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謁見は一瞬でした



只今、葛藤中です。

何故なら、大好きなお風呂にありついた喜びと、官吏の俺の肌を擦る強さがあまりに痛すぎて逃げ出そうか迷ってる。


「あの…」と言い出す俺。


「却下です。」と、にべもない官吏。


「。。。」


「あと30ガイは我慢して下さい。」

(30ガイ=30分)


「いや、それ絶対出血案件だから!!」

慌てて叫ぶ俺の声でやっと手が止まった。ホッとして相手の顔を見れば白い目が睨んでた。


「謁見まで、あと半日ですから。」

えっ?なになに…。まさか出血案件も問題なしって口振りだけど、謁見する人はみんなこんな目に合うの??

そりゃ俺みたいな田舎者の平民なのに口答えする方が普通じゃないのがこの世界だけど痛いモノは痛いんだよ。涙目の俺が諦めかけたその時、救い主が現れた。


「まだ、そんな原始的な事してるの?ほら、洗浄魔法を掛ければあっという間だね。ほら綺麗に…なったはずだから。んーー、まあまあ見れるよね?」


救い主よ。本当に感謝する。

が!!何で最後が疑問系なんだよ。そこは忖度でいいじゃん。


そんな俺の胸中なんて丸無視で今度は複雑なお着替えが始まっていた。平民の俺には脱ぐ事すら出来そうにない服は恐らく謁見用だな。

しかし、だとすればまだ取り消されてないのか。俺のメンバー入りは…。


「ザルツ君は百面相で考え事する癖やめなよ。全く諦めが悪いねぇ。

とにかく、そろそろ覚悟を決めて謁見してさっさと出発するから。」


反論しようとする俺の耳に聞き慣れない低い声が響いた。


「ここ2日で村が二つ潰れたからな。」


皇子…そんな声も出るのか。だけどそれどころじゃない。


村が二つ潰れた。。。


ゾワリも背筋に寒いモノが走る。

こんな報告をここに来て以来、何度も聞く羽目になっているんだ。その度にドキリとする。

魔獣被害は俺の想像の遥か上をいっていた。

まさか…嫌な予感が走る。


「ああ、大丈夫、大丈夫。ザルツ君の村じゃないよ。今はエルザム国周辺が厳しいんだ。」


エルザム国?!あの観光地で有名な長閑な温泉地が魔獣被害に?!


「エルザム国は何で狙われているんでしょうか?」


「攻撃はエルザム国だけじゃない。ほぼ全ての国で魔獣は暴れているよ。ただ…あの国は騎士団も魔法士団もない国だから守る人間が居ないんだよ。」


深刻さが肌にまで纏わりつく。そんな声のトーンにドキリとする。


「王様にはこの後すぐの謁見をお願いした。今はザルツ君待ちってところだね」


はっ??

俺待ち…??


「お前…それを早く言えーー!!!不敬で俺、首チョンパするだろが!!」渾身の怒声と重なる2つの声。


「終わりました」「行くよー。転移っと。」


それは怒鳴っている途中で行われた事。

俺の手を掴んだ皇子。

と、なれば。。。


「首チョンパするだろが!!」

この最後のセリフは何と王様の御前で響きまくる!!しかも偉い人大集合の前でだよ。


恨むぞ、ラルト皇子よ。

言霊って本当なんだな。これで間違いなく「首チョンパ」決定だと顔色を無くしている俺をガン無視して全員が一斉に跪く。

なになに??

とにかく、俺も焦って右に倣えをした。

不敬罪じゃないのか?俺は助かるのか?

周りを伺う俺の耳に高らかに宣言する王様の声が響いてきた。


「これより、第一討伐隊出立せよ。任務達成を如何なる手段を使っても成し遂げよ。いざ行け!!」


「「「「はっ!!!!」


あっ!!またもや返事を忘れる不敬罪かと動揺する俺の手をまたもや皇子が掴む。


まさかの王前での『転移』!!

驚く暇くらい欲しいよ。そんな恨み節が口から出かかった。それも転移先にいた女性に思わず、いつもの口調が出たまでの恨み節。


「ただいま」とあっさり返事をしたのはほぼ条件反射だ。


相手のこんなビックリ顔は初めて見たよ。

とにかく、開けっぱなしの口を閉じなさい。


妹よ。




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