後悔(笑)
連続更新83日目!
季節の変わり目は風邪引くから気をつけるのよ〜
「そ、そんな頼まれ方しても駄目なものはだめよぉ?」
「お姉ちゃんも動揺するんだね」
「お姉ちゃんだって動揺くらいするわぁ?!」
「……どうしても駄目か?」
厳つく、そして普段はあまり喋らず無口な男が申し訳なさそうに頭を下げていた。
このやり取りは2分ほど前に男がある話題を切り出してから始まっている。
頼まれている女性はキルノア・リッパー。
最近魔狩人として登録し特級となりまだ世には知られていない元凄腕の暗殺者、殺し屋だった。
更にキルノアを姉と呼び慕う少女はジャック・リッパー。
この子もキルノアと同時に魔狩人に登録して史上最年少登録、史上最年少特級となった。
そんな2人が目の前の男1人の懇願に普段のキャラが壊れてしまう。
「頼まれたとしても私そんな事やった事ないから色々失敗して迷惑かけてしまうかもだから……」
「いや、失敗なんぞ気にしない。寧ろ失敗しても良いとすら思って……る、うん」
「確かに居候させて貰って更には魔狩人になるまで養って貰ったのには感謝してるからその恩返しとして今度は私が養うわ」
「流石にそれは俺が気にする。恩返しをしたい気持ちは否定しない。だがどちらかだけに負担行くのは避けたい」
「……」本当に私達が失敗しても怒らないでくれるかしら??」
「あぁ分かった!これで一緒に料理出来る(ボソッ」
ボソッと
本人は2人に聞こえない程度の声で呟いたつもりだった。
しかしシンプルに身体能力が並ではない2人の耳は確実に一字一句違わずキャッチしている。
「あら〜私と料理したかったんだ〜」
語尾にハートの文字が付きそうなテンションで男に擦り寄る。
擦り寄った際に男はキルノアの胸が腕に当たった事に気付き火山かと思うほど顔を赤くする。
顔がゴ◯ゴ並に厳つくとも恋愛面の精神年齢は小学生も良い所だった。
「その……!胸が当たってる……ぞ!」
「当ててんのよ」
「くっ!!」
「あははははは!!!おじさん顔真っ赤ぁ〜!」
ジャックにいじられ男は更に顔を赤くする。
詩乃空 豪鬼 34歳
未だ童t
「可愛いのねぇ〜。ちょっとこっち来て、ジャックはどこか外で遊んでて!」
「は〜い!お姉ちゃんイヤらしい〜!」
ニヤニヤと笑いながらジャックは個人の財布を持って外に出掛けた。
「それじゃあ……楽しみましょう?」
「あっ?!ちょ!まっ!き、きゃーー」
詩乃空 豪鬼 34歳
童貞だった者である。
☆
久しぶりにモンスターの発生や動物の魔獣化などの事件が無く部活も休みの魔闘部。
この様なまともな休みは実に1ヶ月ぶりであり断乃達は狂喜乱舞している。
更には高校設立記念日の前日であるからか午前授業で終わった。
「真梨どこに行くー?」
「えーとどうしよっか?授業も午前だけで終わったから少し遠出でもする?みんなでさ。ほらあそこ……えっとおーー名前は忘れたけどキルノアさんが居候している店!福井のさ!」
「確かにあそこは量も調節出来るし味も凄い美味かったんだよなぁ……店主は厳つかったけど」
「現役の魔狩人でもビビるくらい怖かったね」
冗談を言って笑っていると他クラスの風波が入って来て今まさに風波達全員を誘おうとしていた断乃と真梨の目の前に立つ。
「話は聞いたわ。勿論私も行くから!」
「魔法使ってまで盗み聞きすんなよ」
「良いじゃない減るもんじゃないでしょ?」
「かーーっ!」
盗み聞きした事をげんなりとした表情で咎めるが何食わぬ顔で開き直る。
「話聞いた瞬間に魔闘部の部内メールで送ったわよ」
「それ今さっきだぞ?!……本当にメール来てる」
「えぇ〜?!風波さん意外と行動力の塊だね」
話している内に呼乃田達が上の教室から一年の教室のドアに集合していた。
「断乃く〜ん既にメールで知ってるから早速食べに行こう!じゃんけんで負けたら奢り罰ゲームでぇ〜!」
「想離先輩もちゃんとお金持ってますよね?!割り勘でいいでしょ?!」
「奢られると3割増しで美味しいじゃーん!」
「意地汚ねぇ!!!」
やんややんや騒ぎながら学校を出て駅に着き切符を買うと電車に乗った。
「そう言えばキルノアさん魔狩人になったけどホームページに顔写真載ってなくない?」
「ジャックちゃんも魔狩人なったんでしょ?」
「ジャックちゃんは年齢的にまだ載せられないんじゃない??」
「確かにそれがあるか。でもキルノアさんが載ってないのは?」
「やっぱ元が元だし多少顔割れてるんじゃね?」
「あるかもねー……」
姉妹の話をしながら移動すると目的の福井に到着する。
「それじゃあ行こうか」
「「「「うぃーー」」」」
「「……」」
堅霧の取り巻き4人の気の抜けた返事に風波と想離は冷ややかな視線を送ると途端に静かになった。
姉妹が居候している店まで歩く事5分
ようやく目の前に店が見えて来た。
「失礼しまーーーーー」
この時断乃達は恐らく人生で1番後悔した。
一瞬で今までの後悔を上塗りしたのだ。
そう、客のいない店の奥から2人の声が聞こえて来た。
「ま、待て!もう無理だっ……!」
「良いじゃない!まだまだ足りないわ!」
「もう何回もしてる!」
「何回でもしたいじゃない♡」
これを聞いた女性陣顔真っ赤である。
そして男性陣は軒並み舌を噛む事で冷静を装う。
「一旦出よう」
「うん……」
実際はキルノア達はレースゲームをしていただけなのだが断乃達は知るよしもなかった。
PV落ち気味だけど辛抱!