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センパイめんどくさいっス。

「お茶菓子うまいっス」


最近ほんとに寒くなってきたっスね。


冬はやっぱりおこたっスよ。


ぬくぬくっスね。


「おい…… 朱音」


「なんスか……?」


「顔がとろけてるぞ?」


「おこただから…… しかたないっスよ」


おこたは本当に神っスね。


作った人は天才っス。


暖かくて気持ち良くてふにゃふにゃするっス。


はぅ……


おこたでぬくりながら食べる黄身しぐれは本当においしいっス。


黄身しぐれは本当においしぃっス。


あまくて、上品な味で、さらさらで…… しあわせっスよ。


「お前は本当に卵製品すきだな」


「好きっス…… とろけるっス」


お茶もおいしくってぬくいっス。


やっぱり部室は良いっスね。


センパイ様々っスよ。


「そっか…… よかったな」


センパイがそう言って僕を見つめて微笑む。


センパイは最近、いつもこうして僕を見て微笑んでる。


いつもの……


いつものセンパイの優しい笑顔だ。


センパイは…… 最近本当に優しいっス。


なんというか、甘くて、ぬくぬくで、やわらかで……


なんだかこっちが申し訳なくなるくらいに優しくしてくれるっス。


なんでこんなに優しくしてくれるんでしょうか……?


まぁ… 


僕だって馬鹿じゃないっスから、本当は分かってるんすけどね……


これが…… 特別なあつかいだって事は分かってるっスよ。


だってセンパイ、普段はこんな顔しないし、他人にここまで優しくは無いっスもん。


だから……


これがいわゆる…… 彼女あつかいって奴なんだって事はわかるっス。


愛情を持って接してくれてるんだなぁって…… わかるっス。


でも……


なんだかそれが…… 胸の奥がむずかゆくって…


む……


恋人か……


僕は…… センパイの彼女なんスよね?


センパイの…… センパイの彼女になってから早一ヶ月。


毎日センパイと一緒にいた、この一ヶ月間。


センパイは毎日僕に、本当に優しくしてくれる。


僕を本当に「恋人」として扱ってくれてる。


でも…… 正直ちょっと困ってるっス。


いや…… 違うか……


困ってるってのとは…… ちょっと違うっスね。


困るんじゃなくて、えっと……


そう…… 困惑してるっス。


センパイが優しすぎて…… 戸惑うっス。


センパイが僕に優しすぎて…… センパイを見てると、なんだか…… 


なんでしょうね…… これ。


わかんないっスよ。


「どうした、朱音?」


「なんでもないっスよ……」


――――


「なぁ…… 朱音」


「なんスか、センパイ?」


コタツでぬくぬくしていると、不意にセンパイが僕に声をかける。


「こっち来いよ」


「え…… せんぱ……い?」


僕の背後にいたセンパイは僕をコタツから引っ張りだして僕を後ろから抱きしめる。


なんですか…… いきなりっスね。


「俺と暖まろうぜ?」


「まぁ…… いいっスけど……」


センパイはそう言って僕を抱っこして抱える。


いつもより強く抱きしめてくるので…… ちょっと苦しい。


まぁ…… 抱きしめるのは、別にいいんスけど……


いきなりは…… その… やめて欲しいっス。


びっくりするじゃないですか…… 


まぁ、暖かいし…… 


嫌じゃないですけど。


「朱音は…… いい匂いがするな」


「な…… かがないでください……」


何してんですか…… 変態ですかセンパイ。


頭を嗅がないでください… さすがの僕もちょっと恥ずいっスよ……


「もぅ……」


僕はちょっと恥ずかしくて、センパイの腕から逃げようとする……


「暴れるなよ…」


が、ぎゅうっと引き寄せられ、もっと強く抱きしめられてしまう。


ちょ…… 息がすこしくるしぃっス。


呼吸がしづらくて…… ドキドキするじゃないですか。


「逃がさないぜ?」


センパイが僕の耳元でそんな事を言う。


「ぅ……ぁ」


うな……… 


ちょ……… ちょっとゾクってしたっス。


なんですか…… いまの。


ちょっと…… 体が震えるっス。


「ど…… どうしたんスか……? センパイ」


「どうしたって?」


「なんか…… ちがうっス……」


「違うって?」


「いつもと…… いつもと雰囲気がちがうっスよ……」


いつもと同じように優しいんだけど…… 


ちょっとだけ…… 怖い。


「ん…… そろそろ、次の段階に行こうと思ってな」


そう言って、センパイはいつもの笑顔を僕に向ける。


いつもの…… 優しい優しい笑顔だ。


「次の…… 段階?」


「ああ次の段階だ…… 恋人のな」


「恋人の…… ですか?」


センパイが僕の顎の下をなでながらそう囁く。


あぅ…… み、耳のそばでしゃべらないでほしいっスよ。


顎の下もやめて欲しいっス…… こそばくて…… なんか……変な感じっス。


「だけどもし朱音が嫌だっていうんなら、次の段階には行かないでやるが…… どうする?」


そう言ってセンパイが僕に聞いてくる。


真剣な瞳で僕を見下ろして聞いてくる……


多分…… 


本当に強制はしてないんでしょうね……


でも……


「お前がきめていいぞ?」


僕がセンパイにそう言われたら…… 僕が断れない事など、いや……


僕が断らないことなど知っているくせに……


「…………いいですよ、センパイの好きにしてください」


本当にセンパイは…… めんどうくさい人ですね。


「いいのか?」


「ええ…… センパイがそうしたいのでしょう?」


「それはそうだが…… お前はどうなんだ?」


「僕っスか……?」


「ああ……」


センパイが僕をぎゅっと抱きしめて熱く見つめてくる。


その視線は本当に熱くて…… 有無を言わせない感じだ。


こんなの…… 「いやだ」と言える状況じゃないじゃないですか。


まったくもぅ……


「僕は…… もうセンパイの彼女ですよ? 聞く意味がありますか?」


センパイ面倒くさいっス。


「そうか…… なら、後で後悔するなよ?」


そう言って嬉しそうに微笑むセンパイ。


「センパイ……」


僕はセンパイに抱きしめられながら、センパイを見上げでセンパイの頬に触れる。


「僕は後悔なんてしないっスよ…… 僕は自分の意思でここに居るんですから」


「そうか……」


センパイは僕の手を取って、そして僕を優しく抱きしめる。


そして僕をぎゅうっと包み込むように抱きしめる。


センパイの顔は…… 嬉しそうっスね。


本当…… 面倒な人です。


「センパイ…… ぬくいっスね」


でもセンパイの面倒なところ……


僕は嫌いじゃないですよ?



朱音ちゃんに大分ニヤニヤしてる今日この頃です。


皆様いかがお過ごしでしょうか?


多分次の次あたりで第一エロを挟みます。


乞うご期待!!

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