表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/40

言語チートを下さい!!



異世界転生して1番に困ったのは言語チートが無いと言う事だ。勿論、喋れるさ!!

だけど、文字が読めないんだよ。こんな事、日本人だった頃には考えられなかった。そして、それがどんなに不便かと言う事も。

だから、メモは全部なんと日本語。記憶があって良かったよ。だから勿論、お触れなんてモノは人の噂話を頼りにするのみ。その事がここに来てこんな大問題になるとは思ってなかった。ホント、今更学校の大切さを思い知った。期末試験に文句とか言うんじゃなかったな。先生、ごめん!!


はぁ。こんな風に思考が逃げ道を探しているほど、現在の俺は追い込まれているんだ。

この世界に生まれて初めて感じる足裏のフカフカも(下足で良いのか疑問に思うのも日本人だった名残だな)戸惑いをますばかりだ。それなのに、そっと歩く俺を相変わらず無表情でガルクルトは見るしさ。いや、ガルクルト様だったな。田舎町でも英雄ガルクルトを知らぬ者はいない。写メとか無いから実物は知らなかったけどな。いや、こんなに怖い御面相とはな。ハンサムとは無意識だと威圧感満載なのな。


「ねぇ、難しいとは思うけどちゃんと俺の話聞いてた?」

しまった…逃げ思考で聞いてなかった。少しイライラして表情で話しかけたのはこの部屋のもう一人の有名人・ハレザート国の第二皇子だ。高貴な身分で有名なんじゃない。魔法開発力の凄まじさに1000年名を残すだろうと言われた魔法の天才なんだ。その上魔法士団と言う、オタク心を擽る集団のカリスマリーダーだ。


「良いかい。この『お触れ』をちゃんと見れくれ。大切な事はここに全て書いてある。」


カリスマの強い眼差しに諦めの境地で小声で白状すること事にした。


「あの…俺は『お触れ』を読めません。」


おぉ。なんて言う気まずい沈黙。呆れてモノも言えないか。まぁ前世だったらドン引く案件だものな。『お触れ』自体滅多に出ないから、たぶん猛烈に大切な内容なんだろうけど。


「ザルツ。読み上げるから聞いていろ。」

沈黙を破って静かな声で話し出したのは意外にもガルクルト様だった。そして、その内容にマジでドン引く事になる。


『このお触れは連合国全体よりの勅命である。

先日、連合国各地の魔獣被害の増大についての調査結果が出た。『もし、このままならばあと数年後には我々は生き残る事が出来ぬ』

この報告を深刻に受け止めた各国の首長から出された意見は一つ。

『魔獣退治の部隊を編成し、速やかに原因を究明・解決する。また、この活動を妨害等の妨げになる者は厳罰に課す。そして、魔獣退治の部隊への編成員に指名された者は有無なく必ずや命令遂行の事。任務放棄も厳罰とす。』

連合国全国民はこの任務への協力を義務と課す。』


へっ?

滅亡する…って事か!!

せっかく、何とか異世界で楽しくなり始めたのに第二の生も短いとか惨すぎだろ。


「やっと理解して貰えたね。ザルツ君。君はその第一討伐部隊の一員に召喚されたんだよ。」


「はぁぁ?」


しまった。本音バッチリの声が漏れた。

内容がエグすぎて頭に入ってこないのに、次々と爆弾発言を投下するから。本性が漏れるじゃん。でも、今の俺には不敬なんて目じゃない。

絶対、何かの手続きミスをした奴の責任でこんな目に遭ったんだ。恨み節の一言くらいは許されるよな。


「意外じゃないよ。だって推薦したの俺だもん。」


はぁぁぁ?!心の声とは別にあまりの内容に俺の前世同様良くないお頭は限界になったみたいだ。気絶っていう最高の逃亡に成功したんだからな。


*** side ラルト皇子 ***


あっ。気絶しちゃったか。

風魔法を展開して受け止めようとしたのに、魔法より早く受け止めたガルクルトが抱き上げてそのまま無言で部屋を出てゆく。

罪悪感かな。まさか文字が読めないなんて考えもしなかったんだろうな。だから協力しないザルツに強引に拉致したんだ。それが裏目に出た。王への謁見もままならない程のザルツ君の混乱は続いていたからな。

まあ、『お触れ』を知らなきゃ、それも当然。

この辺りは想定内だ。最後のあのキレた感じが気になるくらいでさ。思いっきり睨まれたのは久しぶりだ。誰も彼も遠慮と尊敬ばかりだものな。


ふふふ。

思ったより拾いモノかも。噂通りの凡人じゃないな。何かある。


その時の僕は彼が自分の生涯に於いて、最重要な人物になるとは予想だにしていなかった。

この出会いに感謝する日が来ることも…。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ