Gだったかな?」

「くっそー、これでもダメか……」

 悔しそうに嘆く赤髪の少女が居た。服装からメカニックのようであり、頭にタオルをバンダナのように巻いている。

「次は絶対に勝つからな!」

「はいはい、毎度ありっと」

 少女から2000Gを受け取り、そのまま格納庫を後にするカイト。

「さて、どっかに一杯引っ掛けてきますか」

 彼が本当の戦いに身を投じるのは、もう少し先の話である。


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