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センパイありがとうっス。

「おはよっス、とうさん、かあさん」


僕はダルダルになってしまったパジャマをまくりながら台所へと向かい両親に朝の挨拶をした。


ふむ…… なんだか全身が10センチくらい縮んでる感じっスね。


てことは、僕は今150センチ位ってことっスか…… 


なんか体のサイズが違うから歩きづらいっスね…… 転びそうっス。


「…………朱音?」


「なんスか? かあさん」


かあさんが不思議そうな顔で僕の事を見ている。


どうしたっスか?


「あなた…… 女の子になったのよね?」


「そうっすね、見ての通りっス」


そうなんスよ。


マジびっくりっスね。


「なんであなた、そんなにいつも通りなの……?」


「なに言ってるんすか、見ての通りめちゃくちゃパニクってますよ」


いやぁ、マジで驚きっス。


これからどおすれば…… あ、今朝のご飯は卵焼きっすね、嬉しいっス。


「まったっくそうは見えないはね……」


「そうっスか? おかしいっスね?」


うん、卵焼きはやっぱり醤油っスね。


ご飯多めに盛るっス。


「本当に動じない子ね…? 貴方は」


「動じない? そんな事はないスよ」


本当に僕はこれからどうなってしまうんスかね?


学校とかどうすれば…… あ、今日は学食が親子丼の日じゃないスか。


大変っス、こまったっス、いったいどうすればいいんスか。


ふわとろ卵が僕を待ってるっス。


「しかし…… えらく可愛らしくなったものね、さすが私の子と言ったところかしら?」


「可愛い? だれがっスか?」


「あなた以外に、他に誰かいるの?」


「かあさんは結構可愛らしい顔してると思うっスよ?」


うん… かあさんはかなり童顔っス。


贔屓目無しに可愛いと思うっスよ?


「あら、ありがとう… でも可愛いってのはあなたの事をいったのよ?」


「へ? 僕がっスか?」


「ええ、私の若い頃のそっくりね、男の時はただ地味なだけだったけど…… 女の子になるとなんとなく清楚に見えるから不思議ね」


「へぇ… そんなもんなんスか?」


顔は変わらないのに不思議っスね…… まぁ、親の贔屓目ってのもあるんスかね?


「てか…… かあさんも普通っスね? 息子がいきなり娘になったってのに」


「ん? あぁ…… まぁ、知ってたからね」


「え? 知ってるんすか?」


「ええ… 知ってたわ」


おお…… マジですか?


原因も知ってるんスか?


「それって…… さっきからずっと僕に土下座してる、とおさんに関係あるんスか?」


「ええ、そうよ」


なんで土下座してんのかなぁ~って思ってたんすけど、やっぱりこれ絡みでしたか。


まぁ、僕に土下座してるって事はそうかなぁって思ってましたけどね。


「すまん!!! すまない朱音!!」


「理由を話してくださいっス」


僕は地面に頭を擦り付けるとおさんを横目で見ながら卵焼きを頬張るのだった。


うん、卵美味しいっス。


――――


「えっと…… つまりとおさんの会社が上條財閥に乗っ取られて、いう事を聞かなかったら潰すと脅されたと」


とおさんが地面に頭をこすりつけながら話した事柄をまとめると、大体そんなとこっスね。


「本当にすまん! すまん!! 50人の社員を路頭に迷わすことは…… 私には出来なかったのだ!」


「それで僕をセンパイに売った訳ですか、とおさんは……」


「ぐ………っ! 返す言葉もない!」


なるほどなぁ…… とおさんから僕を好きにする許可を買い取ったわけですかセンパイは……


てか、昨日のは夢じゃなかったんすね。


「かあさん」


「何かしら?」


「男を女にする薬とかって、存在するんスか?」


「ええ、昔から女子の生まれない家系が政略結婚の為にとか、要人が姿を隠す為とかの理由で使用されてた霊薬があるって、昔金持ちの友達に聞いたことがあるわ」


おぉ… そんなモノが本当に存在するんすね。


世界は広いっスね。


「とおさん……」


「あぁ……!! 本当にすまない!! いや… 誤ってすむなどとは思っていない!! 私は… 私は!!」


「許すっスよ」


「ああ!! 許して欲しいなど思って…… は!?」


まぁ…… しょうがないっスよね。


僕の性別か社員さん達の生活ですもの。


秤にかけたら、その選択は当然っス。


「許します、別に困る事も無いですしね」


「え… え…ぇ… ええ!? い、いいのか?」


「別に死ねとか言われる訳じゃないですしね」


「し、しかし」


まぁ、あれでセンパイは悪い奴じゃないスからね。


僕を悪い様にしたりはしないでしょう。


でも…… なんで僕を女にしたんですかね?


やっぱあの人は訳わかんないっス。


「しかし、朱音! 私は!!」


「うるさいっス、食事中は静かにするっス」


「う……ッ」


「とおさん、僕は本当に怒ってないし恨みもしませんよ」


「朱音……」


「僕はこうして毎日美味しいご飯と、あったかいお布団があれば幸せっすから」


「あかねぇ……」


さて…… 問題はここからっス。


「しかし、どうやって学校に行けばいいスかね? 今までの服じゃサイズが合いませんよ」


学食の親子丼は格別っスからね。


絶対に逃す訳にはいかないっす。


「ああ、それなら大丈夫よ」


「へ? 何がっスか?」


「あなた用の制服が今朝送られてきたから」


「へぇ…… そうなんスか」


用意いいっスね。


――――


「いってくるっス」


「いってらっしゃい」


「あ、朱音… 本当に大丈夫なのか?」


「大丈夫っス」


僕はそう言って玄関を閉めて外へ出る。


むぅ… 最近大分寒くなって来たっスね。


てかタイツ暖かいっス。


女子の制服とか初めて着ますが、まぁ悪くはないっスね。


カーディガンの袖が大分余ってますが、手が隠れて暖かいからこれはこれでありっスね。


ぬくいっス。


「おう、朱音… おはよう」


「おはようっス、センパイ」


わざわざ玄関で待ち伏せとか、なかなかに暇人っスね、この人は。


「…………ずいぶんと普通だなお前は」


「そっスか? これでも朝は結構テンパリましたよ」


「いつも通りだな、お前は…… 何か俺に言っておくこととか無いか?」


「センパイに言っておく事ですか?」


センパイが僕を見つめながら、割と真剣な顔で聞いてきます。


む… これは真面目に答えた方がいい系っスか?


「センパイ…… ありがとうございます」


「………………は?」


センパイが鳩豆顔をしてるっス。


なんだ… この人もこんな顔できるんスね。


「前、僕がセンパイに話した事覚えててくれたんスね…… 父の会社を救ってくれてありがとうございます」


「え………」


センパイ…… 「最近、どうやら父の会社の経営が上手くいって無いみたいなんスよ…… まぁ、僕には何も話してくれないんスけどね」って僕が呟いたの聞いてたんスよね?


まさか翌日に動くとは思ってませんでしたが…… てか、僕の為に動いてくれるなんて思ってませんでしたが……


なんですかセンパイ…… 意外と優しいじゃないですか。


本当に意外ですよ、センパイ。


「………………お前は本当に変わってるなぁ」


「そうですか? まぁ、それより僕をこんな姿にしてどうするつもりなんですか?」


それだけがわかんないっスね。


「うん…… まぁ単刀直入に言うと、お前を俺の彼女にしようと思う」


「…………予想の斜め上っすね」


まじっスか?


後輩を女にして彼女とかレベル高いっすね。


やっぱりこの人は変人っすね。


しかし……


「嫌か……? まぁ嫌だとは思うが…」


「まぁ別にいいスけど……」


「まぁそうだろうな、いきなりそんなこと言われたって…… って、いいのか!?」


「僕は断れる状況じゃないでしょう? それに実際父を救ってくれたことには感謝してますし、僕にできることは最低限には努力します、でも……」


「でも?」


「親のお金で彼女を作ろうってのはちょっとかっこ悪くないっすか? 少し軽蔑しますよ?」


センパイは…… なんだかんだでカッコイイ人だと思ってたんすけどね?


「軽蔑か…… 本当にお前は素直だな…… 面白い」


センパイが小さく微笑む。


罵られて微笑むとかマゾっスか?


「金は親の金じゃない、俺の金だ」


「え?」


「俺は5年前から、いくつか会社を立ち上げてる、もちろん出資金は親が出したが、今はもう返し終わって完全に俺の会社だ…… 今回は俺の個人資産を全て使って薬品を買って、その他根回しをした」


センパイは少しだけ罰が悪そうにして語る。


「おかげで俺の個人資産はすっからかんだけどな…… まぁ、金で彼女をどうこうしようなんて軽蔑するかとは思うが……」


「軽蔑なんてしませんよ」


「え……?」


自分の力で、自分の金を全てなげうって女を手に入れるとか…… なかなか格好良いじゃないですか。


「尊敬します…… 父の会社、本当にありがとうございました」


「………………………………まいったな、完全に付け込もうしただけなのにな、こうも信用されると」


「ん……? なんか言いました?」


「なんでもない」


センパイが小さい声でなんか言ってましたが…… なんて言ってたんスかね?


「まぁ、そんな訳でこれからは俺の彼女として頑張れ」


「まぁ、助けてもらった恩は返しますよ…… 努力はします」


ふむ…… まぁ、気長に頑張りましょう。


男だったときとあんまり変わらない気がするんでまぁ、大丈夫じゃないっスかね?


てか、彼女とかって何するんすかね?


まぁ…… 時期にわかるでしょう。


「じゃあ、改めてよろしく頼む」


「はい、よろしくっス、センパイ」


僕とセンパイは握手をする。


センパイの手…… あったかいっスね。


ぬくいっス。


「あぁ、そうだ朱音」


「なんスか?」


「最初に言い忘れてたけどさ…… 制服すげぇ似合ってるな、かわいいぜ」


「はぁ…… ありがとうございます」


「反応うすっ!」


「なにぶん、初心者なもので」


「他の女だったら、泣いて喜ぶぞ?」


「そんなん知らないっスよ」


「そうか? まぁそうだな」


そう言ってセンパイは微笑み、僕と通学路を行く。


いつもと変わらない通学風景。


少しだけ違うのは、今日の待ち合わせは家の前だったこと。


そして僕が女の子になっていると言うこと。


あとはいつもと変わらないっス。







































かわいい………… か。














あれ?












なんかちょっと…… ちょっとだけうれしいっスね………?


なんスかね………これ?

説明回終わり!! 


あとはひたすらに萌え作業に移るぜ俺は!!


次回をまて!!



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