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Let’s dancing

 諏訪と追いかけっこをしているうちにやってきたのは学校のメインストリートとも言える生徒のふれあい道路。なぜ生徒のふれあい道路などと呼ばれているのかというと、これまた単純な理由で、学校に通う生徒が朝、正門を通るときに友人やクラスメイトと出会うからふれあいらしい。この道路に名前をつけた先生には申し訳ないが、うちの高校はどちらかというと、正門よりも西門を使用する生徒が圧倒的に多い。さらに追い討ちをかけるなら大抵の生徒は電車やバスの駅から既に一緒なため、学校に来てから出会うなんてことはない。教室でクラスメイトと挨拶を交わすことはあってもこのストリートで挨拶を交わしている生徒は極々稀だ。

 気分を壊したと思われるかもしれないが事実なのだからしょうがない。若いうちというのは事実は事実としてはっきりさせておかなければ気がすまない性分なのだ。(かなり偏りのある意見です。中にはふれあいを大事に思う人だっているはずです!)

 とにかく俺を保健室に連れて行こうとする諏訪の魔の手から逃れるべく、俺はいつの間にか正門のほうへと走っていたらしい。

 話を元に戻そう。このふれあい道路の横にはおそらく一番学校がここに金をかけているであろう噴水広場がある。珍しい草木も多く、この学校の中では一番癒される場所だと俺は思う。特に女子なんかはここで弁当を食べる生徒が多い。

「ふれあい広場ですね、ここ」

 後ろから俺を追って走ってきた諏訪が息を整えながら言う。頼むから中華鍋を背負ったまま走ってこないでほしい。怖いなんてものじゃないから。

 走ってきた疲れもあったし、俺は広場に儲けられているベンチにどっかりと座り込んだ。

 秋になるとここは虫たちのオーケストラの会場になって、毎年秋の集いなんてものもやっているのだそうだ。確かに、虫の音を聞きながら秋の夜長に浸るのも、日ごろの疲れを癒す絶好の機会だろう。ただ、今はまだ初夏。虫たちのステージまでにはまだ三ヶ月以上も早――

 こういう形で台詞を削られるとは思っていなかったな。おっと、何が起こったのかを説明しなきゃな。直感の鋭い人ならわかると思うが、ステージが始まったのだ。無論、虫たちのステージではない。

 俺たちは徐々にライトアップされていくふれあい広場の中央に注目した。

 特設ステージの上では、またしても俺たちの刺客らしき人の姿が。ていうか、勝手にステージ使っていいのかよ。まぁ、今更そこに突っ込むのはおかしいとわかってはいるが。

 俺たちはステージの上に立っている男女を見上げた。女の顔ぶれのほうはよくわからないが、男は明らかに俺のクラスメイトたちの顔だった。あの五人、うちの男のクラスメイトたちの中では見事彼らでベストファイブを飾れるほどの美男だ。美男と言ってもそこらのアイドルみたいなチャラチャラ系という感じではあまりない。田舎の美男子程度のレベルだ。美男五人組が集まって何をやらかそうっていうんだ?それに、後ろに控えているあの大量の女どもはいったい。

「ヘイ、時代にのりきれていない老若男女のミんナ!」

「ここはぼくたち須磨高スマップがつくった特別ステージ!」

「普段はねくらのそこの貴方!」

「こんやだけは別だぜ!俺たちとはでに踊りあおうゼィ!」

 イェーイ、と後ろの女どもがやたらとハイテンションに声をあげる。

「さ、サトーちゃん…」

 そのうち一人は諏訪の知り合いらしい。諏訪は何とも微妙な顔つきでステージの上で派手な衣装を着ている少女を訝しげに見上げている。

「いくぜ、ミュージックスタート!」

 五人目が腕を大きく天に突き放ち、今が夜中とは思えないほど陽気な音楽がふれあい広場中に流れる。


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