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ダンジョン運営記  作者: レベル
18/39

招かれざる訪問者②

ピンポーン



<5体の魔物が東側から侵入しました>



「来たか。

コア、侵入者の詳細と姿を画面に出せ!」



個名:

個数:2♂.

種属:魔属

種名:ゴブリン

官職:村人

官位:戦士


*人型の魔物、人間の5歳児程度の知能と人間以上の身体能力を持つ

多産早熟で種族の壁を越え、子宮を持つ種族と交配可能



個名:

個数:3♂.

種属:魔属

種名:ビーストゴブリン

官職:村人

官位:狩猟者


*獣を母体に持つゴブリンの亜種

原種ゴブリンに比べ魔力が低く、母体の特色を色濃く持つ



「ゴブリンって人間を襲って(はら)ますってイメージが在ったが、子宮が有れば何でも良いんだなぁ

村人って事は、野生の可能性が高いな。

官位が在るから序列を持った集団に属した奴等が食料調達や雌の確保が目的でやって来たってとこだろうか?」



侵入したゴブリン達の様子を観ながら、考察を重ねるゴブリンだった。



「グギャッギヤッ」

(魔物、気配、気ヲ付ケル!)



戦士のゴブリンが周囲に注意を促す。



コモンオークが背後に回り込み、ダンジョンの内部に向かう様に枝と根を振り回し牽制する。



「言ってる言葉は俺にも解るな。気配で魔物を察知するのか?前にカムイが感覚で仲魔が判ったのと同じか?」



コモンオークはダンジョン奥深くに侵入者達を牽制しながら誘い込むと、周囲を囲み徐々に包囲網を狭める。

コモンオークの包囲網の外には、様子を伺う様に妖蟲大雀蜂達が待機して隙を待って居た。



ゴブリン達は意外にも敏捷で、コモンオークの枝と根を容易く避ける。

葉を投げ飛ばしゴブリン達の動きを遮る。

葉その物は軽い為に容易く打ち落とされるが、数が多く鋭利な葉はゴブリン達を傷付け無数の傷口を作る。

傷口は浅く皮膚を切り裂く程度だが、鋭い刺す様な痛みにゴブリン達の表情が歪む。



特に俊敏な濃緑色の3体のビーストゴブリンには動きに余裕が見える。

只のゴブリンには頭上や左右から襲い来る枝と葉に手一杯なのが見てとれる。

頭上からの葉の投擲に注意が向いた僅かな隙に足元から根がゴブリンを絡め取る。

脚に絡んだ根を取り除こうとして屈んだ隙に四肢を枝と根に絡め取られ身動き出来無く成った。



同じ様にビーストゴブリンにもコモンオークが襲い掛かるが、機敏な動きに翻弄され全く捕まえる気配が感じられ無い。



「ビーストゴブリンかぁ段違いな動きだが、2重3重のコモンオークの囲みから逃げ出すのは無理だろ?スタミナ切れで終わりか?妖蟲大雀蜂達が参戦して終いかな?」



ニヤニヤと観る者に不快感しか与え無い笑みを浮かべ、侵入者の足掻きを観ていたゴブリンの顔色が曇る。



「何が有った?」



画面の中には四肢を絡め取られ宙吊りに成っているビーストゴブリン達が映し出されていた。



唯一会話の出来る戦闘現場近くに居た妖獣羆に訪ねる。

「カムイ、濃緑色のゴブリン達が捕らえられる瞬間を見逃した。

暫くは捕まる様に見え無かったが、何が起こったか判るか?」



(マスター、申し訳有りません。自分が原因だと思います。)



「お前は少し離れた場所で待機して居るよな?離れた場所へ攻撃する手段を持つのか?」



(いえ、違います。風上に移動して匂いで注意を惹きました。出過ぎた真似をして申し訳有りません。)



「獣臭に気を取られた訳か。急に羆の匂いがしたら固まるわなぁ。カムイ、責めてる訳じゃ無いぞ。むしろ感心させられたわ。」



(はっ、有り難う御座います。)



「コモンオーク、侵入者を拘束したまま池まで連れて来い!妖蟲大雀蜂達もコモンオークと一緒に池まで来い!カムイ、池で尋問をするから護衛として来い!

グレイも長兄と護衛に来い!」



((はい、マスター))



「さて、どんな情報が手に入るか楽しみだな?

あっ、そうだ!?

ミミックスライムも全員池に集合しろ!






コモンオークに四肢を拘束されたゴブリン達が池まで連行されて来た。



「皆揃ったな。コア、湿地横の草地に俺を転移だ。」



眷属達の目の前に転移するとカムイが背後に回り込み、グレイは長兄と左右に挟み込む様に控えた。



「お前達、俺の言葉は解るか?」



侵入者達は敵意と恐れが入り交じった困難した表情を浮かべるだけで、無言だった。



「話しが出来無いのか?お前達は何をしていた?狩りか?正直に話せば命は助けてやる。」



(コイツ誰?、強イ、怖イ、助カル?、話ス)



突然目の前に現れたゴブリンの様な緑色の肌を持つ魔物に、警戒し畏怖を感じながら1体が口を開き始めた。



「餌ヲ捕ル、池ハ沢山餌イル」



「狩りをしに、餌の豊富な池に向かっていたんだな。」



コクリと頷いて様子を伺う。



「何処から来た?お前達の仲間はどれ程の数が居る?」



「東ノ村カラ来タ。村、仲間イッパイ。」



嘘は言って無い様子だが、今一要領を得ないな。野生のゴブリンで間違いなさそうだが、もう少し詳しい情報が欲しいな。



「コモンオーク、侵入者を気絶させろ!」



コモンオーク達は、侵入者達の首を絞め意識を刈り取った。



「ゴーストを5体召喚。」



目の前に現れたゴーストに侵入者の完全憑依を命じた後、以前作った通路脇の部屋に転移させた。



「皆、ご苦労だった解散。」



5歳児程度の精神なら簡単に乗っ取るだろうから、詳しい情報を聞き出せるだろう。




次回日曜日AM7:00投稿予定です

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