25話 夢の中で修行
次の日。朝から腹がいっぱいで何も食えない。
「水、水を飲まないと……」
〈調子に乗って食うからだ。反省しろ〉
マクロの後に焼き鳥、モツ煮込み、もう一回ラーメンを食べてデザートにチーズケーキをワンホール。
うん。誰がどうみても食い過ぎだ。
「でも専門のシェフが作るだけあってうまかったんだよな」
料理長の弟子達が作ったらしくサービスしてくれた。断れないし味も良かった。
他の探索者はもっと食べている人もいたから対抗心も出たのが悪かった。勝てなかったけど。
〈アカリ、大穴に潜る予定はあるか?〉
「いや今のところはないな。海都祭も近いしパーティもやることがあるから祭りが終わるまでは暇だな」
潜れないと金も無くなるが貯金しているので大丈夫。いざとなれば一層で適当に採取すれば遊ぶ金くらいは稼げるし。
〈なればよし。此方に来てもらおう〉
「は?どちらに行くと?」
〈我の方にだ。『眠れ』〉
「おま、急すぎ……る………Zzz」
◇
つんつん。
「ぐがーー、んーー」
つんつん。
「くは、やめ」
「起きなさい黒瀬灯様」
「ぶべらっ!?」
げしっ、ころころ、ズドンッ!!!
「おえ、なんだ?」
「ふむ、無意識でも不壊が発動出来ますか。良いですね」
目の前にはダンディな燕尾服を着たオッサンが姿勢よく立っていた。腰には金色の剣を帯剣していて靴は黒に金色の装飾が入っている高級そうな靴だ。
「あんたは誰だ?ここはどこだ?」
「ふむ?一度戦ったはずですが覚えていませんが?」
あ?見た目からして只者ではないオッサンと戦っただと?アトランティスに来る前も来てからも覚えがないが。
「ではもう一度自己紹介を。私はゴザン。金の剣にしてこの国の筆頭執事です」
「ゴザンだと?アンタが?見た目変わりすぎだろ」
何が起きている?いや、エルの竜令で眠らされたのか!ならここは夢の中。なんでここに呼ばれた?
「我が王の元まで案内しましょう。質問はそこで聞きなさい」
着いてこいと言わんばかりにとっととゴザンは歩きだした。いやちょっ、足速ッ!
大森林の時よりも絶対今の方が強いだろアンタ!
◇
「よくぞ来たなアカリよ。まあ我が呼んだんだが」
「それだよそれ。なんで呼んだんだ」
「ふむ。良い機会だから修行だ。ここでもう一度ゴザンに勝って見せよ」
一度勝った相手に勝つならいいんだけど、今勝てるかは微妙だな。
「ここでは死んでも死なん。夢の中だからな。存分に闘え」
「それなら気にせずに戦えるな」
「ええ、私も全力でお相手しましょう。全盛期とまではいきませんがまあそれなりには強いです」
まずやらないと何もわからんしやるか。
「我が合図を出そう。試合開始!」
「先手必勝!うらああ!!!」
いつのまにか手にしていたナタとナイフ。前と同じようにナタを投げ突進する。
「同じ戦法ですか。金剣技、剣域」
ゴザンはゆっくりとした動きでナタを弾き黄金剣を構える。突進してきた俺は腹目掛けて攻撃するも来るのがわかっていたのか簡単に避ける。
「このっ!あれ?」
ナイフがない。どこにいったんだ!?
「こちらをお探しで?」
いつのまにかゴザンの手の中にナイフがあった。俺を避けた時に取ったのか?そんな芸当もできるのか。
「返しますよ。はいっ」
「不壊ッ!……いてぇ」
投げるダガーは俺の腹に当たる。ちょうど俺が狙っていた位置と同じ箇所だ。
というかやっぱり力が強すぎる。大森林の時の数十倍は上昇している。
これでそれなり!? 国級探索者よりも上っぽいし勝てるか?
「それより動かなくていいんですか?」
「どういうことだ?」
「上をご覧ください」
上? あ、ナタが落ちてきている。弾かれた後に飛んだのか。
……いや、これ俺に当たるわ。
「緊急ローリング!!!!」
「はい、おわりです」
避けるために飛び出したがそこにはもうゴザンがいた。くそ、やられた。剣で首を断たれてそのまま終わった。
「で、ゴザン。どうだアカリは?」
「まあ予想通りですね。鍛えがいがあります」




