あっ、いい事思い付いた?!
とにかく、明かり、明かり。
薄暗いにも程があるよ。
真っ暗な階段があるのみとか、無理無理。
明かりを付けるのに、『光苔』をばら蒔いて『栽培スキル』を稼働する。
おぉ、ちょっとこれだけ明るくしたのにまだ底が見えないって何?高所恐怖症の俺なんて見るだけでガクブルなのに。
エガランってば、やっぱりドワーフ戦士って感じだな。1人とかマジ無理だ。
「ザルツ、ここを降りてゆけばいいのか?」
エガランの言葉に頷く。
いや、だってそれしか無いから。
見えない底からの風が、出口へのヒントだと思いたいけど罠かもしれない。
あっ、いい事思い付いた。
ヘンデルとグレーテルからヒントを貰って、コレを巻いておけば迷子は防げるな。
それにしても、ドワーフの肩ってのはこんなにも乗り心地が良いのか。
揺れないし、安定感抜群だし。
ふむふむ。
ふむ。
ふ。
ふ、ふ、、不安なんて無いから。
何時間も歩いても底がないから、怖いとか無いから!!
「すまない、ザルツ。全ては俺の不徳の致すところだ。」
俺を担いで何時間も歩いてるのに、謝るとか。
王太子って、、すげーよ。
俺も少しは頑張らなきゃ。
きっとゼリアやヤークル姫様達が心配してる。
ナラだって、ガルクルト達だって。
でも、何か無いかと、懐を探っても数珠を調べても何も無い。
ガザ。
あっ、、これは。
「エガラン、ちょっと止まって。もしかしたら名案思い付いたかも。」
後先を考えて行動してね。
ナラに良く言われた言葉を思い出していれば。
後々この時の行動のせいで何時間も説教されるハメになるのを今の俺は知る由もない。。
***エガラン視点***
疲労感を覚えるのは、景色に変化がない事だけでは無い。未だ、完全復調とはいかぬ我が身が口惜しい。
高々数時間、ザルツを担いで歩いたくらいで根を上げそうになるとは。疲労感が伝わったのか肩の上でザルツがモソモソ動く。
何か手立てが無いかと懐を探っているのだろう。その不安感を和らげるため声を掛けたいが、掠れ声しか出ない我が身では、只管歩くのみだ。
ん?
ザルツの制止に、肩から降ろすと前回飲んで驚愕したあの『薬草茶』がある。国立公園にあったあの希望の星だ。
なんと。。
またも心配をかけ手間をかけさせるとは。
しかしザルツは薬草茶を入れているのではなく、茶葉を手のひらに乗せて捏ねていた。何をしているのか。
「これをね、分解して。いや違うな。巻き戻すんだよ。」
巻き戻す??
ザルツの言っている意味がよく分からない。
お茶を手にスキルを使っている様だが、何を。
「ほら!!!出来たよ。やっぱりこうすれば良かったんだ。応用もできるし、めっちゃお得なスキルじゃん!!」
ザルツの小さな手のひらの上にあったのは、『薬草茶』ではなく『ゴマノハグサ』だ。
え?
まさか茶となった『薬草』の時を巻き戻して、『ゴマノハグサの種』に変えたのか??
そんな事が出来るのか?
この世界の人族に。
唖然としている俺を置き去りに、ザルツが叫んだ時にそれは起こった。
【栽培、特大スペシャル!!】
ゴゴゴゴゴゴ、、、、、、、、
ゆ、揺れている。
地面が、と言うよりはこの世界そのものが激しく揺れていた。
俺は咄嗟にザルツを抱き抱えて下から生えて来た何かの大きな幹に飛び乗った。
生き物のようにクネクネと今も伸び続ける枝に2人で必死に掴まった。俺の内側にザルツ。その外側から俺が覆い被さる。
まるで空間そのものが、壊れてゆくように上も下も激しく揺れる枝の動きは激しくなるばかり。
何としてもザルツを守らなければ。必死な思いも虚しく意識が掠れてゆく。。
最後にザルツの叫びを聞いた気がしたが、あれは幻だったのだろうか?
『これじゃあ、ジェットコースターだから!!ゴマノハグサーーーちゃんと俺たちを守れよーーー。約束が違うだろーーー』




