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ダンジョン運営記  作者: レベル
27/39

樹海騒乱前夜

(マスター、報告します。

ロデム率いる群れが、約1Km迄来ました。)



「あっ、ああ、ご苦労だったなホーホー。」



いかんな、色々考え過ぎてボーっとしてたわ。



「聴け全ての眷族よ、東側から魔物の群れが来る。襲わずに池へ招き入れろ。逃げようとする魔物の邪魔をしろ、ダンジョンから生きて出すな!」



「泥傀儡に骸骨傀儡よ、合図したら魔物の群れを襲え!」



((承知しました、造物主様))



「ホーホー、ソフバン魔物の群れをダンジョンに招き入れた後は、通常の周辺監視と東の大きな群れの監視をしろ!」



((はい、マスター))






警報音が、頭の中に鳴り響いた。

<東から53体の魔物が侵入しました>



「ロデム、池の近くで群れに休憩をとらせろ。お前は、ミミックスライムやゴースト達を連れて、周囲の偵察と言って群れから離れろ。」



(はい、マスター)



「エリザベス、半数の配下で、コモンオークの包囲網を抜けた魔物を、麻痺させろ!」



(我が主の命、しかと賜りました)



「グレイ、配下と共に外周に控え、魔物を逃がすな!カムイも手伝え!」



((はい、マスター))



良し、準備は整った、泥傀儡の力試しだ。



「ここで休憩する。お前と、そこのビーストゴブリン達は付いて来い。辺りを見に行く。」



寝ずの移動で疲れた様子だが、スライムを喰ったり、横になって寛ぎ始めた。



「泥傀儡、人形と共にゴブリン達を襲え!皆殺しだ!」



(はい、造物主様)



湿地の泥が盛り上がり、ワラワラと泥人形が這い出て行く。



ビチャッ

湿った足音でゴブリン達に緊張が走る。



「グギャッ」(魔物だ)



湿地に近いゴブリンが叫ぶが、遅かった。

2m余りの巨体からは、想像出来無い素早さで泥人形達は近付いて行った。



座り込んで居たゴブリンが見上げると、泥人形の右足が音を発て眼前に迫っていた。

ブォッ


ゴキンッ

泥人形の前蹴りを顔面に受け、真後ろに顔が向いた。

後ろに座って居たゴブリンは、いきなり逆さまの顔と向き合い、ビクッと身動いた。



奇襲とは謂え、全く相手に成っとらんぞ?

さっきから、撃破とPt入手の報告が鳴り響いて煩いわ。



関節の無い泥人形は、手や足の動く方向に制限が無く、生物では有り得ん動きと速度を持っとる。



しかも手や足に頭とあらゆる部位が、伸び縮みして動きの予測が難しい。



手足の水分量を変化させ、撲殺したり窒息と驚きの強さだ。



攻撃だけで無く、防御もとんでも無い。

剣とか槍で、斬られたり貫かれても、泥と魔力の身体には効果が無い。

どころか、水分量を調整して武器を絡め取っとるわ。



あっ、終わっちゃった。

骸骨傀儡達を、出す暇が無かったな。

凄過ぎじゃね?泥人形って・・・



「泥傀儡達は、死体から武器や装備を回収して集めろ!

骸骨傀儡達は、カムイに死体を2つ、グレイ達に3つ、エリザベス、ホーホー、ソフバン達に1つずつ、残りをコモンオークの元に運べ!」



「皆、ご苦労だった。死体は褒美だが、骨は使うから残しとけ。」



「ロデム、ビーストゴブリン達を殺せ。武器と装備は骸骨傀儡達に渡し、死体の1つはミミックスライムに与えろ。残りは切り刻んで、水妖蛇とアラウネに喰わせろ!」



後始末はこんなもんか?



眷族からの返事やお礼を聴きながら、今回手にした魔力を確認するマスターだった。



うーん、50余りを殺してまだ10,000Ptに届かんのか?

魔力Ptが低いのは魔物だからか?ゴブリンだからかな?

まぁ、泥人形の凄さが確認出来たから良いけどな。



ゴブリン相手なら、10倍の数でも楽勝だな。

東の大きな群れの数は知らんが、取り敢えず泥傀儡を10体迄増やし、骸骨傀儡も増やして戦力強化しとくか。



魔素回収量も大幅に増えたから、魔力結晶は直ぐに溜まるだろう。

湿地の泥だけじゃ量的に不安だなぁ。

沼地や川とかを探させるか?






徐々に迫る東の大きな群れが、樹海を騒がす騒乱の火種だとまだ気付かず、予想外の泥人形に浮かれるマスターだった。




次回投稿土曜日予定です

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