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えくすとら えぴそーど

1000ポイント達成感謝!


ありがとうございます!!


なんと言うか…… 本当にこの作品を(というか朱音を)皆がめでてくれてるのが本当に嬉しいです!!

いつも通り、第二茶道部部室でのことである。


「朱音」


俺は、俺の脚の間に座って背中を俺の胸元に預ける朱音に声をかける。


「なんスか……?」


朱音は天を仰ぐようにして顔を上げ、真上にある俺の顔を見やる。


ぽけぇ、としながらちょっと眠たげに俺を見上げる朱音。


そんな朱音を見て俺は……


「んぅ…っ!?」


俺はとりあえず朱音の唇を奪っておく。


一瞬だけ触れて、顔を離すと、そこには顔を真赤にし、ジト目で抗議するように俺を見上げる朱音の姿があった。


「なんなんスか……」


すこしてれを誤魔化すようにして睨む朱音。


「冷蔵庫に飲み物あるからさ、それちょっと取ってきてくれよ」


俺はそんな朱音を見下ろして微笑む。


朱音は少し面倒くさそうに「むぅ」と小さく声をもらしたあと、ゆっくりと立ち上がっててふてふと冷蔵庫へ向かう。


不満そうにしてても、基本従順な朱音である。


「え…? これ………」


茶室の隣にある小さな台所。


そこにある冷蔵庫から飲み物を取り出したであろう朱音は、小さく驚きの声をあげる。


「センパイ……」


いくつかのアルミ缶を抱え、またてふてふと歩いて俺の所へと戻る朱音。


「なんだ?」


計五本あるそのアルミ缶を、朱音はたたみの上に並べ、その前にぺたんと女の子座りをする。


うむ…… 朱音も女の子座りが様になってきたな。


「センパイ…… これお酒っすよね?」


「そうだが?」


ちょっと困った様にして俺を見るあかね。


俺はそれに「なにか問題でも?」と言う顔で見返す。


「これ…… どうするんですか?」


「どうって…… 飲むんだよ、俺とお前で」


「僕も……?」


「そうだ」


朱音は伺うようにして俺を見る。


口をきゅっと結びながら、おずおずと俺の目を見つめる。


今の朱音の表情は、察するに不安が半分、興味が半分と言ったところだろうか?


恐らく、「悪いことだって分かってるけど興味がある」って所だろう。


朱音は普段が無表情だけに、こういった些細な感情の変化がすぐに顔に出る。


意外と分かり易い。


「ちょっと興味はありますけど…… でも、法律でダメなんですよね?」


朱音が誰に聞かれるわけでもないのに、小さな声でヒソヒソと俺に聞いてくる。


てか、完全に読み通りのこと考えてるな。


「まぁ、確かにお酒タバコは20になってからだな…… だけどばれなければ大丈夫だろ」


「ばれなければ……?」


朱音が、俺の事を見つめて復唱する。


顔が少し赤くなっているところを見ると、どうやら悪い事をすると言う意識が、彼女をちょっとドキドキさせているようだ。


たかが缶チューハイ飲むか飲まないかの話なのにな。


「ここは俺のプライベートルーム見たいなもんだ、だからここで飲む以上は絶対にばれない…… だから大丈夫だぞ、心配するな」


「そ、そうですか…… えっと… でも、あるこーる中毒とかって大丈夫なんスかね?」


朱音はちょっとだけ不安そうな顔で俺に聞いてくる。


「ほら、そこのカシオレ見てみろよ」


「え…? こ、これっスか?」


「そうそれ…… アルコール度数何パーって書いてある?」


「4%っス」


朱音はカシオレの缶を両手でもって、読み上げるようにしてそう言う。


「4%って高いと思うか?」


「え…? わ、分からないっスけど…… 低そうっスね」


「そうだよ、4%なんて水と同じさ、ほとんどアルコールなんて入ってないよ」


「そうなんですか……?」


朱音はカシオレの缶を胸元に持って、俺の顔を見る。


声のトーンが少し上がっているので、やはり興味津々のようである。


「だから、一本くらいなら飲んでも全然酔わないよ、大丈夫」


「そ、それなら…… い、一本だけ」


朱音は小さく頷いてそう言う。


まぁ…… 本当はそんなんでも酔う人は酔うけどな。


それは黙っておこう。


「よし、じゃあ早速乾杯しよう」


「は、はいっス……」


俺と朱音は、プシュっと音を鳴らして缶のプルタブを開ける。


朱音はどこか緊張した様子で、カシオレを凝視していた。


「じゃあ乾杯」


「は、はいっス……!」


すこし緊張しながらも乾杯をして、おそるおそる口元へカシオレを運ぶ朱音。


くぴ、と小さく口に含んだあと、すこしもにゅもにゅとしてこくりと飲み込む。


「はふ……」


少しだけ、熱っぽい息を吐き出す朱音。


「どうだ?」


「甘くて、美味しいっス…… 以外っス」


朱音は少しだけ、顔を赤くしてそう答える。


見れば、少しだけ瞳もとろんとしていた。


む…… もう酒が回り始めているのだろうか?


いや、いくらなんでもそんなに早くは酔わないはずだ。


多分気持ちの問題だろう。


朱音、暗示とかにかかりやすそうだしな。


「そっか、良かったな…… じゃあ全部飲んじまえよ」


「はい…… いただきます」


俺は更に朱音に酒をすすめる。


朱音はそれに従い、素直にまた飲み始める。


くぴくぴと、小さく音を立て、さっきよりもしっかりカシオレを喉へと流し込んだ。


「うぁ」


じわじわと顔を赤くしながら少し色っぽい声をあげる朱音。


「お腹…… カッってなってるっス…… あついっス」


朱音は自分のお腹に手を当てて軽くさすりながら、瞳を潤ませて俺を見てくる。


ちょっと泣きそうになってるのはなぜだろうか?


「おいしいか?」


「はい…… あとなんか、ちょっと気持ちいいです」


目をつむって、斜め上を向きながら「むー」と小さく唸る朱音。


あ…… コイツ酔ってきてるな。


「朱音、乾杯」


「ぅえ……? あ、はい、乾杯っス」


俺はそんな朱音に再度乾杯を強要し、そしてその後、手に持っていた自分のチューハイを一気に飲み下す。


「ご馳走様」


そして、カランと缶を自分の前に置いた。


「…………」


その様子を見ていた朱音は、一度自分のカシオレを見つめたあと、伺うようにして俺の目を見やる。


その視線の意味するところは「そう言う風に飲んだ方がいいの?」と言うところであろう。


俺はどうぞ、と朱音を促す。


「いただきます……」


朱音は小さくそう言うと、意を決したように小さく頷く。


くぴくぴくぴくぴ…… と、今度は一気にカシオレを飲み下す。


「っ…………………けふ」


朱音は可愛いらしい吐息を吐き出し、缶から口を離した。


そのままゆっくりと缶を持った自分の手を膝元に下ろし、そして俺の方を向く。


「ぅぁ……」


そしてみるみると顔を真赤にして、そして瞳を完全にとろんとさせた。


うん…… 完全に出来上がっているようだ。


カシオレ一本で。


「ふにゃ…… なんかしあわせなきぶんっスね」


ちょっと間をおいて、ふにゃりと顔をほころばせ、ふわふわとしゃべり始める朱音。


完全に酔いがまわっているようだ。


さっそく今までに見たことない朱音である。


「せんぱぁい……」


朱音は ニコニコとしながら、四足歩行で俺へと近づいてくる。


「うにゃぁ……」


そして俺の胸元へ、すりすりと頬を摺り寄せる。


まるで猫のように甘えてくる。


「わん……!」


…………どうやら犬だったようだ。


「どうした? 急に甘えてきて……」


俺は犬を撫でるように朱音の頭をなでて、顎の下の柔らかい所をくすぐってやる。


「やん…… こそばいっス、なでないで」


ふにゃふにゃと笑いながら、身をよじって嫌がる朱音。


「いやか?」


俺は朱音の言葉通りになでる手を止める。


「やぁ…… もっとなでてっスよぉ……」


なでるのをやめた手に、すりすりと頭をこすりつけナデナデを催促する朱音。


いったいどっちなんだ。


俺は再び朱音にわんこ撫でをしてやる。


「にゃぁ…… とろけちゃうっすよぅ」


猫のようににゃあにゃあと鳴きながら、俺の腰元にひしとしがみつく朱音。


俺の腹筋に頬をすりすりと頬ずりをして抱きついてくる。


てか…… やっぱり猫っぽいな。


「ずいぶんと甘えん坊だな?」


俺はそう言って朱音の後頭部からうなじにかけてを優しくなでてやる。


「はぅぅ………」


すると朱音は蕩けたような声をあげて、体をぞくぞくとすこし震えさせた。


「はむ……」


そして、俺の腹に顔を埋めてくんくんと俺のにおいをかぐ。


「わぅん……」


俺のにおいをおもいきり吸い込んで、満足げに吐息を漏らす朱音。


やっぱり犬かもしれないな。


「しゃあわせっスよぅ……」


心行くまで俺のにおいを堪能した堪能した朱音は、俺の膝の上でそのまま寝返りをうち、仰向けに寝ころがる。


その顔は幸せそうに蕩けていた。


「センパイの手…… 大好きっス…… ちょうだいっス」


朱音は俺の手を取って引き、そしてそのまま自分の頬を包ませる。


「やん…… ぬくいっす」


にこにこふわふわと微笑む朱音。


「よかったな」


「うん……!」


俺が朱音を見下ろしたままに微笑んでやると、朱音は子供のようににへらと微笑んだ。


とても楽しそうで幸せそうだ。


まさか朱音にこんな一面があったとはな……


今回は酒を飲ませて正解だったようだ。


こんな朱音もかわいい。


非常にいいものが見れたな。


「せんぱいっ……!」


意味もなくけららと笑い俺を見上る朱音。


俺に向かって手をぷらぷらと突き出し、足をぱたぱたとさせる。


うん…… 朱音は笑い上戸なんだな。


「せんぱい……」


「なんだ?」


朱音はぽわぽわとしながら俺を見つめる。


「センパイは僕だけを見なくちゃだめなんですよ?」


朱音は笑顔のままに……


突然そんな事を言い出した。


「…………どうした?」


俺は朱音の顎の下をなでながら問いかける。


朱音は「んん……」とすこしうっとりとした息を漏らし、ゆっくりと言葉を続けた。


「今日、三人くらいの美人さんに囲まれてた……」


小さい声でポツリと漏らす朱音。


その顔は笑ってはいるものの先ほどまでと討って変わって、どこか寂しげだ。


三人、囲まれてる、美人……


俺はその言葉で、今日の午後に三人の女生徒に話しかけられた事を思い出した。


確か体育の時間の後で「さっきのバスケの試合かっこ良かったです!」と話しかけてきた女子がいたのだ。


まあ、確かにそこそこ美人ではあったな。


「やだっス…… センパイとられちゃう」


朱音の表情が曇る。


「とっちゃやだょ……」


目端に涙がじわぁと溜まってゆく。


「やぁ…… 僕のセンパイなの……」


朱音は自分の顔を手のひらで覆った。


「ぼくの…… なのぉ…」


そして、小さくスンスンと泣きはじめてしまう。


「とらないでぇ……っスよぅ」


「朱音……」


どうやら…… 朱音は泣き上戸でもあるようだ。


てか、さっきまであんなに笑ってたのに…… 情緒不安定だなこいつは……


「ぐす…… ぅぇ…… せんぱいぃ……」


段々とマジ泣きになってきてる朱音。


顔を真赤にしながら、涙でまみれた顔をぐしゅぐしゅとこする。


「ほら…… 目元こすったら腫れるぞ」


俺は朱音の手を掴んで、それを止めさせる。


「せんぱい……」


朱音は俺の脚の間に寝そべり、真上にある俺の顔をすがるように見つめる。


真赤なほっぺをぷるぷるとさせ、下唇を薄く噛み、涙をぽろぽろと溢れさせながら俺を見つめている。


無防備で無垢な…… 純粋で純情な泣き顔を俺に晒す。


「馬鹿だなお前は……」


「うぇ……?」


俺は、朱音を抱き起こし、そして朱音を抱える。


対面する形にして朱音を膝の上に抱っこする。


俺は朱音の唇に唇を重ねた。


「ん……!?」


目を見開いて驚く朱音。


俺はそのまま、優しく奪うようにして、朱音の唇をつい食む。


「んぅ……………………ち…ゅ………」


朱音はゆっくりと目を閉じ、俺の首に手を回し、俺を抱きしめた。


「朱音…」


俺も優しく朱音をだきしめる。


本当に馬鹿だな朱音は……


俺がお前から離れるわけが無いだろう。


お前は…… 可愛すぎる。


「は……ぅ…」


やがて離れる朱音の唇。


ゆっくりと余韻を味わうように開かれた瞳には…… とろりと蕩けた彼女の甘い視線があったのだった。


「せん…… ぱい…」


ぽす…… と小さく音を立てて、俺の胸元に体を落とす朱音。


「す…き…………っす……………………」


そして彼女は……


「すぅ…… すぅ……………… むぅ……」


そのまま寝てしまうのであった。


「……………………お休み」


本当に今日はいいものが見れたな。


うん…… また飲ませよう。


俺は眠る朱音をきゅっと抱きしめ、そんな事を思うのだった。

さて、本編は後日!!


もうしばしお待ちを!!

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