私の妻が可愛すぎてツライ!!
「あの…」
(私の妻は、何故こんなに愛らしいんだ…)
(彼女と結婚して良かった…!!)
「あの、旦那様?」
「何かな?ユティ」
「先程から、呼んでましたよ?旦那様…」
「す、すまない。考え事をしていてな…」
「そうでしたか…」
「街に出掛けたいのですが…よろしいでしょうか…」
「街に?何か用事でもあるのかい?」
「ええ…買いたい物がございまして。」
(旦那様の…カイン様の誕生日プレゼントを買いに行くなんて本人にバレてしまうから口が裂けても言えませんし…カイン様には申し訳ないですが…)
「ユティ、それは護衛も付けずに1人で行きたいのかい?」
「そうですね…1人では危険かもしれないので1人は連れて行こうとしてましたが…」
「そうか…構わないよ」
「ありがとうございます!カイン様!」
ぱああとユティの表情が明るくなった。
それを見たカインは悶絶した。
(可愛い…さすが私の妻だ…)
「それでは、行って参ります。」
「ああ。気をつけて」
(護衛がたった1人というのが凄く不安だが、うちの護衛はとても優秀だ。仕方ない任せるとしよう。)
街に到着した、ユティ。
これから、カインの誕生日プレゼントを選ぶところである。
「カイン様…何を渡せば喜んでくれるのでしょうか…」
そう呟くと近くにいる護衛のセオが口を開いた。
「奥様から渡される物でしたら、旦那様は何でも喜ばれると思いますよ。」
「そうかしら…」
「ええ。きっと」
そう会話をしながら、歩いているとある店に辿り着いた。
「まあ、綺麗なブローチ!」
(これなら、カイン様も喜ぶはず!)そう思ったユティはそのブローチを手に取った。
「こちらを頂きたいのですが…お幾らでしょうか…」
そう、ユティが店主に尋ねるとこう答える。
「お嬢さん、お目が高い!お嬢さん、美人さんだからタダであげちゃうよ!」
店主はそう答えた。
「タダだなんて、そんな…いいのでしょうか…」
そう独り言を呟くとセナはこう囁いた。
「奥様、ここはお言葉に甘えるものですよ。」
「そうね」
「では、お言葉に甘えてこちらのブローチを1つ頂きますね。」
「はい、毎度!」
そう店主に言われ、ペコリと会釈だけして街を出た。
「旦那様、喜んでくださるといいですね。」
「ええ」
帰りの馬車の中、セナと会話をしている内に屋敷に到着した。
「戻りました」
そう、ユティが言うと遠くからカインの声がした。
「ユティ、おかえり!」
「はい、ただいま戻りました。」
「それで、何を買いに行っていたんだい?」
「…まだ、内緒です。本日の夕食の時に分かるかと思います。」
カインは、「?」という表情していたがユティはニコニコしていた。
(何だか良く分からないが、ユティが楽しそうだからいいか!)
そして、夕食の時間を迎えた。
(カイン様…喜んでくれるといいな)
「旦那様、お食事の用意が出来ました。奥様がとても張り切ってらっしゃいましたよ。」
カインはメイドのその言葉を聞いて疑問に思いながら、食事処に着くとそこはとても華やかな場になっていた。
「カイン様、お誕生日おめでとうございます!」
「これは…」
カインはとても驚いていた。
何故なら、ユティが来るまでは誕生日というものをお祝いされたことがなかったからである。
「カイン様、お食事の前にお渡ししたい物があります。こちらを、どうぞ。」
そう言われて、手渡されたのはブローチだった。
それも、カインの目と同じ青色の宝石が埋められたブローチだ。
「これを…買いに行っていたのかい?」
「ええ。」
「あの…もし、気に入らないのであれば捨てて頂いても構いませんので…」
「気に入らなくなんかない。凄く嬉しいよ。こんなプレゼントは生まれて初めてだからね。」
「喜んで頂けたみたいで良かったです」
ユティはホッとした表情を浮かべていた。
「お食事が冷めない内にいただきましょう!」
「そうだね。私は、最高の妻を持って幸せだよ。」
「私も、最高の旦那様を持って幸せです!」
とユティは満面の笑みをしながら言った。
(やっぱり、私の妻は最高に可愛い…)
後日、ユティからもらったブローチは右胸に付けている。
最高の誕生日だったと思う、カインであった。