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ダンジョン運営記  作者: レベル
6/39

ダンジョン拡張後①

気が付くと画面に映る森の中は、西日が差し夕暮れ時になって居た。



「ずっと座り続けてたから腰が痛いし、肩や目が凝ったぁ~」



大きく伸びをしながら立ち上がり、ゴキッゴキッと関節を鳴らして軽くストレッチをした。



「森をダンジョンに取り込んで良かったな。

試してみたい事が色々見つかったしな。」



ミミックスライムと水妖蛇の情報は、トップメニューに"お知らせ"として表示されていた。



「ちょっと不親切だよな?

トップメニューとかいちいち見ないってか、警戒情報みたいに声で知らせてくれる様に設定変更だな。」



「ダンジョンコアに命令、"お知らせ"の情報は全て音声でも提示しろ。」



<ダンジョンコアに命令、"お知らせ"の情報は全て音声でも提示しろを設定しますか>



「承認。」



「ダンジョンコアに命令、魔物への命令は承認の省略と直接音声での指示に変更。」



<ダンジョンコアに命令、魔物への命令は承認の省略と直接音声での指示に変更を設定しますか>



「承認。」



「ダンジョンコアに命令、ダンジョン内を映し出す時は音声付きに設定変更。」



<ダンジョンコアに命令、ダンジョン内を映し出す時は音声付きに設定変更を設定しますか>



「承認。」



「これでかなり使い勝手が上がったな。

ちょっとスライムで試してみたいアレをしてみるか。」



「今からリポップするスライム全て、ダンジョン内の南に在る狼の巣穴に移動を追加命令。」



これで狼が魔物化する可能性が上がるだろう。

狼が魔物化すれば、大幅な戦力上昇に成る。



「また魔力が溜まるまで暇になっちゃったな。

しょうがない…」



この10日で日課に成った筋力トレーニングを始めた。



腕立て伏せ、腹筋、スクワットを順番に動け無く成るまでひたすら続けるだけだった。


食事どころか睡眠まで不要なダンジョンマスターが、限界まで肉体を苛めた後にダンジョンコアの自動治癒によって、ゴブリンの枠を大きく外れた強靭な肉体を得つつ有った。



「ふうっ、さっぱりした。」



筋力トレーニングを2時間余りして入口部屋で水浴びをし汗を流した後に、スライムを全身に這わせ水分を取り去り呟いた。



<ピンポーン!>



<新たに魔物が発生し眷族に成りました。>



「おおっ、まさか狼が?早えぇな、おい!」



突然のお知らせに驚きと喜びが沸き上がる。

早速確認作業に入るゴブリンだった。



「新しい魔物の詳細表示。」



個名:

個数:2

種属:魔属

種名:妖禽梟♂.♀.

官職:

官位:

費用:魔力10Pt



*魔物を補食した為に魔力が変質し魔物化。

夜目が利き、無音に近い飛翔をする。



「梟がスライムを食べて魔物化したみたいだな。

夜行性だからこの時間に魔物化したのか?

妖禽梟?ようきんろうって読むのか?

水妖蛇と妖禽梟、身体が小さいから魔力の影響が早いのかなぁ?」



確認出来無い事柄に疑問を感じながら、思考を切り替える。



「妖禽梟を映し出せ。」



「あれ?コアルーム以外でも画面が出るんだ。」



新しい発見に戸惑いながら、画面を注視した。



「仲良く夫婦で魔物化したんだな。

梟がベースなのを考えると戦力としては期待出来無いよなぁ~」



「妖禽梟に命令、ダンジョンの外で餌を捕まえてダンジョンで食べろ。

ついでに周りの警戒をして異常が有れば報告しろ。」



命令が聴こえたのか頷く様に頭を上下させ、鳴いた。



「キィーッ。(はい。)」



「言葉が解るぞ?意志疎通が出来るんだな。

梟って頭良いんだな。」



「監視役割なら適任だな。

見つかっても梟にしか見えないし、捕まる危険が少ないしな。

欲を言えば夜間限定なのが残念だな。

昼間は大鷹に期待しよっ、スライムを食べてるのは観たから案外明日位に魔物化するかもな。」



意外にも期待を込めた予想は、いとも簡単に実現する事を彼は知らない。



彼が知り得ない事柄だが、ダンジョン産のスライムは一般的なスライムに比べ魔力濃度が非常に高く、小さな動物なら簡単に魔物化するが、彼が狙う狼の様な大柄な肉体は、それでも数百匹の補食が必要で魔物化には今暫く時間が掛かるのだった。



「魔物について情報が無さ過ぎるよな。

魔力の変質とか食べたからってだけで、スライム何体で変質するか?とか魔力の親和性が動物によって違うとかさっぱり判らん。」



「数も少ないし、こまめに確認するしか無いかな?

ミミックスライムを映し出せ。」



「ん?何処に居るんだよ?

しょうがない、ミミックスライムの詳細表示。」



個名:

個数:2

種属:魔属

種名:ミミックスライム

官職:

官位:

費用:魔力1Pt



*補食に特化適応した亜種。

補食した生物の特徴を完全に再現し擬態する。



「?完全に再現だって?

おかしいな?昼間確認した時は完全なんて書いてなかった筈だ。」



「まさか擬態能力が上がった?

擬態を何度も繰り返して補食したから、擬態能力が向上したか熟練したから完全って書き加えられたのか?」



「さっき映ってたデカイ蛙か?

面倒くさいな、多画面って出来無いかな?

詳細表示画面はそのままで、ミミックスライムを映し出せ。」



新たな操作に成功したが気にせずに、映し出された蛙に向かって話し掛ける。



「ミミックスライムに命令、その場で跳べ。」



蛙の良く張った腿が収縮するのが観て解る。

いきなり体長の十数倍は跳び上がった。



「やっぱりこいつがミミックスライムなんだ。

かなりデカイ蛙だな。

身体の容積を小さくするのは無理っぽいな。

何時の間にか分裂もしたみたいだな。

良し、次だ。」



「スライム全ての詳細表示。」



個名:スライム

個数:4,682

種属:魔属

種名:

官職:

官位:

費用:魔力1/2Pt



*核となる細胞を破壊されない限り死滅しない軟体生命。

適度な水分と魔力で分裂増殖。

食物連鎖の最下層に位置し、増殖力と環境適応力は特筆に値。



「げっ!?4,000超えてる。

なんつー繁殖力だ。

召喚したのはたったの1体だぞ…

まあ、ダンジョンもかなり広がったから、まだまだ足らないけどな。

一応数の制限を掛けて置くか。

一万否、三万体位だな。

問題だったら魔力に変換すりゃ良いしな。」



「ダンジョンコアに命令、スライムの総数が三万体を超えたら、三万体を残し自動で魔力に変換。」



<ダンジョンコアに命令、スライムの総数が三万体を超えたら、三万体を残し自動で魔力に変換を設定しますか>



「承認。」



「次は水妖蛇だな。

水妖蛇の詳細表示と姿を映し出せ。」



詳細情報とは別に、3つの画面に水妖蛇が映し出された。



詳細情報に変化はなかったが、映し出された水妖蛇達にかなり体長に差が有った。



「ネズミを食べたお陰かな?

皆デカク成ったな、特に♀は2mを超えたのも居るし、産卵も十分出来そうな感じだ。」



「アラウネの詳細表示と姿を映し出せ。」



「うん、特に変化は無いが順調に成長してるな。

安定してるな。」



「最後は俺だな。

ダンジョンマスターの詳細表示。」



個名:

種属:魔属

種名:ゴブリン

官職:ダンジョンマスターLv1

官位:森の侵略者



*眷属(眷族)に対し絶対服従を強制

眷族と意志疎通、会話可能(声帯を持つ者のみ)



「官位が変わってるとは思ってたが、侵略者ってなんつー言い方だ。

まあ、熊やら狼なんかの食物連鎖の支配層が健在だし、しゃあないか。」



「一応、妖禽梟も見直すか。

妖禽梟の詳細表示と姿を映し出せ。」



<妖禽梟はダンジョン外に居る為、映し出せません。>



「外に出たら駄目なのか?

せめて妖禽梟の観た物を見れ無いかな?

ダンジョンコアに質問、妖禽梟の観た景色を映し出せ無いか?」



<映し出せません。>



「コア、何か方法は無いか?」



<魔力を消費してダンジョンマスターと感覚共有ならば可能です。>



「消費魔力と使用時間、使用条件、使用リスクを教えろ。」



<消費魔力は1時間毎に魔力1Pt。使用条件は感覚共有に耐えうる一定知能。使用リスクは感覚共有中は自身の感覚遮断、痛覚等の共有により心神耗弱の可能性有り、場合によっては心停止。>



「うわぁ、無防備に成るうえに死ぬかも知れないって…

頚を切り落とされたりでもしたら、ショック死も当たり前だわな…」



リスクの重さに思考が停まった。

暫くして再び思考を始める。



「感覚共有は安全なコアルームで非常事態に使うのが良いな。

しかし、ぶっつけ本番はヤバそうだ。

妖禽梟が一旦ダンジョンに戻ったら感覚共有を試して、外に出てみるか?」



「コア、妖禽梟以外の魔物と感覚共有は可能か?」



<現在配置済みの魔物に可能な個体は居ません。>



「知能が足らないのか。

仕方無い、戻って来るまで待とう。

コア、妖禽梟が戻ったら音声で報せろ。」



<妖禽梟が戻ったら音声で報せろを設定しますか>



「承認。」



コアに命令を下しながら、妖禽梟の詳細を観るともなしに観た。



個名:

個数:2

種属:魔属

種名:妖禽梟♂.♀.

官職:

官位:夜間偵察員

費用:魔力10Pt



*魔物を補食した為に魔力が変質し魔物化。

夜目が利き、無音に近い飛翔をする。



「おっ!?警戒と報告を命令したから偵察員に成ったんだな。

夜間限定なのは、元の梟の生態が影響したな。」



ピンポーン!



<妖禽梟が帰還しました>



「妖禽梟を映し出せ。

妖禽梟、聴こえるか?

異常は無いか?」



「キィーッキッキッキィーッ。(魔物も人間も居ません。)」



ネズミをしっかりと脚で踏みつけ、答える。



「そうか、ご苦労だったな。

今から感覚共有と言う実験を行う。

ネズミを食べたら、安全な場所で待機しろ。」



妖禽梟がネズミを丸呑みにして、太い枝の上に移動したのを確認してから声を掛けた。



「今から感覚共有の実験を始める。リラックスしろ。

コアに命令、妖禽梟と感覚共有をしろ。」



<妖禽梟と感覚共有を開始しますか>



「承認。」



おお!?見え方が違うな。

色が無い、少し歪んで見えるな?

魚眼レンズみたいだな。



「妖禽梟、樹の上を飛びダンジョンの中を少し飛び回れ。」



「キィーッ。(はい。)」



脚が枝を蹴り出す感覚に、翼を羽ばたく感覚を感じる。

風圧に風を切る音まで聴こえる。

空中から見下ろすのは、公営TVの自然科学番組みたいだな。

TVを観た経験が無いと酔うかも知れんな。

この世界なら上空から監視なんて、想像の斜め上だろう。

否、想像すら難しいか?



「ん?降りたか。

コア、感覚共有を解除。」


<感覚共有を解除しますか>



「承認。」



「妖禽梟、感覚共有に違和感は有ったか?」



「キィーッキィーッキッキィーッ。(何も問題無い。)」



「そうか、今後も夜の警戒に励んでくれ。」



「キィーッ。(はい。)」



意志疎通が出来る相手なら、労りの言葉は大事だと思う。

絶対服従が強制とは謂え、余計な反抗心など百害在ってナントヤラだ。



「感覚共有はダンジョン外の情報収集に役に立つな。

情報のタイムラグや誤認識が無いのが良い。」



「コアに命令、感覚共有の開始と解除は承認を省略。」



<コアに命令、感覚共有の開始と解除は承認を省略を設定しますか>



「承認。」



また、魔力が溜まるまで暇になったな。

筋トレするか。



コアルームに黙々と腕立て伏せを始めたゴブリンの荒い息遣いだけが響くダンジョンだった。

台風の影響で海が荒れた為、急遽投稿しました。



次回10.17(土)AM7:00

投稿予定です。



まだ夜間限定ですが周辺監視体制が運用開始。



先行き楽しみな可能性も幾つか出てきました。



はてさて、どうなるでしょうか?



では、次回をお楽しみにお待ちください

(´・ω・)ノシ

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