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ダンジョン運営記  作者: レベル
35/39

帰郷

 王都からオルター伯爵領都に夫妻揃って帰郷と、ダンジョン討伐軍からの一時的な休職許可を得て北のオルター領に向かって居る。 団長の手配に依って領都復興兼調査団の馬車に便乗させて貰い、調査団の責任者と知己を得たのは僥倖だった。


 「そうか、ガスレン夫妻は被害に遭われたアルト村の出身なのか。 領都軍がゴブリン共を殲滅し、被害遭われた村々や町の方々を丁寧に神の元に送ったと聞く、帰ったら祀って挙げると良い」


 「ありがとうございます。 しかし村が襲われたのが悪夢の様で今だに信じられません」


 「そうですね、大変でしょうが今生きているお二人が力を合わせて頑張るしかありません。 お力に成れる事が有れば何でも相談して下さいね」


 「ありがとうございます」


 

 

 「オルター伯爵閣下に於きましては、御尊顔を『良い、堅苦しい挨拶は無用じゃ、学生の頃と同じで良い』おう、助かる」


 「我が国の頭脳と称されるお前が出張るのだ、それ程の大事か?」


 「オルターよ、アカデミーの頃は俺に次いで優秀と云われた男が気が付かんのか? お前の配下が出来が良過ぎなんだ。 領都を無傷で守り、数万に及ぶゴブリンの大群を殲滅した優秀な配下がな」


 「エヴァンス騎士団団長が優秀なのが不味いのか?」


 「余りにも手際良く危機を乗り越えたが為に、本質的な問題に目が向いとらん。 樹海の実りが豊かな時期に魔物が襲来、ハグレならまだしも数万だぞ。 冬季の襲来ですら百の群なら大災害じゃ無いか? 異常を通り越しておるわ!」


  「確かに、お主の言う通りじゃ」


 「間違い無く樹海に原因が有る。 ダンジョンそれも今迄に類を見ない大規模か、恐ろしい程の高位のダンジョンマスター、又はそのどちらも備えた……」


 「そ、そんな存在が有れば、国が、い、否、世界が滅びかねん」

 

 「だから俺が自ら出張って来たのだ。 ダンジョンコアと潤沢な資金を持ってな」


 「資金は解るが、コアが必要か?」


 「宮廷の法衣貴族共に根回しするのは、ちと骨が折れたわ。 金の延棒20本、金貨5,000枚、かろうじて中規模ってサイズのダンジョンコアだ。 これだけ有れば樹海に近い壊滅的被害の村を調査拠点にし、徹底的に調査出来るだろ? しかも調査が終われば、復興拠点や樹海開発に使えば良い」


 「そうか、コアを防御結界に使うのか? 良く宮廷の雀共を黙らせたな」


 「穀倉地帯を牛耳るオルターに貸しが出来、樹海の豊富な資源は誰が差配するのかって問い掛けたら自ら進んで協力しよったわ」


 「相変わらず恐ろしい男だ、お前が本気で望めば世界を手に入れられるんじゃないか?」


 「いや、流石にそれは無理だ。 半分が良い処だろ」


 「未だに夢を追うか? 己の能力を知り、尚夢を追うか? 権力や栄華より、夢か?」


 「おう、世界に覇を唱えるより、ダンジョンを解き明かす方が心踊るわ」



 不味い、不味い、不味い、早くマスターに知らせねば、コイツは危険だ。




 樹海への調査と準備が進む中、ガスレン夫妻は人知れず領都から姿を消した。

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