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ダンジョン運営記  作者: レベル
2/39

ダンジョンマスター生誕?



「・・・ん?」



目を覚ますと、薄暗い見覚えの無い場所に居た。



辺りを見回すと、洞穴の様な感じだ。



出口を探すが、見当たらない。



まだ夢の中かと考えてたら、突然頭の中で無機質な声が響いた。



[知的生命体覚醒確認。]



[プログラム起動条件クリア。]



[プログラム起動開始。]



突然目の前に、拳大の淡く光る球体が現れた。



「・・・っ」


思わず声を上げ掛けて、後退りした。



球体は淡く光り、(ほう)けてヘタリ込む目線の先で、浮いていた。



「何だ?これ。」



思わず手を出し触れた。



[ダウンロード開始。]



無機質な声、同時に頭が割れる様な痛み。




「あっ・・・がぁァァ・・ァァ・・ァ・・・」



目の前が暗くなる。









再び目を覚ました時、理解していた。



[ダンジョン]と言う力を使い、猿から進化した[人間]を殺し、駆除する。



元々知識に有る[人間]と似て非なる[人間]。



姿形はそっくりだが、[魔力]と言う摩訶不思議な力を持っているらしい。



この世界は、西洋の中世をベースにファンタジーを織り混ぜた様な感じで、まるでゲームの様だ。




「???」



「中世?西洋?ファンタジー?ゲーム?」



「………知識として理解は出来る。…でも、俺は誰だ?記憶が無い…。

思い出そうとしても、頭の中に(もや)がかかった様な感覚がして思い出せない…」



「知識として解る事を考えると…」



「[人間]だよな?俺?

[魔力]が無い人間が居た世界の住人って考えで良いのか?」



「…ひっ」



「み、緑色の手?」



考え事をしながら、ふと目に入ったそれは、蛙の様な両生類の皮膚感を持つ緑色の手だった。



「お、俺の手?」



何度も繰り返して、握り拳を開いては閉じた。



「俺のだな…」



恐る恐る、その手で顔や頭に触れると…



「髪の毛が無い?

鼻がデカイ鷲鼻?

耳が尖ってる?」



知識に有る[人間]と全く違う感触に、ただただ戸惑った。



茫然自失と言えばいいのか?



暫くの間、固まった様に動けなかった。



僅かな時間だった様な、何時間も経った様な、おかしな感覚から意識が覚醒した。



「俺は、[人間]じゃ無いのか?

多分[魔物]だ!?

色々と考える事が出来るから、それなりに知能が有るみたいだな。

手や足の形からすると、二足歩行の人型?」



「特徴的な鷲鼻に尖った耳、子供位の手足の大きさを持つ[魔物]って?」



「ゴブリンや餓鬼とか?

そんな(たぐ)いだなぁ。」



「はぁっ、…

[人間]を駆除するとか、かなり難しくないか?」



自分の置かれた現状に、ため息混じりに呟いた。



「まずは、[ダンジョンコア]だな。」



何故かダンジョンコアの機能も扱い方も、知識として持っている。



自動車に例えるならば、ダンジョンコアはエンジンに当たる動力部かな?



ダンジョンそのものを含めた設備の維持と自動修復、魔物の餌に治療(時間経過で自動治癒)、死亡後のリポップ(再湧き)等々を魔力を循環させる事で、ダンジョンコアが行う。



勿論ダンジョンの設置に増改築、魔物の召喚もダンジョンコアの機能だな。



ちょっとエンジンとは違う気もするが、理解する事と説明する事は似て非なるナントヤラだ。



魔力を手にする為多くの生物、特に人間を殺す必要が有る。



人間は良質で多大な魔力を持って居るし、ダンジョンマスターが唯一するべき事が人間の駆除だからな。



生物が生命維持の為、外部から栄養素を取り込む様に、ダンジョンには魔力が必要だ。



人間の駆除はダンジョンマスターの本能の様な物だと思う。



まあ、深く考える必要は無いけど、知能の高い魔物は力を求めダンジョンマスターを殺し、己がダンジョンマスターに成ろうとする。



人間はダンジョンコアを宝玉として奪う為、ダンジョンマスターを殺しに来るらしい。



ダンジョンコアに向かい、大きく叫ぶ。



「ウィンドウオープン」



ダンジョンコアとの間に、同じ様な淡い光を放つ四角い画面が現れた。



「まずは、俺だよな?」



誰かに同意を求める様に、声に出して確認する。



「ダンジョンマスターのステータスオープン!?」



ピッ



個名:

種属:魔属

種名:ゴブリン

官職:ダンジョンマスターLv1

官位:


*眷属(眷族)に対し絶対服従を強制



「えっ?これだけ?」



ゲームの様に身体能力が数値化されていない画面を暫く見続けた。



個名は固有名称の略語で名無しとっ。



やっぱりゴブリンかぁ、想像通りたが何故か気が滅入る。



ダンジョンマスターって職種なんだ?

魔物である程度知能が有れば誰でも成れるから当然かぁ。



条件は簡単ダンジョンマスターが死んだ後に、最初にダンジョンコアに触れた者が次のマスターに成る。



官位ってのは称号だよな?まだダンジョンを創って無いから関係無いかな?また確認すれば良いか。



「ダンジョンって言うと迷宮だから地下に拡がるか、高い塔みたいな建物が一般かな?」



ダンジョンを創る前に構想を練る。

まともに創っても、俺自身が弱いんだから考え抜いて創らんとな。



人が少ない辺境の地とかは不味いよな?

攻め込まれる危険は無いけど、獲物となる人が居ないと魔力不足が心配だ。



人が多いのも考え物だな。

大都市近郊とかだと大軍による物量戦で簡単に陥落しそうだ。



しかし、多少なら人が消え失せても判りにくいよな?

問題視される迄の間に、難攻不落のダンジョンに出来無いか?



中世の西洋に近い世界…

大都市は生活物資を森から多く手に入れているよな?

燃料として薪、食材の野草や茸類、動物や魔物は肉、皮、骨と使い途は様々だ。



生活する為に必ず森に人が出入りする。



森なら大軍を展開しずらい。馬などの輸送手段が使い勝手が悪いから…



「森…森そのものをダンジョンにしたら…」









どれ程森のダンジョン化を考えて居ただろか?



「想像通りなら、最初から難攻不落に近いダンジョンが出来るぞ。」



「大都市近郊の森林で湖か池などの水場が在る土地を検索。」



ピッ



画面に幾つかの条件を満たす土地が表示された。



「どこが相応しいかな?」



込み上げる笑いを抑えながら、候補地選びに没頭した。




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