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異能探偵局  作者: 春木
異能探偵局 第一章 ドラッグ編
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プロローグ

 ゴォッ!

 彼女は、足から炎を噴射し、コンクリートに若干の焦げ目を付けて高速で移動する。


「クソっ……! なんで『火炎放射(かえんほうしゃ)』が……!」

「オラ!! 待ちなさい!!」


 『火炎放射』と呼ばれる彼女は、二宮二乃(ニノミヤ ニノ)。異能が発現された世界、この大日本で国内二位の異能力を持つと呼ばれている少女である。

 そんな二宮が追いかけているのは、銀行強盗だった。人類に異能が発現し、同時に科学分野も飛躍的に向上、人類の異能に対応すべく、様々な技術革新により、世界は発展の一途を辿ったが、犯罪は無くならない。自らの異能ならばその技術も掻い潜れる、そう信じる者の強行により、例年犯罪は増えるばかりだった。

 それらを取り締まるのは、本来、警察異能対応課、通称、異能警察庁のはずなのだが、銀行から逃げ出す際に小さな女の子を蹴り飛ばした瞬間を二宮は見てしまい、怒り任せに犯人の追跡中なのであった。


「へへっ……これならあの火炎放射でも……!」


 犯罪を犯すということは、異能があるということ。そして、犯人は逃げ切れる自信があることになる。

 そんな犯人の異能は『透明化』。二宮も、角を曲がった先に居るはずの犯人の姿がなく、困惑した上で、「それなら……!」と、遙か上空まで炎を放出して飛び上がった。


「上から探しても無駄だっつーの」


 ほくそ笑む犯人が、死角に隠れて逃げようとした際、一人の男とぶつかる。


「あっ、すみません。銀行強盗さん……ですよね?」

「あ……? なんだ……? お前は……!」

「僕は、異能探偵局(いのうたんていきょく)から貴方を捕まえるように言われて来ました。行方(なみかた)と申します。申し訳ないのですが、身柄の拘束をさせて頂いても宜しいでしょうか?」


 行方は、ぺこぺこと犯人にお辞儀をすると、強引に犯人を取り押さえる訳でもなく、ただ微笑んだ。


「ふっ、ふざけんな! 誰が捕まるかよ!!」


 犯人は勢いよく行方を吹き飛ばすと、そのまま駆けて行ってしまった。


「ハァ……吹き飛ばさなくてもいいのに……」


 そして、誇りを払うと行方は一通の電話を入れる。


「あ、すみません。犯人と接触したんですけど、やっぱり逃げられちゃいました。まあ、多分予想通りかと。はい、じゃあよろしくお願いします」


 電話を切ると、行方は犯人の方へ歩いて向かった。


   *


「ここまで来れば安心だ……! ふはは……! あのNo.2の火炎放射だって振り切れるんだ! 俺の力なら……!!」


 人気のない高層の駐車場、四階に、男は仲間たちと待ち合わせしていたのだ。

 そして、一台の車の音が鳴り響く。


「よし、来たな……!」


 その時、犯人を囲う二人の姿が現れる。


「「 犯人、追い詰めた……! 」」


 赤いショートカットに、汗を滴らせる二宮二乃。そして、茶髪の短髪にコートを羽織る行方行秋(ナミカタ ユクアキ)


「お前らか! どうやってこの場所まで辿り着いたかは分からないが、もうタイムアップだ! 俺の仲間がやって来る! 俺はもう車に飛び乗るだけだ!」


 高らかに笑う犯人に、二宮は容赦なく飛び込む。


「逃すわけ……ないでしょ……!!」

「コイツ……! 車で轢いてやるぞ!!」


 コトコト、と、喧騒の中、小さな足音が鳴り響く。


「あー、ちょっといいですか」

「お前……!」

「アンタは……!?」

「お嬢ちゃん、懸命なのはいいけど、()()()()()()()()()使()()()()()()()()になる。あとは任せてよ」

「ハァ!? 私は犯人を捕まえるから行使にはならない! そういうアンタは何者なの!?」


 行方は、強引に犯人と二宮の腕を抑える。


「僕は、異能探偵局から来た行方行秋。()()()()です」



 異能探偵局 始

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