帰還
ダンジョン討伐は、2日から4日程度で各階層を攻略し、順調に最下層のダンジョンマスターを倒す事が出来た。
ダンジョンマスターは、人間の上半身に蛇の下半身を持つラミア種と言うらしい。かなりの魔力を持っている様に感じたが、我らがマスターには遠く及ばない。
ダンジョンコアを採取して完全討伐となり、最下層から順次崩壊するそうだ。監視の人員を残し王都に帰還だ。
ある程度の情報も手に入れる事が出来たし、次のダンジョン討伐迄に人員補強や再編成で休暇も出ると云う話だし、オー次郎の情報収集次第だが報告の為にマスターの元に帰還する事を考えるべきだな。
『ガスレン、お前はオルター領の出身だったよな?』
『ええ、アルト村って田舎ですがね』
『樹海から魔物の氾濫があって領都に迄迫ったらしいぞ』
『は?』マスターが侵略を始めたのか?
『領都の騎士団が鎮圧したらしいが、領都周辺に相当な被害が出たらしい』
『…』
鎮圧?マスターは無事なのか?
『心配だろうが詳しく情報がまだ届いて無いんだ、王都に着く頃には詳細が分かる筈だ、故郷の情報次第だが、一度奥さんと帰郷する事も考えておけ』
正騎士は用件を伝えるとガスレンから離れて行った。
俺の様な召喚された魔物は、コアを破壊されたり奪われた時は消滅すると教えられた。そしてマスターが…
イヤ、俺が存在しているならマスターは生きいる。ただ無事かどうか… 急いで帰還せねば。
『夫婦での帰郷許可が出た、明日は準備に当て
明後日に出発する』
キュー太郎はかなりの情報を得た様たが、俺は噂や王都での流行りぐらいしか手に入れられて無い。マスターは無事だと信じているが、魔物はゴブリンで信じられないほどの規模の氾濫だった様だ。マスターは情報が集まり、戦力が整う迄はダンジョンの存在を隠すと仰っておった。何か俺達が居ない間に起きたのか?心配だ。
まさか、ダンジョンコアを防御結界に使うとは思いもしなかった。オルター領都の結界補強に今回入手したコアを使うとはな。しかもそのコアを運ぶ支援兼調査隊の荷馬車に便乗出来るとは団長のお陰だな。上手く領都でも情報を手に入れる手掛かりになりそうだ。
キュー太郎とオー次郎は、まだ知らない。調査隊から領都に向かう道中に多くの有要な情報を入手し、ゴブリンのダンジョンマスターを喜ばせ、更なる厄災の種を与えるとは。




