情報入手②
初夏に起きた樹海からの魔物の氾濫、その調査と対応の為の拠点が漸く完成する。
大量の資金に領都の騎士団及び、各地からの出稼ぎに依る人海戦術で他に類を見ない早さでだ。
残るは、宮廷魔術師に依るダンジョンコアを使った魔法結界のみ。
宮廷魔術師も間も無く王都から到着すると、先触れの使者が訪れた。
拠点作りと並行して行なった樹海調査は、大した成果が得られていない。
分かったのは、水場となる池を拠点とし、飢えて
人の生存圏にやって来た事。 飢えが凄まじく、池を中心に広範囲に食い荒らされていた。 時期的に青青とした新緑に溢れた樹海が、地肌が剥き出しの大地になるほどだ。 小動物何処ろか、昆虫類まで極端に少ない死の森だ。
ゴブリン共が、東方から移動して来た痕跡が見つかった。
領都軍や多数の騎士団員に確認したが、共喰いをする程にゴブリン共は飢餓状態に陥っていた。
飢えは、生物にとって抗えぬ生存本能に食欲が高まる。 何故そこまで飢えた? 何故もっと早く氾濫しなかった? 本能の食欲に勝る何かが……
危険だが樹海の深部まで、調査隊を送り原因を探らねばならんな。 雪が降り、痕跡を覆い隠す前にな。
アルト村跡を監視している妖禽鷹達からの報告で、拠点作りがほぼ完成しコアに依る結界敷設待ちだそうだ。
キュー太郎達を王都に送り出し、更なる情報入手をさせよう。
結界が出来る前にゴースト達は帰還させないとな、ゴーストでは結界を超える事が出来ないからな。
名付きの魔物なら出入りに問題無かったのは、妖禽鷹・妖禽梟・憑依したゴースト達で確認済みだ。
名付きゴーストを増やし各地に送り出し情報収集しようかと考えたが、名付きを増やすのに数量制限や条件が不明な事から止めておいた。
情報入手に関しては、結界の無い場所だけに普通のゴーストを妖禽鷹達と1組にして幾つか送り出した。
焦って人間に存在を知られるのは避ける、力を蓄え安心出来るまで隠れ過ごす。
新たな魔物が幾つか進化?派生?良く分からんが、増えた。
瘴気を体内に蓄えたブラックスライム、死ぬと瘴気を周囲に撒き散らす。
排泄物や腐敗死体を与えたヘドロスライム、死ぬと細菌や病原菌を周囲に撒き散らす。
毒物を与えたポイズンスライム、触れると毒に侵される。
魔力結晶を与えたビッグスライム、人間を丸呑み出来るくらいデカくなった。
短期間で幾つか現れたが、正直微妙な能力ばかりで扱いに困る。
俺の血液や体液をスライム以外に与えたら、対象を魔物だけで無く動物や人間を使ったら面白そうだ。
動物や人間を手にするのが現状難しいが、ゆっくりやれば良い。 まだ存在は明らかになっていないのだからな。




