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ダンジョン運営記  作者: レベル
12/39

異端?樹海ダンジョン③

夜明け前に完全憑依のゴースト達を、ノルン王国首都に向けて出発させた。



殺した男が持って居た貨幣で十分な路銀になるそうだ。

それどころか、3ヶ月は夫婦が楽に暮らせる額らしい。



不測の事態でも対応出来る様に、名前を付け基礎能力を向上させて措いた。

因みに、男に憑依したゴーストがキュー太郎、女に憑依した方がオー次郎と付けた。

ゴースト、お化けと考えると簡単に浮かんだ。



出発前にキュー太郎と相撲を取ってみた。

力比べの押し相撲では、大人と赤子ほどの差が在った。

4つ相撲からの技は、面白い様に決まった。



キュー太郎が憑依した人間は、集落で1・2を争う力自慢だったそうだ。

体術的な技術は一般に通用するか自信が無いが、単純な力に関しては自信が付いた。



ノルン王国の軍備情報の報告が手に入るまでを、どう過ごすか悩むな。

静かに待ち、動物の魔物化と魔力結晶化に期待するか?

敢えてダンジョンを拡大して、魔素回収量を増やすか?



魔素が豊富な大樹海、一見してダンジョンと判り難い変わり種ダンジョン。長所は徹底して伸ばすべきか?

少数の進入者相手なら、手持ちの戦力でよっぽどの相手で無い限り勝てる。

訓練された大軍の物量戦なら、ひとたまりも無い。



大人しく待とうと決めた時、久々にあの音が頭の中に鳴り響いた。



ピンポーン!



<新たに魔物が発生し眷族に成りました>



「久しぶりに聞いたらなんか嬉しいな。

コア、新たな魔物を映し出して詳細表示。」



個名:

個数:6

種属:魔属

種名:妖獣狼♂.♀.

官職:

官位:

費用:魔力30Pt


*魔物を補食した為に魔力が変質し魔物化。

一晩で数百Kmを移動する強靭な脚力と体力を持ち、鋭い牙と爪で獲物を襲う。



「両親に若い息子と、この春に産まれた子供3匹の家族だな。仔犬にしか見えないな。」



画面の中で仔犬の様な狼は、兄の若い狼にジャレて遊んでいた。


「聴こえるか?お前達は、ダンジョンの警備と周囲の警戒をして貰う。名前と念話能力を与える。夫のお前がグレイ、妻のお前がハクだ。

部下を何名か与えるから、昼夜を問わず警備と警戒の編成を組め。」



((はい、マスター。))

「ワォーン。(頑張ります)」

「ワーン(ます)」



両親に続き兄が遠吠えで返事をすると、ちびっこ達も真似て吠えていた。どうやっても仔犬にしか見えんぞ。



4体の雌を召喚した。子供達は雄だから、将来は夫婦になって増えるだろう。

狼は夫婦を最小とした血族で群を作るからな、これで大丈夫だ。

名前の由来は、灰色と白っぽい毛並みからだ。



狼の巣に向かう命令を取り消し、熊の巣に向かう様にスライムに命令を出し直した。

熊が魔物化したら、森の支配者になるのか?

狼でも結構時間が掛かったからな、気長に待とう。



熊は自ら好んでスライムを補食して居た為、ゴブリンの予想に反し翌日には魔物化して少々混乱するのだった。






暇潰しの筋トレをして、スラッチとスラリンで汗を吸い取っているとコアから報告が有った。



ピンポーン!



<新たに魔物が発生し眷族に成りました>



「何が魔物に?

コア、新たな魔物を映し出して詳細表示。」



個名:

個数:1

種属:魔属

種名:妖獣羆♂.

官職:

官位:

費用:魔力80Pt


*魔物を補食した為に魔力が変質し魔物化。

飢えた状態で大量の魔物を補食した影響で、体毛が変質し硬質化。

巨体に似合わ無い敏捷さと怪力から繰り出す鉤爪は強力無比。



「羆の魔物かぁ。飢えたって冬眠明けだからか?体毛が硬質って元々鉈とか刃物も弾いたんじゃ無かったか?銃弾すら当たる角度によっては弾くって知識が在るぞ。

特記する程凄いって事だよな?」



詳細を観ながら独り言の様に記憶に在る知識を口にして居た。



「羆って確か土着の言葉でキムンカムイだっけ?山の神って意味合いだったかな。

聴こえるか?名前と念話能力を与える。カムイだ。ダンジョン内を徘徊して進入者を倒せ。」



(はい、マスター。)



「ダンジョンに危険な肉食獣はもう居ないな。スライムを補食しに山猫や豹が、時たま出入りするぐらいだ。カムイを連れてなら護衛になるし、猛獣も近寄らないよな。」



危険が無くなったと判るとダンジョンを歩いてみたくなった。現金なものだが、木の実を食べたかったんだ。

キュー太郎達が持って来た食糧は、調理が必要な物しか残って無い。干し肉やパンなど携帯が楽で調理が不要な物はキュー太郎達に持たせたからだ。



念の為、殺した男のナイフとは別にキュー太郎達が持って来た山刀に近い形の鉈を腰に下げてカムイの元に転移した。



カムイを間近で見て、その巨体に驚いた。4mを超え5mに届こうかと謂う巨体は間近には黒い壁にしか見えない。



羆って3mぐらいのイメージだったが種類が違ってたかな。

これなら護衛として申し分無い。安心して散策出来るな。



(マスター仲魔の様ですが蟲の魔物が多数居ます。気を付けて下さい。)



「ん?ああ、心配無い、妖蟲大雀蜂達だ。滅多にコアルームから出ない俺を心配したエリザベスが護衛に送ったんだと思う。」



(エリザベス?私が護衛に居ると謂うのにですか?)



「エリザベスは妖蟲大雀蜂達のリーダーだ。俺を思っての行動だ、カムイを軽んじた訳じゃ無い。気にするな。」



(はい。)



カムイは森の頂点だったせいか、戦力としての自負が強いと謂うかプライドが高いかな?



「カムイ仲魔と判るのは、何か特徴でも見付けたか?」



(いえ、何となく感覚的に感じます。以前は餌にしか見えなかったスライムからも同じ物を感じます。)



「眷族同士で感じる物が在るんだな。俺は全く感じ無いけどな。」



(マスターは全てに優先する絶対の存在です。眷族を気にする必要など微塵も無いと思います。)



「そんな風に感じるんだな。」



こうやって直接の会話って初めてじゃ無かったか?なんか新鮮で楽しいぞ。



ダンジョンエリアを散策して居ると、スライムを除く眷族が皆付い来ようとする。

カムイとグレイの息子達だけを連れて行く。南海とソフバンは監視が絶対必要だと空からの警戒を譲らなかった。

エリザベスはカムイと謂う護衛に安心したのか、妖蟲大雀蜂達を引き揚げた。



ちびっこ狼達と俺は、見る物全て新鮮でハシャイで居た。カムイと長兄狼は何やら気が会う様で仲良く会話して居た。カムイを慕う感じに見えた。強者に対して思う所が在る様だ。



期待した木の実は、さくらんぼと野苺に梅の実ぐらいしか見付けられなかった。腹を満たす程の量じゃ無かったが、旬の味覚を楽しんだ。



「えっ?」



目の前を有り得ない奴が通り過ぎた。慌てて呼び戻す。



「お前はスライムを食べる様に命令したアラウネか?」



アラウネが器用に花の部分を上下に揺らして返事をする。

詳細を確認しても変化が無い。



「スライムを食べた影響で歩ける様になったが、特記する程じゃ無いって事か?」



(マスター私の考えを申し上げても宜しいですか?)



「ああ、頼むよカムイ。」



(先程湿地で見かけたアラウネ達より小さいですが、目の前のアラウネからは大きな魔力を感じます。

スライムを補食した事で魔力を蓄積したと思います。)



「スライムの魔力を溜め込んだと思うんだな?有り得るが確証は無いな。」



(他の眷族でも試せば良いのでは?全ての眷族でも良いと思います。)



「影響次第では、最悪は死も有るかも知れんぞ?」(先程も申し上げましたが、マスターは全てに優先する絶対の存在です。眷族を気にする必要など微塵も無いと思います。)


「………

そうだな、お前が謂う通りだ。

全てを俺の為に差し出せ、その命も。」



スライムを除く亜種を含む全ての眷族に命じた、必ず毎日一匹はスライムを喰えと。






人知れず樹海ダンジョンは、眷族を変貌させる。

人間に厄災と死を与える為に……。




臨時投稿です。



次回定期投稿予定

土曜日AM7:00




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