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北極星の贈り物  作者: 六福亭
序章
1/10

1 はるか昔から、

「はるか昔から、北の空の高いところには、北極星と呼ばれる偉大な魔術師がおられるのです。北極星はこの世の全てをご存じで、何でも思うままに操ることができます。そして、定められた試練をくぐり抜けた勇敢な挑戦者の願いごとを、何でも叶えてくれるのよ」

 マルガリータは、目を丸くして、そっと尋ねました。

「それはどんな試練なの?」

 マルガリータの母、レゲンダ公国の大公妃ロダは、優しく答えてあげるのです。

「北極星に仕える七人の魔術師たちを探しあてて、会えたしるしを七ついただくことよ。だけどとても難しくって、今まで北極星までにたどり着けた人は十人もいないのですって」

「お母様やお父様は?」

 マルガリータがそう言うと、ロダはにっこり笑いました。

「私もお父様も、北極星にお会いしたことはまだないわ。だけれど、あの方は必ず、私達を見守ってくれているのです。ほら、あれをごらん」

 ロダは寝間着姿のマルガリータを抱き上げ、寝室の壁に飾られた花束を見せてあげました。

 

 花束は、八本の見たこともない花で作られています。真っ黒な花も、虹色の花も、水のように花びらが透き通った花もありました。マルガリータが顔を近づけると、嗅いだこともない不思議な香りがします。


「私とお父様が結婚する時に、北極星の使いである星の大鷲が、この花束を持ってきてくださったの。あれから何年も経ったけれど、いつまでも枯れない魔法の花よ」

 マルガリータは、一見儚げな八本の花をじっと見つめました。けれど、何だか怖いような気がして、花びらに触れることはどうしてもできませんでした。

 マルガリータを抱っこしたロダは、娘を優しく揺らしながら、語りかけます。

「あなたにどうしてもかなえたい願いごとができたら、マルゴ、北極星を探してご覧なさい。きっと素晴らしいことが起こるから……」


 その言葉を、マルガリータは何年も経った後でも覚えているのでした。



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