準備
スライム以外に未知の魔物を創り出すには何が必要かなのか? 何をどうすれば良いのか全て手探りで試すのは余りにも無謀で時間が掛かりそうだ。 逆に言えばスライムは何故短時間で亜種や進化?が出来たのか。 分裂して増える繁殖力の高さ、適度な水分と魔力が有れば生存できる不思議な生命力がスライムの特徴だよな。
あっ!水以外に与えた毒草や毒茸みたいな食物に依る変化、瘴気に満ちた場所とかの環境への適応が異常に早いんだ。 植物に昆虫や爬虫類哺乳類などは気の遠くなるほどの長い時を経て地中や地上果ては水中まで生息域を広げ繁栄し多種多様に進化した事を考えると、魔物だからなのかダンジョンの影響なのか判らないが繁殖力と生命力の高い魔物を使えば新たな魔物を創り出す事は難しい気がしない。
繁殖力が高く生命力に富んだ魔物と言えば、ゴブリンが真っ先に思い浮かぶ。先日の氾濫はまだ記憶に新しいし強烈だったからな。
しかし奴等には知能と体格に不安が有る。知能は母体に人間を使い、体格に関しては適度な食物を与えるのと寒冷の環境を与えてみたい。知識に在る哺乳類例えば熊は、熱帯や亜熱帯では小さく寒冷地になるほど大型化している。
先ずはベースになる体格的に優れたゴブリンを作ってみるか。その為に下層に実験用の階層を用意して餌となるスライムを与え餓鬼の様な貧相な体をどうにかする事から始めてみよう。
2組の番に生殖行為を禁止して、日に3度の食事としてスライムを与え10日程経つ頃には体高は120cm程度だが、餓鬼の様な下腹の出た不細工な体型は健康な人間と大差無い迄に成長した。生殖行為を解禁して第二世代を増やしていこう。
妊娠から出産迄僅か2週間程、しかも一度に3匹と4匹と多産で妊娠出産のサイクルが短くスライムの分裂には及ばないがこの繁殖力は使える。残念ながら今回メスゴブリンは産まれなかったが食事に加え適度な運動を命令してみよう、体格的に氾濫した時のゴブリン達程度迄に成れれば人間の武器や装備を与えて戦力として計算出来そうだ。
更に2週間程で親よりも大きく、最低でも160cmを超え人間に劣らない体格を備えた。そして2度目の出産ではメスゴブリンも1匹だが生まれた。新たに生まれたメスゴブリンの成長を待って繁殖させてみよう。
第二世代同士で繁殖させ成体に成長させると平均で175cmほどの第3世代が産まれた。この世代の数を増やし幾つかの環境で育ててみよう。身体能力的に上位種と云えるビーストゴブリンを目指しトレーニングをさせてみる。知識に在るオリンピック競技やプロスポーツを参考にして鍛えてみるか。
色々と鍛えてみた結果、筋骨隆々な別種と呼んで良いくらいのゴリマッチョなゴブリンに、スリムだが全身にバネを蓄えた様な細マッチョゴブリンと見た目だけでも最初のゴブリンからは別種と言えるほどだ。この世代を増やして更に試したい事が有る。寒冷地、極寒地、熱帯、亜熱帯と環境への適応、不用になって来た第一第二世代を餌として与えた時の変化。そのあたりの結果が出てから、人間や亜人と言われるエルフやドワーフを母種として品種改良?改造?をしてみよう。
先ずは母種と成る素体の準備をしよう、暫く引き篭もっいるうちに外も騒がしくなって来たしな。




