表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ダンジョン運営記  作者: レベル
21/39

招かれざる訪問者⑤

ミミックスライムがゴブリンを食べ終るのに時間が掛かりそうだ。人間の大人に比べて身体が随分小さいゴブリンだが、バスケットボール程の大きさのミミックスライムでは時間が掛かるのも当然か。しかも食べた後に消化して、初めて擬態が出来る様だ。



「暇だなぁ、ゴブリン共を巣からダンジョン迄誘い込んでみるか?

性欲と食欲の塊みたいな奴等だから、ハク達妖獣狼の雌で簡単に誘き寄せられるんじゃね?」



暫く考え込んでいたが、不意に閃いた。



「群れのボスを憑依して操るか、殺して新しいボスとして憑依中の奴に群れごとダンジョンに移動させるってどうだろうか?」



「悪くは無いな。これと言って問題も思いつか無いし、総魔力量の増加と眷族強化に依る防衛体制とダンジョンその物の強化だな。」



「しかしなぁ、………」



不安が無い訳では無かった。限られた情報から推察を重ねた答え、(つまず)きが一つ有れば根本から崩れる思考。



「相談相手に成るこの世界に明るい奴が欲しいなぁ。」



無い物ねだりの呟きをしつつ、ダンジョンで誘い入れたゴブリン共を嬲り殺す様を想像し、その瞳に歓喜を僅かに浮かべ、画面に映る訓練中の眷族を観ていた。






「グレイ、雌鹿を1頭生きたまま明日の日の出迄に捕まえろ!

南海、ホーホー達はグレイを補佐しろ!

ゴースト達はスライムを適当に喰って、ゴブリン共を日の出迄十分に休息させろ!

他の者は、いつも通りだ!」



眷族に指示を出し終えると、日課の筋トレを始めた。






(報告します。

雌鹿を生け捕り、グレイ達が間も無く帰ります)



ホーホーから報告だ。



「早かったな。」



スラッチ達に汗を吸わせた後、ミミックスライムの様子を確認する。



「ゴブリンに擬態出来るか?」



応!と謂わんばかりに擬態するミミックスライム達。



「何度見ても凄いな。擬態と言うより変身だな。」



流体金属の身体を持つ擬似生命体が、未来から時空間を越え騒動を起こす物語の1場面を、脳裏に思い浮かべていた。



「憑依中のゴブリン共を連れ、ゴブリン共の巣へ行け!

ゴブリン共のボスに土産として、生きた雌鹿を渡し、隙を伺ってボスを殺して群れを支配しろ!

逆らう奴は殺せ!

ゴブリンの死体や雌鹿を含めた全てを、ダンジョンに運べ!」



「はい、マスター」



「えっ?何時の間に話せる様に成った?」



慌てて、ミミックスライムの詳細を確認する。



個名:

種属:魔属

種名:キメラスライム

官職:

官位:

費用:


*補食に特化適応した亜種が進化した特異種。

補食した生物の特徴を再現し擬態し、捕食した生物の記憶を得る。



「召喚Ptが無いって事は召喚出来無い突然変異だな。スライムの名前が残って居るが突然変異なら、繁殖や分裂増殖が出来るか判らんな。」



擬態するミミックスライムとキメラスライムを見て、特異性と有用性に思いを馳せて考え込んだ。






「お前に名前を与える。ロデムだ。」



「有り難う御座います」



擬態と謂う名の変身能力から、直ぐ様思い浮かんだ名前を付けた。



「ロデム、群れを支配した後に、ボスを喰え!ボスの記憶を探って群れの全てをダンジョンに持ち帰れ!」



「はい、マスター」



「ビーストゴブリン達に憑依したゴースト達や他の者に紹介するから、池の周囲で待機してろ。」



キメラスライム達を転移させた後、名前持ちの眷族と憑依中のゴースト達に細かい指示を与え、予定前だが暗い樹海に送り出した。



「偶々だが、ゴブリンと謂う招かれざる訪問者が(もたら)した新たな可能性…



…面白い。」




明けましておめでとうございます


m(_ _)m






年末に色々有りまして、暫くは週1程度の投稿と成ると思います。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ