きゅう/1618910280.dat
「いいんじゃないですか? そのお小遣いは、私が並プロちゃんに対して投資したモノですから。何も問題ありませんよ」
「でもさあー。並プロちゃん達って、まだ生まれたばっかりなんでしょ~? そんな小さい子達からもらえないよー。しかもこんな2,400Ptsもの大金――」
本当にその気持ちはわかる。俺の場合は、せいぜい10Ptsだが支援もらってたからな。WEB小説の続きを書けって……催促込みだったけど。
「まあ確かに、その使用目的には学術的興味が湧きますね」
ポポッポポポ――スマホを片手でさばく地味子。
あの片手はタッチタイピングよか早い――ポコン♪
『ふつう:並プロちゃんは、どうして違崎君にお給料を入金してあげたの?』
――――シシシシ、シシシシッ♪
『('_'):進行中の並列プロジェクトにおける、全機体の能力向上を謀った結果ですわー』
静かな入力音。口調は小説のコメント欄で見せる、『主幹部ちゃん』キャラ。
『ふつう:能力の向上? なら学術ネットや各種メディアのサブスクリプションで足りるんじゃない?』
『('_'):いーえ。その為の最適解を割り出しましたら、ソチラの違崎海流様への金銭的支援が最も高いスコアをたたき出しましたのよっ♪』
「ソレって――どういう……コトっすかー?」
コンソール画面を見ていた違崎の首が、曲がっていく。
「つまり、違崎の資質を正確に判断した結果そうなったって事だ。オマエ、並プロちゃんのお眼鏡にかなったんだよ」
一瞬表示された参照データリンク先が、『交通システムによる時空間経路』だったことは黙っておく。
どういう複雑系モデルを使って主幹部が予想をしたのかわからないけど、ソレが『経済活動圏』ではなく自宅や大学の立地条件に重きを置いていることは、あらゆる意味でそれほど重要ではないからだ。
「ええええぇぇーーっ!? 並プロちゃぁぁぁ~~ん♪」
違崎、男泣きである。
気持ちはわかる。並プロちゃん達は基本的に裏がない。
……少なくとも、〝企業という業態から生じる利己的な勘定〟はプログラミングされていないはずだ。
高スコアランカーが、俺の軍用コンソール(10年落ち)にしがみついたから、襟をつかんで引っぺがした。
§
「じゃあ、この人の方から接触してきたんだな?」
いつもゲーム画面が投影される壁。大きく表示された人名に見覚えはない。
ソレはヴォストーク食品工業企画部所属を保証するデジタル名刺。
非代替性トークンでもあるため、ヴォストーク食品工業の業務サーバーに照会すれば、発行日時や違崎のスマホの機種やOSバージョンなんかもわかるようになってる。
「はい。学生課で呼び止められて、この人を紹介されたんですよ」
――ヴォヴォン♪
いまAR電影部は違崎の手に乗せられていた。
雇用主(?)となった並プロちゃん達の〝黒いの〟と〝朱いの〟を大事に大事に抱えるサマは、心温かいような……気色悪いような、複雑な感情を俺たちに抱かせている。
「違崎君、あんまりしつこくすると、また射撃されるわよ?」
もう、撃たれる隙間もなくなってしまった並プロちゃんⓇブルゾンをしばらく眺めてから、ヤツは雇用主の黒い方をソッとテーブルに置いた。
そしてなお、生まれたてのヒヨコのように、大事に大事に抱えられる並プロちゃんAR電影部は、朱色の色味とあいまって、何やら神聖な神具とかに見えてこなくもない。
まあ、電影部は実行部みたいに、引き金が軽くはないみたいだから、平気だろう。
神棚や田んぼの周りなんかに置かれてても、違和感の無い佇まい。
そんな映像投影機能搭載機の正体は、超高性能自律型映像投影機能搭載機だ。
応接テーブルに置かれた違崎のスマホ画面を、自発的に複製投影する位には気が利く自律型。
規格化されたファイル形式なら、〝AR電影部〟はどんな情報でも即座に、どんな平面にでも表示してくれる。
それは、画像や映像や音声などのメディアファイルを、息をするように自然に扱う人格を搭載してるというわけで……いくら地味子の才能に感化されたからって、よってたかってハイスペックにしすぎた感がある。
だって、普通の写真が一枚ありゃ、その場所の全天のVR映像をねつ造……もとい自動生成できるのだ。
プラネタリウムにも、雪山登山VR体験装置にも、画像一枚で早変わり。
しかも、その元となる最初の画像すら、ひとこと告げるだけで一秒もかからずに生成される。
この世にない新しい空間を生み出し、体験させることが出来るなんて――あれ?
家庭用のスマートスピーカーとかメディアサーバーとして考えた場合、やっぱり、この性能は規格外すぎないか?
「おい、地味子さん」
「なんですか、代表」
「コレさー、8号機って言うか〝AR電影部〟さー、オーバースペックじゃないか? 今更だけど」
「んー、ソウでもありませんよ、特区の実体映像空間投影技術と比べたら。8号機の立体空間投影は最大30センチまでですし」
「特別区域ってアレだろ、本物と見分けが付かないVRゲームを開発して、何人も病院送りにしたって言う」
「先輩遅れてるー。ソレは特区制定当初の話ですよ。いまはコンシューマー向けのノウハウも貯まって、お年寄りから園児まで自由自在に使いこなしてますよ。ねー、並プロちゃん」
おまえ、似たような技術を〝AR電影部〟に食らって、トラウマになってたじゃんか。
「ヤバイな、最新技術についてけねえ……一年近くも何やってたんだ」
通常の映像投影機器としての8号機は、全て俺の設計だ。
投影角度や解像度、DRMの合法解除等……一切の制限を取っ払ったから、みんなで映画やゲームを楽しむ上で、これ以上のモノはないし市販されてない。
けど似たような技術に見えても、聞いた感じじゃ相当な開きがある事が……ギリギリわかる。
ちなみに立体空間投影は、〝MR実行部〟の〝半実体カーソル〟も含めた全てが、並列プロジェクトサイドによる〝デジタルホログラフィー〟だ。
投影対象がない空中に像を結ぶ為のノウハウは、さっき言ったとおり俺にはない。
つまりソフトウェア担当の地味子、いや、鱵ふつう工学博士(光学分野)のたゆまぬ研究のたまものって事で――
「今更それを言いますか? まったく、人類の損失です。今後はキッチリと、スケジュール管理させていただきますので」
そもそも基礎研究だけでも俺の数年先を行ってるのに、大学の講義もまじめに受け、俺の世話まで。
「んー、まあ頼むわ」
超人並みの能力に、すでに頭が上がらなくなりつつ有る。ただ一点だけ問題がないでもない。
彼女は、俺の能力を過大評価しすぎているきらいがある。
おいおい認識を改めてもらおうと思ってはいるが――せめて彼女に追いつくための足がかりをつかむまでは、今のままでもいいかなとも、つい考えてしまう。
「はい、たしかに承りました。じゃあ、話を戻すけど、その場でいきなり試作品の話になった訳じゃないんでしょう?」
いろんな意味で神懸かる才女は、進行役まで務めてくれた。
「うん。なんでも、〝ミスキャンパスがカワイイ手乗りロボットを連れて歩いてる〟って噂を聞きつけたらしくて」
「〝ミスキャンパス〟が? 〝カワイイ手乗りロボット〟を連れて歩いている? ……たしかに言葉だけ聞くと、すっごい興味を引かれるなー」
――キュイ?
ああ、まてまて、決して並プロちゃんをけなした訳じゃないから。
半開きのサイコロ(サイの目はない)から銃口を突き出さなくてイイから。
もうこれ以上は、作業着をかわいくしないでくれ。
「ミスキャンパスって言っても、〝今月の〟でしょう? しかも並プロちゃんとお揃いのコスプレが、話題になっただけだしっ――ジトリ」
まてまて、セリフと表情にチョットした不一致が検出されてますよ?
「いや、あくまで一般的にはって意味で言ったまでで、俺は実際に興味を引かれたぞ。スマホとQIDアカウント管理頁の壁紙に設定してるくらいには」
スマホのスリープ解除画面をみせてやる。
そこには眼帯を付け、何故かピースサインではじける笑顔の鱵ふつうさん、物理学科3回生の姿が。
ロボット工学と認知工学と、最先端の映像光学と量子AI研究に従事するかたわら、俺と違崎の面倒まで見てくれる才女……にしては、ずいぶん垢抜けてるというか印象がまるで――
「別人だよな……本物の方がちょっとキレイだけどな。並プロちゃんも肉眼だと、もっとカワイイし、ハッキリ見えるんだがなあ……」
肩に乗ってる並プロちゃんの半透明は向こう側が透けて見えてて、若干輪郭がボヤけてしまっていた。
すると――ヴォヴォン♪
並プロちゃんMR実行部の半透明部分をクリア補正した修正版が、壁に表示された。
「おー、こりゃイイな。お手柄だ、電影部。スマホに送っといてくれ」
そんな俺の行動に気を良くしたのか、黒い箱から突き出ていた銃口が引っ込んだ。
「な、なななななっ!? ソレって何ハラですかぁ? わわっ私だってっ、珈琲先輩のコスプレ姿ちゃんと、保存してあるんですからねっ!?」
何故か口の端をニヤつかせ、両ほほを手のひらで押さえていた地味子が、我に返った。
「何ハラかはわからんが、しいていうなら肖像権の侵害だろうな」
まあ文句は、〝広報部〟とかの腕章を巻いた連中か、学生課に言ってくれ。
「これさー、エイプリルフールのネタなんかに、このまま使えそうだよね? 会社の――」
「バカ言うなっ! 間違っても、滅多なことはするなよ! コレはフリじゃねーからな!?」
「そうよ、違崎君! 約束破ったら、今後一切レポート見てあげないからねっ!?」
「そんなに目くじら立てて怒らなくたって、わかってますよ。ねー、電影ちゃん」
朱色の箱をいつくしむように、語りかける仮社員1。
今は殊勝なことを言ってるが、全然安心できない。
この仮社員1は、卒業すら危ぶまれる出来のワリには、時々すごいことをするのだ。
§
「〝並プロちゃんの関連商品に興味はありませんか〟って聞くから、有りますよって返事をしたら、〝お名刺いただけますか〟って言われたんで、学生証見せるよかマシだと思って、コレ渡しました」
壁に拡大表示されたのは、違崎の名刺だった。
俺のクリスマスカラーのと、まるで同じデザイン。
「……思い出した。デザイン会社にヒープダインのブランドイメージ一式任せるときに、用意したテストデータの役職を、『営業部長』なんかにしたんだった」
このキャラクター商品開発の、スピーディーな進捗の原因がわかった。そういうことか。
「ココに小さく、『※これは仮データによるデザインサンプルです』って注意書き入ってますよ? もー、みっともないんだから違崎君は、もぉーっ」
たしかにみっともないが、関係者であることは証明できたのだから、名刺の機能は果たせたといえる。
「この営業部長って肩書きを真に受けた先方様が、あとは勝手に進めてくださったってところか?」
「そーなりますか……ねー、電影ちゃーん♪」
手にした箱をグリグリと揺らす営業部長(サンプル)。
しかし、手持ちの朱色のサイコロから投影される映像には、一切ブレがなかった。
主幹部みたいな秘蔵の特注パーツは使ってない。
俺の設計したジャイロ機構だけで、ココまで高速に精細な空間定位が出来るモノか?
隣に座る地味子工学(光学分野)博士(博士号を何個習得してるかは知らん)を横目で見た。
顔立ちは整っとるが、地味だしスレンダーだし、意外と怒りっぽいし……並プロちゃんや原子回路の事がなかったら、絶対仲良くはならんタイプではある。
「でもー、それだけじゃなくて、ほら僕ぅー、駄菓子とか大好きじゃないですかー? そしたら、この企画部の人と意気投合しちゃって、〝今度試供品をお持ちしてもイイですか?〟とか聞くからさー、いいですよって答えたら……一週間後っていうか今日……」
「この段ボール箱が届いたと? っていうか、そんな話が来た時点で、代表に相談するのが筋じゃないんですか!? 報告連絡相談はどーしたんですか、ホーレンソーわぁ?」
「だからぁ、並プロちゃん関連商品とー、この試食の話はー別の話でー。〝駄菓子マイスター〟である僕にー、個人的に来た依頼だと思ったんだよー」
電影ちゃーん、普通子ちゃんがイジメるよー。
誰がフッ素化合物ですか!
うーむ。〝ふつう〟が来て一気に騒がしくなったな。
アレだけ広かった自宅兼作業場も、手狭に感じるときもあるし。
なんせ、どれだけヒープダインが大きくなっても、ひとりで切り盛りするつもりだったから、応接セット以外にはろくな椅子もない。絨毯とちゃぶ台一つしかない。
「コレって契約違反とか詐欺にならないかしら? ――代表? どーしたんですか、ボケッとして?」
「あー、すまん。考え事してた。契約に関しては……先方も、それなりにリサーチはしてるだろうし、ヒープダイン社の規模が少数精鋭な事に変わりはない」
「少数精鋭? 今年も卒業できるかどうか怪しいって、賭けの対象にされてる僕がぁ? アハッハハハハハハハッハハハハッ♪ 面白いねー、電影ちゃーん♪」
「何笑ってるんですか! ……えっと、〝ゴゴ大〟……〝ブックメーカー〟……〝競技部?〟」
スマホを片手でさばく地味子。さっきも言ったが、あの片手はタッチタイピングよか早い。
――ポン♪
「オッズ……1対9? だれよ〝1〟に賭けたマヌケわぁ? でもコレ、ノミ行為に当たるんじゃないんですか?」
はは、うるせー。あと、見つかってんぞ自治部。
「それわ、問題ないよー。学食の幻のメニュー『超々特選牛玉せいろ御膳』4000Ptsが上限だからね。ねー、電影ちゃーん♪」
そろそろ、ウザがられるぞ違崎。
「あー、コホン。学食のポイントは旧円と同率だから、約4000円でしかない。むしろ、その価値は年度先着1名様の特権自体に発生してると言える!」
学内の裏事情に疎い後輩2に説明してやる。
「どうしました珈琲先輩? 急に熱く語ったりして」
「いやなに、簡単な話だ。学食の自販機横の一番小さいテーブル有るだろ?」
「はい、ぼっち席なんて言われてますけど……この応接テーブルふたつ分くらいの大きさがありますよねアレ」
「そうだ。そして、『超々特選牛玉せいろ御膳』に付いてくる小鉢の数はなんと108! ちょうどあのテーブルが埋め尽くされ、この世のありとあらゆる煩悩……じゃなくて味覚を味わえるという寸法――――――どうした後輩2?」
「はぁーっ、あきれた。大の大人が特別メニューに一喜一憂って、情けなくて倒れそうになりましたよ……あと、誰が後輩2ですか、まったく」
額に手を当て、何かに耐える後輩2。
「いや、そんな馬鹿にしたもんじゃないぞ。なんせ幻の老舗料亭の元板長が、腕を存分に振るってくれるって言うんだぜ?」
「そうだよ? 何でも、長年の修行で培ったスゴ腕は、使わないと鈍っちゃうからって。ねー、電影ちゃん♪」
「――――でも確かに、その肩書きには――多少興味をそそられますね。……そういえば、すっごい渋いおじ様いたわね、学食の厨房に」
地味子の双眸が不意に持ち上がり、獲物1を視界に捕らえた。
「よし、違崎オマエ、インターンとしてウチに来い。給料は最低賃金プラス交通費支給。営業部長案件に関しては特別手当も上乗せしてやる」
他ならぬ、並プロちゃん自身による見立てだ。万が一使えなくても気兼ねなく、こき使ってやりゃいい。
「えー、大学だって有るんすよー? あ、並プロちゃんからもらった分は、しっかり馬車馬みたいに働くからねー、電影ちゃーん♪」
なんか、悪いもんでも食ったのか?
ソレとも、スデに使ってしまったにしても、臨時収入が本当に嬉しかったか。
「いいから、やってみろ。来年、卒業できなかったら中退してウチに来りゃいいだろ。うん、これで、オマエのお袋さんへの義理も立つ」
「ソレ、いいですね。業務外や待機中なら、レポートとか見てあげられますよ?」
ナゼか舌なめずりをする、各員1兼後輩2。
「じゃー、やってみよっかなー。どう思う、電影ちゃん?」
あーあー、べたべたべたべた、なで繰り回してやがる。
コレはウザい。本当に〝AR電影部〟の忍耐力は堅かった。
§
「じゃあ、ひとまずコレ、『並プロちゃんⓇスナック』を片付けちゃいますか」
隅によけておいた段ボール箱を、引きずって持ってくる秘書兼後輩2。
「そうだな裏メニューの話なんかしてたら、小腹も空いてきたし、ちょうどイイ」
「――そろそろ『4号機』も届く頃ですし、タイミング良かった♪」
は? またなんか言葉を足しやがって。もうややこしいのは勘弁してくれよな。
「……届く? 家の人に頼んで、バイク便でも手配してもらったのか?」
「まさか、ウチの家族は量子AIにも、個人間の配送サービスにも疎くて、とても任せられませんよ」
――――ピンポォーン♪
ん、なんか聞こえてきたぞ?
――――ピンポォーン♪
「――のお届けにまいりました。お荷物のお届けにまいりました。株式会社ヒープダイン様への貨物搬入はコチラからでよろしいでしょうか? 可能な場合には配送アプリから『get baggage!』ボタンを押してください♪ お荷物のお届けに――」
その電子音声は、玄関側からではなく南東方向。ベランダ側から聞こえてきた。
さっき雨がパラついてきたときに、閉めたばかりのカーテンを開ける。
┌(' _ ')┐
目の前に浮かんでいたのは、『('_')』だった。
防水を表す灰青色の段ボール。
ソレを抱えた開閉式のケージの正面に、『('_')』が描かれていたのだ。
横から吹き込む雨に打たれても、ビクともしないホバリング。
「すげえ、曲芸みてえだ!」
こんなのは、システム化されたビットバレー都市か、それこそ専門の技術や法制度を都市設計に折り込んだ〝特別行政地区〟でもない限り飛ばせないはずだ。技術的にも法的にも。
ココは、”VR拡張遊技試験開発特区”でもなければ〝ロボット開発特区〟でもない。
いやいや、まてまて。だから勘弁してくれって言ってんだろ。
我がヒープダイン社には現在、約一名居るのだ。
ロボット工学と、プログラミングに特化した地味な女が。
俺は社員1と客員1を振り返る。
「きゃーっ、何コレ!? なんで大穴がっ! なんかサメ居るし――――!」
モアレ気味に照らされる応接テーブルに向かって、なぜか吸い寄せられていく客員1。
「わーっ、ちょっと、待っ――あ、ソレは平気平気、実害ないから。ヤバイのは横から突き上げてくるキノコみたいなヤツで――うーわーぁー! コレッ、コレがおっかねーの、倒れ――――」
どういう原理かわからんが、違崎が何かにはじかれ横っ飛びにすっ飛んだ。
すげえ、曲芸みてえだ!
それでも、朱色の箱を手放さないところは、社員の鏡だった。
本当に、自宅兼作業場は賑やかになった。
二人とも忙しそうだから、俺が『配送用ドローン』を中に入れてやる。
┌(' _ ')┐
一瞬、MR実行部に迎撃されないか心配したけど、黒い箱はチョット開いてスグ閉じた。