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ダンジョン運営記  作者: レベル
11/39

異端?樹海ダンジョン②

スライムを餌にするか悩んだ。

魔力が溜まるのも魅力だが、スライム補食による影響が気になってしょうがない。

試すなら成長が一番遅いアラウネだけにスライムだけ補食させて観察だ。






決めた。

スライムには申し訳ないが、俺の知識欲の為に犠牲になって貰う。

スライムだけじゃない、眷族全て俺の為に全てを差し出せ。



「アラウネ聴こえるか、そう一番小さなお前だ。

お前は今からスライムだけを喰え。

普通のスライムだけだ、亜種スライムは喰うな。」



尊い犠牲だろうが、犬死にだろうが構わん。

俺の為に生き、俺の為に死ね。



ダンジョンマスターだから人間を殺す為だからと言い訳しない。

俺の好奇心を満たす為。

俺の娯楽の駒として、ダンジョンと謂う盤上で命の限り楽しませろ。



スライムを犠牲にする事を決めた時から、禍々しい狂気を含んだ笑みを浮かべていた。

厄災と死の象徴、ダンジョンの支配者が覚醒しつつ有るのを未だ人間は気付か無い。

牙を剥き、襲いかかって来るその時まで…



コモンオークを1時間毎に10体交互に落葉樹と常緑樹タイプを、総数が500体に成るまで召喚と簡易な指示をコアに命令した。



完全憑依したゴーストが戻る頃には、溢れ出た魔力がコアルームを充満し始めるだろう。



筋トレをして時間を潰したが、急に浮かんだ考えが有る。

体力と筋力はずいぶん付いた筈だ。

太くなった腕や脚、見事に割れた腹筋。

以前の栄養失調で、腹だけが膨らみ痩せ細った手足の餓鬼みたいな体型が嘘の様だ。



俺は強いのか?ゴブリンだから弱いのか?

元々ゴブリンですら、どの程度かよく判らないのに考えて判る筈が無かった。



ゴブリンを召喚して相撲でも取ってみるか?

醜い、汚い、臭いのイメージしか湧かない奴と、狭いコアルームで一緒ってのはちょっとなぁ…

俺もゴブリンだと思い出し、気分が落ち込んだのは内緒だ。



ゴースト達が戻ったら相撲を取り、どの程度人間に通用するか試そう。

記憶に有る技が通用するか?

ルールが単純で説明が簡単に出来て、ゴーストにも理解出来る筈だ。

土俵から出る、足の裏以外を地に付けたら負け。



力比べなら押し相撲、体術としての上手投げなどが有効なら武術知識が有用かも?人型の魔物と武術訓練も役立つ可能性が出てくる。



俺のダンジョンの特徴は、魔素回収量の多さと魔物と判り難い眷族が多い事だ。



外観から判別出来るのは、スライムとブロブスライムとゴーストにゴブリンの俺だけだ。



アラウネとコモンオークは、襲われなければ気付か無い。


水妖蛇は、池に居たら見付ける事自体が難しい。


妖禽鷹、妖禽梟、妖蟲大雀蜂は、普通の生物にしか見えない。


ミミックスライムの擬態は完璧だし、スケルトンはただの白骨死体だ。



魔物と判るスライム達は、見向きもされないだろう。

狩人の言葉通り、子供が踏みつけ倒せる魔物など気にならない筈だ。

ゴーストは、実体の無さを利用し隠れ潜むのは簡単。

俺が気を付けていたら、表面上は只の樹海だな。



魔物の特徴が、表に出にくい動物の魔物化を期待しよう。まだ数が少ないから、多分としか言えないがな。



ゴースト達が戻るまで暇だ。筋トレしよう。

筋トレも片手腕立て伏せや背筋を鍛えたり、樹海から抱えて持ち上げるのが大変な大きさの岩を持ち込みスクワットに負荷を増やす。

飽きてきたから、新メニュー追加だ。



ゴーストを送り出して、4日目になる。

今晩辺り帰って来ないだろうか?



魔力保有量は既に溢れた状態だが、魔力自体良く解らんのに充満とか解る訳無い。

アラウネの成長は、昆虫などの補食より遅くなった。スライムを食べた効果は現れて無い。



暇だ、ゴースト早く帰って来い。

帰って来てくれ。

帰って来て下さい。

話し相手が欲しいんだ。

願いが通じたのかキーキーから報告が有った。



(ゴースト達がダンジョンに向けて出発しました。

ホーホーが部下を率いて警戒と誘導をしています。)



「キーキーご苦労だったな。大丈夫とは思うがダンジョン周辺の警戒を朝まで強めてくれ。」



(はい、マスター。)



2時間もすれば到着するな。コアルームに招き入れずに、部屋を造るか。完全憑依したとは謂え人間だ、用心に越した事は無い。



入口部屋に近いL字通路の壁に扉を設け、20畳程の小部屋を造った。扉を含む部屋は、魔力100Ptで足りた。



ホーホーから帰還の報告が有った。



「スラッチとスラリンはコアルームの前で見張りだ。俺以外を入れるな、頼んだぞ。」



新たに造った部屋に移動し、ホーホーに労いの言葉を掛けた。



完全憑依した人間二人を、目の前に転移させた。

ソーマ採取に来た村人同様、質素な衣服に身を包んだ如何にも農民といった身なりだ。



「荷物を置き、床に座れ。完全憑依した人間の知識を知りたい、話しは出来るか?」



「「はい、マスター。」」



思った通りに会話は勿論だが、知識を得られる。



まずは村の事、都市、国、軍隊、樹海、ダンジョン、色々と人間世界の常識を勉強しよう。



周辺の状況が大体把握出来た。


この辺りはノルン王国って国の北部地域で、大樹海と大海に挟まれた南北に約3,000Km、海岸線から大樹海まで最短地で約500Kmの長細い国土を有する国だそうだ。


最北部は、大霊峰と呼ばれる山々が連なり天然の要害として進入者を拒む。


南部は、幅数Kmも在る大河を国境線として周辺国に接する。



地形的に恵まれ、戦乱から遠く離れた平和な国らしい。



大樹海はノルン王国より遥かに広大で、浅い場所しか人は立ち入ら無い様だ。



ノルン王国には、大小5つのダンジョンが現在確認され監視体制下に置かれている。

大霊峰の中腹に大規模なダンジョンが1つ、首都に近い大樹海の中に中規模が2つ、大河に近い国境の都市の中に中規模が2つ在るそうだ。



大霊峰のダンジョンは地形的な難所で魔物が強い為に、外に出た魔物の退治と監視に留まっている。



首都近郊のダンジョンは、近々大規模な討伐軍を順次派兵し根絶しにすると、国王が宣言したそうだ。



国境のダンジョンは、軍事的な余裕から徹底した管理の元に、ダンジョンの周りに都市を造り上げ取り込んだ。



ダンジョン入場料を徴収し、魔物から獲れる素材の流通とダンジョンに一攫千金を夢見て訪れる冒険者が落とす金銭で、都市は発展し国庫を潤しているそうだ。



ダンジョンを管理して利用出来る力を持つ国が、俺のダンジョンに接して存在する事が解ったのは有難い。



まだ解放1ヶ月にも満たない弱小ダンジョンなど、一蹴されてお仕舞いだ。



ダンジョンとバレない様に拡大と強化が必要だ。



ノルン王国の情報をもっと集める必要が有る。

何故、首都近郊に2つもダンジョンが中規模に成長するまで放置されて居たのか?

最大動員兵数は?

兵の装備と錬度は?



ダンジョンへの派兵に、完全憑依のゴーストを潜り込ませられないか?



例えば、魔物に肉親を殺された復讐の志願兵とかは無理が有るか?



完全憑依状態なら人として振る舞えば、バレる心配は少ない。

男は志願兵、女は救護関連の手伝いか酒場で情報収集。

早速送り出そう。




次週臨時投稿予定有り







次回土曜日AM7:00

定期投稿予定です。

(´・ω・)ノシ

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