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誰もいない街の探索?!



とにかく、街中を探索する事にした。


人はいない。

小動物すら、一切見つからない。


「ザルツ。とにかくメイン通りに行ってみよう。そこは露店も多くて本来なら賑わいが絶えないところだ。」


。。。

コクンと頷くも、誰にも見られなくない状況に俺は今ある。


そう…

エガランと俺の手が繋がっているのだ。


何で!!と、思うだろう。

これには深〜い訳があるのだ!!


「手を繋ぎたい。」


目が点な俺に畳み掛ける様に

「手を繋いで探索したい。」重ねるエガラン。


何ーーー!!と、そりゃめっちゃ抵抗したさ。


「エガラン!!俺は子供っぽいけど、子供じゃない!!これでも大人なんだ!!!」


思わず大声になってしまったのは、許して欲しい。前世でも「背が低い」は禁句だったのだ。

あー、何で今世でもチビなのだ、俺。


完全にムクれた俺に諭す様なエガランの声がした。


「ザルツ。俺の我儘だ。離れていては、またも『乗っ取られる』かもしれぬ。その恐怖が拭えないのだ。頼りにさせて貰えないか。」


な!!

頼られたら、応えるのが大人の男だ。


「まぁ、エガランがそれで安心出来るのなら俺に異存はない。さあ、右手を出し給え。」



こうして、側から見るとびっくりする仲良し探索が始まったのだ。

あー、ナラがココにいないのが最大の幸運だ。

居たら…ぶるぶる。。考えるのはよそう。

余計な考え事をしていたら、エガランが突然止まった。


「三年前の記憶だが、変わったところは見つからぬな。でも、ココに飛ばされた事には必ず意味があるはず。」


気づけば、公園の様な場所に来ていた。

自然を大切にするドワーフの公園は、森とも言える場所だ。時折あるベンチだけが人工物だ。


ん?


誰だ?!


『違いが分かるかな?』


誰の声だ?!


『違いは一つだけ』


まただ。


横のエガランの声じゃない。

考え事をしている大人の横顔だが、声は出てない。


【ヤモリ】!!


。。。

またダンマリか。

最近、あんまり喋らないんだよ。


だとすると…。


あーーー!!!

それはダメ。お化け方面はダメ!!


『ヒントはエガランが持っている。』


!!!


ここで俺は気づいた。

『日本語』だ。


今世で、初めて聞く『日本語』だ。


途端に、キョロキョロ探す。

知り合いなのか?まさか、転生者が,他にも!!



「急にどうした?何か分かったのか?」


「声がしたんだ。それは『日本語』だった。」


エガランが苦笑いと共に首を横に振る。


「あり得ないな。実は俺は探索魔法使いだ。

この街に人はいない。だとすれば、ザルツにだけ聞こえるヒントではないのか?

腹の中にいる『ソレ』からの。」


そうだった。

電灯人間だったんだ。昼間だから忘れてた。

本当にお腹からだったのかなぁ。

んー。


分からん。


「ザルツ。取り敢えず何と聞こえたのか教えて欲しい。」


俺は納得いかないまま、とにかく説明した。

3回言われた内容を。


「違い?しかも、俺が分かる…」


そう言ったまま、エガランがまた考え事を始めたので,ベンチに座る事にしてエガランを引っ張ったら…。


ベシャ。


え?

エガランが倒れた?!


「おい!!ちょっと大丈夫か?」


倒れたエガランを見れば、顔色は青白く脂汗が額に滲んでいた。


そうだった。


ガリガリのエガランだったのに、あまりに堂々とした雰囲気に忘れてた。


「エガラン。具合が悪かったのか?」


薄目を開けて「すまぬが暫し時間をくれ。」

そう言ってそのまま、目を閉じた。


味噌汁は最後の数珠だったのだ。

もう、手持ちはない。


でも、ココは森だ。食糧の宝庫だ。

もう一度、そう思って見渡せば「おー、沢山あるじゃん!!」

つい口に出た。


『お主は、街中に溢れる食べ物を与えようとは思わぬのか?食材も沢山店先にあったではないか。』


出た!!自称守護者め。

自己都合で出現してるな。


「アレは怪しいんだよ。」

なんとなく、そんな気がしてる。

勘はある方じゃない。


でも…。


『ふむ。お主の感じるままが良いじゃろう。』

自称守護者も賛成したから、安心して公園の中を探し回る。誰も居ないから、エガランに危険はないだろうし。


しかし、ヤークル姫さんの苦労がちょっと分かった気がする。エガランは王太子と思えないほど気さくでいつも笑顔だった。

もちろん、頼りにもなる。


だから、気づかなかった。

無理をしていたと。見過ごしてしまった。その事に胸の中にザワリとした苦い想いが過ぎる。

恐らく、乗っ取りの時もこんな感じだったのだろう。突然、エガランがオカシクなった。そう周りは気づかなかったのだろうなぁ。


まあ、俺も自然現象とは言え勝手に突っ走ってしまった。それについては、反省してる。

せめて一言断ってからにしても良かったと。

それは、いつもナラから言われていた俺の欠点だ。そんな反省しながら向こうを見れば、うめき声一つ立てず静かに苦悶の表情をしているエガランと見張り役を引き受けた【ヤモリ】が見えた。


とにかく!!やるしかないのだ。エガランが回復する何か作らなきゃ。それが料理人の俺の出来る唯一だからだ。


俺の目指しているのは『薬草茶』だ。


前世でも、ドクダミ・ハト麦・タンポポ・ヨモギなどその辺りに生えてる草は全て薬草茶の原料になるんだ。

料理とも言えないけど、これしか今はないんだ。

飲ませる為にもと、取り敢えず気を失っているエガランを無理矢理抱き起こす。


「エガラン、エガラン!!コレを飲んで。たぶん少しは具合が良くなるから。」

それにしても抱き上げたエガランの身体はかなり細い。やっぱり、乗っ取られるとは過酷なモノなのだな。

俺の呼びかけに薄ら目を開けたエガランは、差し出された薬草茶を疑いもせず必死の顔でチビチビと薬草茶を飲んでいる。

時間をかけて飲み終わったエガランは、終わった頃にはようやく少し頬に赤みが差した。


ふぅ、ひと安心だ。


暫くすれば。。とそこまで考えて俺は固まった。

ある事に気付いたのだ。

。。。

俺たち、昼下がりにココに来たよなぁ。

あれから数時間後は経ったはずなのに、影の長さが変わってないような。。


空を見上げて固まった。


太陽が動いてない?!


そう、思った瞬間背中にヒヤリとした汗が流れた。先程まで感じていた昼下がりの長閑な日差しが急に不気味に見えてくる。


俺は、思わず気を失っているエガランの手を掴んだ。気を失っていても、一人より心強い。

またも、姿が見えなくなった自称守護者の【ヤモリ】よりエガランの手の温もりが今は有り難かった。


ホラゲー無理だから!!

エガラン、早く起きてくれーー!!!


そう心の中で叫びながら、薬草茶を空っぽの数珠に仕舞った。コレがドワーフ界で大流行するのはもう少し先の話。


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