逃走
連続更新96日目
真剣に休む事を考える
一般人なら余裕で殺せる魔法が3人から放たれ空間を飛び交う。
魔法一つ一つが複雑な動きで断乃に襲い掛かる。
「アブソリュート」
何個か双剣に変形させた心剣で対処するとある程度魔法を撃墜させる為技を放つ。
「ダブル!」
片手で3個の《絶対切断》もう片方の手でも《絶対切断》を3個放つ。
これで間接的にアブソリュート・カルテットを再現。
純粋にカルテットを発動させるより出が少し遅い、面倒くさいと感じる以外は魔力消費の効率に優れている。
これにより断乃の周りを周回しながら襲って来た十数個の魔法のうち丁度四個撃墜した。
(もうちよっと巻き込みたかったんだけどな!)
3人は魔法が撃墜された事にさほど驚かない。
寧ろ褒める様な表情だった。
そこから魔法の数を最初の倍、三十個を超える魔法が放たれ断乃を襲う。
魔法を放った本人達はただ突っ立っているだけではなく魔法と同じく断乃を翻弄しながら偶に直線的な動きしか出来ないが出の早い魔法を使っている。
ガッ!
魔法の一部が魔力防御膜の隙間を通り断乃の側頭部に当たる。
「ぐっ!」
致命傷からは程遠いが注意を散らすには効果的だ。
普段やっている一対一の模擬戦闘とは違う複数対一、しかも相手の連携はプロ、達人という言葉が相応しいほど流麗だった。
ダーケン、カトレア、呼乃田に揉まれて一対一の技術は断乃も相当の域に達している。
一対一の技術はさほど役に立たないが想離と戦った際に少しだけ学んだ複数対一の技術は活きて断乃を生かす結果となりそこに《絶対切断》も加わる事で多少の余裕が生まれる。
その余裕を使っていつぞやの間鵞廼達と初めて戦った時に出た倒す事だけに特化した思考に切り替えると空気という雰囲気が変わった。
「ディセラレイト・オクタグラム」
八個の鈍化したリング状の斬撃が断乃を守る様に現れるとそのまま全方位に向けて広がって行く。
「ちっ!避けろ!!」
焦ったのか3人のうちの1人が声を荒げる。
初めて発動させるリング状の斬撃さ魔力消費量が馬鹿みたいに多い。
しかし枷が外れた事による魔力量の超上昇、そして成長期による一日の魔力の上昇量によってその多い魔力量も気にしなくてもいい割合になる。
「魔力量は昔より……前より遥かに潤沢だ」
最早魔法の雨といってもいい物量の中《絶対切断》で防ぎ撃墜しながら3人のうちの1人に切迫した。
「アブソリュート・ゼロ」
時間を斬り結果だけを残すチート級の技によって肉体に三本の傷跡をつけるが瞬く間に癒える。
「……巧みだ」
今度は違う1人が呟く。
まだ喋っていない1人はその端正が顔を歪ませ笑っていた。
「ブラスト・フォール」
技名が呟かれると上空に5m台の岩石が生成され炎を纏う。
そして一瞬にして加速すると断乃に向かって発射される。
それが3人分、つまり5m台の大きさの隕石と呼べる代物がまだ魔法が断乃の周りを周回しているのにも関わらず同時に放たれたのだ。
(やばい!!)
「アブソリュート・クインテット……トリオォ!!!」
一回の隕石につき五本の斬撃を三個分。
合計十五本が断乃から放たれる。
一本目が当たると「ピシッ」と音が聞こえ二本目では「パキッ」と聞こえる。
「まさか……」
「擬似再現で威力が本来の十分の一以外とはいえ神の一撃を……」
「やはり此奴」
「アブソリュート・サウザン!!!!」
三本目の斬撃で亀裂が大きく入る。
四本目の斬撃でそれぞれの隕石が真っ二つになると五本目で十字状に分割された。
そしてその後直ぐに一本目に込める魔力量を必要最低限も最低限しか込めていない千の斬撃を放つ。
しかもそれも三個分もだ。
「此奴っ!」
「想像以上だっ」
「一度本気で真正面から相手をしたい」
呟かれると言葉を聞こえないとばかりに隕石の処理に奮闘する。
最初は表面を削る程度だったが次第に一個一個の削る大きさが増え600を超えた辺りでほぼほぼ街に置いても被害が出ない大きさにまで小さくなった。
「はぁ……はぁ……はぁ……はぁ……」
元々高さが高さゆえに加速しきれてなかった。
その幸運もありある程度小さくなると直ぐに無力化されるが放った斬撃は引っ込められない為残った斬撃が更に小さくする。
パラパラッ
結果的に断乃の放った《絶対切断》は隕石を砂粒と言っていい大きさに変えた。
その代償として最大魔力量が増えてもなお負担が大きいと感じる魔力量の消費。
伝う汗を乱暴に払うと3人を見つめる。
その顔はどこまでも余裕そうだった。
「目的は達した。帰還する」
「「了解」」
3人は外套を被ると建物の上なら落ちる。
「ま、待て!」
慌てて追いかけて下を覗くが誰もいない。
魔力探知も行うが反応がない。
「逃したか……」
平穏を破り謎が襲う
100日で休もうか悩むけど
休むとそのままズルズル更新サボりそう