おばちゃまの勝手に相談室。〜若者研究〜
おばちゃま先生は必死だった。
若者の生態研究……。
「ねーぇ、 なずなさん? お若い方は何を流行りとしているのかしら?」
「様々ですね。 一括りに言われても、 それぞれ違います」
ちょっと面倒くさい。
研究熱心なのは、分かる。
仕事をする上、必要なのだろう。
しかし。
最近何かにつけて聞いてくるので、いちいち
面倒になる。
若者。 何を定義としているのか。
「先生……。 熱心なのは分かります。しかし……」
自宅部屋のお決まりソファ。
先生は一冊の本を読んでいた。
本。
マンガである。
いわゆる最近のマンガ。
恋愛ものがお好きらしい……。
「こういうのが、 ドラマとか映画になる
時代なのよねぇ。 愛だの何だの、 簡単に
言ってしまう……。 もう少し何かないのかしらねぇ」
だったら読まなければ……。
何かにつけて、あーだこーだ言うくせに、
どんどんコミックは増えていく。
「先生は何故そんなに色々知りたいのでしょうか……?」
率直な疑問を投げかけた。
「カウンセラーと言うものはね、 人間対人間のやり取りなの。 相手を何処まで知る事ができるか……。 その為には、おかれた環境なり価値観なりを知らないと。 最近の相談者さんはお若い方ばかり。 どんな環境にあるか
知りたいのよ。 それに、 心理を探る上で
話題も大切なの」
先生らしからぬ、真面目な? 回答である。
身構えてくる方に、 共通話題でまず和んでもらうのか……。
コミック片手に先生はそんな事を考えている
のか。
若い男の人には熱心過ぎると思うのはさて
置いてだが。
先生はインターネットのサイトにも登録している。
若い方と色々やり取り……。
気持ちが若返る。
先生の感想。
研究熱心な先生。
集中し過ぎるのは、仕事柄。
でもほどほどに……。
あんまりしつこくても、相手はひいてしまう
からね。
先生のお気に入りの紅茶を、高いティーカップに注ぐ。
花柄のステキなカップ。
可愛い物が好きな先生。
お部屋も可愛いし、着ている物もステキ。
私は先生がコミック片手に紅茶を飲む姿を
見て、あんまり必死にならなくても、そのままの先生らしく、カウンセリングして下さいね。
何となくそう思った。
大切なのは、自分らしくカウンセリングすること。
カウンセラーとは難しい仕事である。
人の人生を左右するかも知れない。
だから、色々熱心になる。
中々難しい職業だなぁ。
適当アドバイスでも……。
私は今日も先生の助手として頑張るので
ある。