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27話  ゴザンとの決着


「そんなに焦るなよ。ようやく力が馴染んできたんだからよぉ?」


 まだいける。イメージしろ。

 エルは言った。


 黄金郷の全てが俺の味方だと。


 ゴザンとの戦いを経てようやくわかってきた。


「黄金操作、黄金操作、黄金操作」


「チィ!これは!」


 地面、壁、家、それらを金剣に変化させる。

 剣というよりは短剣だが威力は据え置きだ。

 とにかく数を用意する。


「衝風!!!」


「え、そんな技もあったのかよ」


 急な突風で操作が……。

 荒削りだからまだまだ操作ができない。


「おいアカリ何をもたついている。さっさとあれをやれ」


 背後で観戦しているエルが急かしてくる。


「了解。やってみるか」


「させると思いますか?」


 くっ。あの量の短剣を捌きながらここまでくるか!

 力はあちらの方が上だ。そう長くは持たない。


「くそ、離れろ!」


「竜啄!」


 あぶっ、あぶね!

 嫌な予感がした。

 咄嗟に身をかわして避ける。目の前を剣が突いていた。


「おらぁぁ!!!!」


 手でゴザンの黄金剣を掴む。

 これって現実世界のと同じなんだろ?


「ならできるよなぁ!」


 それを口に入れる。

 シュワシュワと音を立てて溶けていく。


「なんと…………」

 

「やっぱりだ! せえのっ!!」


 呆然としているゴザンの腹を思いっきり蹴り飛ばす。

 肉体が黄金となっているおかげかある程度距離を取ることが出来た。


「ゴフッ、やりますね……」


「今のうちに!」


 集中。切り札を切る。


「我は理想郷、黄金郷の主」


「この世全ての可能性は此処から始まった」


 言葉が出てくる。

 その場で留まり口が勝手に詠唱をし始める。


「我の理想はすでに潰えた」


「それでも黄金郷は健在なり」


「……待ちましょう。ハァァ!!!」


 素手のゴザンは力を込めその手に剣を生成しようとしている。


「継承は終わり新たな理想は此処に顕現する」


「理想顕現『黄金郷(エルドラド)』」


「フゥー、……黄金剣再生」


 俺の詠唱が終わるのと同時にゴザンも剣を作り終えたようだ。

 高揚感で全身が震える。

 なんだこれ。黄金眼を使う以上の全能感もある。


「は、はは! 最高だ!」


「では行きますよ! 竜啄!」


 ……? 来るはずの痛みがやってこない。体を見ればゴザンの剣の切っ先が胸を突いている。それ以上刺さらない。

 単純に俺の体が硬すぎるからだ。


「これほどとは……馴染むのが早すぎる……」


「離れろ!」


 軽く手を振るうと思ったよりも力が入ったのかゴザンは遠くへ吹っ飛んだ。

 俺、アシュラ以上の怪力になったっぽい。


「当たり前だ、アカリ。位階による身体能力の上昇に加え、ここ黄金郷の主としての相応しい身体能力。合わされば手加減しているゴザン程度、簡単に倒せる」


「お、おう。そんな自覚は無いんだけど……」


 頭の中に出来ることの選択肢が増え続けている。

 やべぇ。そこらの奇物よりも強力な能力だ。


「試しに『黄金剣』」


 地面からニョキっと剣が生える。手に取るとゴザンが持っているのと寸分違わず同じもの。


「ほい、ほい、ほいっと」


 イメージした武器が全部生えてくる。槍に斧に大剣、しまいにはメリスの持つ蛇腹剣まで。全て黄金色のかっこいい武器達。


「ゴザンいくぞー!」


「くぅ! これは……!」


 一つずつ全力で投げつける! ゴザンはギリギリ対応できているようで飛んできた武器をなんとか弾いて防御している。


「立ち止まったら終わりだろ。棘っ!」


「しまっ!」

 

 足で地面を踏む。イメージが伝わったのか一直線に棘が生え続ける。ゴザンは防御に気を取られ足元から刺し貫かれてしまった。


「よっしゃあ! やりー!」


「まあ……こんなものでしょう」


「そこまで。ようやく勝てたか」


 お、あれ? 体が急に重く……眠い……?


「初めて使ったからな。すぐ現実に戻るだろう」


「はっ、まあいいや」


 勝てた喜びでもう満足。


「では黒瀬灯様。また明日」


「ああ、また明日……うん?」


 聞いた声が聞こえる。ついさっき倒した声だ。


「ここは夢ですので生き返るのも自明でしょう」

 

 ふぁっ!? おま、ふざけ……!


 ◇


「ふざけるな! あ、現実だ」

 

 ちゅんちゅんと雀の鳴く声が聞こえてくる朝。

 夢での出来事は全部覚えていた。なんか若いゴザンと何回も戦っては殺され、ボコボコになれた。

 エルからアドバイスを貰い、奥義を使ってようやく一勝した。


 あの感覚はまだ覚えている。


「これなら俺も最強に……!」


〈いや無理だぞ?〉


 ……へ? なんでそんなこと言うの?


「エルが言ってただろ? 吾輩の力は最強だって」


 夢の世界で使えたアレ。まだ未完成でも理想顕現を使えば国級探索者に肩を並べるはず。

 むしろ俺の方が確実に強い。


〈あくまで夢だ。現実で使えるわけないだろう。せいぜい黄金を少し纏わせる程度だ〉


「……じゃあ理想顕現は?」


〈使ったら即エネルギー切れで体が朽ち枯れるぞ〉


 まじかー。使えないのかよ。


「使えるようになるにはどうすればいいんだよ!」


〈本来なら最終段階の奥義のようなもの。アカリの位階はIIIだし少し使える程度でも位階Vは欲しい〉


 つまりあの力はお試し、体験版ってことか?

 ……逆に夢の中はそんなレベルで戦闘してたのか。

 ん? でもなんか体の調子がいいような?


〈それが訓練の成果だ。夢とはいえほぼ全盛期のゴザン相手に死闘をした。なら体が最適化されていくのも不思議ではないだろう?〉


 はへー、そんなもんなのか。


〈これから毎日特訓だから頑張れ。あと理想顕現なしで〉


 ……まじ? 地獄すぎない?


〈嫌ならしっかりみて覚えて強くなるんだな〉


 そ、そんなぁぁぁ…………


 

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