7話
週末、社会復帰支援センターの一行は近隣の公園で開かれる地域交流会に参加することになった。看板作りで協力を経験した彼らにとって、初めての「外の場」での活動だった。
真琴は出発前に言った。
「今日は地域の人々と一緒に過ごします。皆さんの課題は、“人に声をかける”ことです。挨拶でも、簡単な会話でも構いません」
戦闘員たちは緊張した面持ちで頷いた。ヒーローたちは少し誇らしげに胸を張ったが、心の奥では同じように不安を抱えていた。
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会場に着くと、子どもたちが駆け寄ってきた。
「看板だ!昨日作ってたやつだよね!」
赤と青の文字が鮮やかに並ぶ看板は、地域の人々の目を引いていた。
戦闘員の一人は思わず笑みを浮かべた。
「俺たちが作ったんだ」
その言葉に子どもが「すごい!」と返す。戦闘員は驚いた。かつて恐れられる存在だった自分に、子どもが笑顔を向けている。
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元ヒーローは司会の手伝いを任された。マイクを握り、ぎこちない声で「皆さん、ようこそ!」と呼びかける。最初は硬かったが、子どもたちの拍手に背中を押され、次第に声が柔らかくなっていった。
「今日は一緒に楽しみましょう!」
その声に、戦闘員も思わず頷いた。かつて敵だった者が、今は仲間として人々を迎えている。その姿は、彼らにとって新しい希望だった。
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一方、元怪人は農園で育てた野菜を持参していた。直売所のテントで「どうぞ」と差し出すと、地域の主婦が笑顔で受け取った。
「立派な野菜ですね。どこで育てたんですか?」
「近くの畑で……昔は壊すことしかできなかったけど、今は育てています」
その言葉に主婦は「素敵ですね」と返した。怪人は目を伏せ、だが心の奥で温かさを感じていた。
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交流会の終盤、真琴は全員を集めた。
「今日の課題、“人に声をかける”は達成できましたね。皆さんの声は、地域の人々に届いていました」
戦闘員はノートに「子どもに笑顔を返された」と記し、ヒーローは「声が柔らかくなった」と書いた。怪人は「育てた野菜を受け入れてもらえた」と記した。
社会復帰支援センターの一日は、外部社会との接触によって新しい可能性を広げた。過去を背負った者たちが未来を探すためには、地域との出会いが欠かせないのだった。




